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10話 サリシャス その1
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「しかし驚いたよ……お前があの有名な画家のサリシャスだったとはな」
「調べたんですか、ギゼフ様……」
「まあ、少しな」
「そうですか」
私はお父様の隣のソファに座りながら、ギゼフ様と会話をしていた。本来なら、完全無視を決め込みたいけれど、サリシャスだとバレているし、この状況では話さざるを得ない。
それにしてもどういうルートでバレたんだろうか……そこが微妙に気になるわね。まあ、私のことを知っている人は知っているし、ギゼフ様がその気になれば簡単に調べられるだろうけれど。
「本当に驚いたよ、シェイナ。こうして見ると、未だにサリシャスだとは思えない程だ」
「それなら違うかもしれませんよ? 私はまだ肯定していないですし」
「そういう無駄な会話は必要ない。然るべき情報源から得ているのだ。お前がサリシャスなのはほぼ間違いないはずだ。そうなのだろう?」
「シェイナ、無理に話す必要はないのだぞ? 私に任せておきなさい」
「いえ、大丈夫ですお父様。ここは私が話すべきだと思いますので……」
お父様に迷惑を掛け続けるのは本意ではない。私自身が毅然とした態度でギゼフ様に挑む必要があった。
「で、どうなんだ? お前がサリシャスで間違いないんだな?」
「そうですね、私がサリシャスです」
「ほらやっぱりそうじゃないか。どうせ、この屋敷を物色すればその証拠はたくさん出て来るだろうしな」
確かに私の部屋は絵をかく作業場になっているけれど……この人はアルバート家の屋敷を勝手に物色出来ると思っているようだ。そんなこと許されるはずないのに……。
「さて、そろそろ本題に入ろうか。シェイナ、なぜ私の絵画制制作依頼を断ったのだ?」
「えっ? それは……私が言わなくても既に分かっていると思いますが」
「やはり婚約破棄が原因か?」
「それ以外に何があると言うのでしょうか?」
いくらギゼフ様でも私……サリシャスが絵の制作を断った理由くらいは予想しているはずだ。今のは敢えて質問したのだと思う。
「なぜだ? なぜ断った? 私はちゃんと依頼料を支払うと約束しているはずだ。プロとして、制作依頼の絵を描かないというのはどうかと思うがな」
「私はプロではありますが、それ以前に一人の人間、貴族令嬢です。身勝手に婚約破棄をするような人の依頼を受けたくないという気持ちをご理解いただければ、幸いでございます」
「な、なんだと……!?」
ギゼフ様は明らかに表情が変化した。このくらいのことは想定済みだと思っていたけれど、そうでもなかったのかしら?
「まあまあ! 噂のサリシャスの正体はこんなにも卑しい人間だったようね。一時の感情で絵の依頼者を選定するなんて……そんなことが許されると思っているのかしら?」
「ロドリー様……そうですね、許されると思っています」
絵の制作者は私だ。私が描かなければサリシャスの絵は完成しない。それだけの権限が私にはあると思っている。特にこの二人に対しての拒否感は強かった。
「待て、シェイナ……お前が描いてくれないと、非常に困るのだが……」
「それは諸外国に絵を売る約束をしてしまっているからですね?」
「ぬ、ぬう……その通りだ……」
やっぱり根底にはその部分の心配があったか。でも、そんなことは私には関係ない。まだ手に入れてもいないのに、勝手に販売事業を推進したギゼフ様のせいなのだから……。
「調べたんですか、ギゼフ様……」
「まあ、少しな」
「そうですか」
私はお父様の隣のソファに座りながら、ギゼフ様と会話をしていた。本来なら、完全無視を決め込みたいけれど、サリシャスだとバレているし、この状況では話さざるを得ない。
それにしてもどういうルートでバレたんだろうか……そこが微妙に気になるわね。まあ、私のことを知っている人は知っているし、ギゼフ様がその気になれば簡単に調べられるだろうけれど。
「本当に驚いたよ、シェイナ。こうして見ると、未だにサリシャスだとは思えない程だ」
「それなら違うかもしれませんよ? 私はまだ肯定していないですし」
「そういう無駄な会話は必要ない。然るべき情報源から得ているのだ。お前がサリシャスなのはほぼ間違いないはずだ。そうなのだろう?」
「シェイナ、無理に話す必要はないのだぞ? 私に任せておきなさい」
「いえ、大丈夫ですお父様。ここは私が話すべきだと思いますので……」
お父様に迷惑を掛け続けるのは本意ではない。私自身が毅然とした態度でギゼフ様に挑む必要があった。
「で、どうなんだ? お前がサリシャスで間違いないんだな?」
「そうですね、私がサリシャスです」
「ほらやっぱりそうじゃないか。どうせ、この屋敷を物色すればその証拠はたくさん出て来るだろうしな」
確かに私の部屋は絵をかく作業場になっているけれど……この人はアルバート家の屋敷を勝手に物色出来ると思っているようだ。そんなこと許されるはずないのに……。
「さて、そろそろ本題に入ろうか。シェイナ、なぜ私の絵画制制作依頼を断ったのだ?」
「えっ? それは……私が言わなくても既に分かっていると思いますが」
「やはり婚約破棄が原因か?」
「それ以外に何があると言うのでしょうか?」
いくらギゼフ様でも私……サリシャスが絵の制作を断った理由くらいは予想しているはずだ。今のは敢えて質問したのだと思う。
「なぜだ? なぜ断った? 私はちゃんと依頼料を支払うと約束しているはずだ。プロとして、制作依頼の絵を描かないというのはどうかと思うがな」
「私はプロではありますが、それ以前に一人の人間、貴族令嬢です。身勝手に婚約破棄をするような人の依頼を受けたくないという気持ちをご理解いただければ、幸いでございます」
「な、なんだと……!?」
ギゼフ様は明らかに表情が変化した。このくらいのことは想定済みだと思っていたけれど、そうでもなかったのかしら?
「まあまあ! 噂のサリシャスの正体はこんなにも卑しい人間だったようね。一時の感情で絵の依頼者を選定するなんて……そんなことが許されると思っているのかしら?」
「ロドリー様……そうですね、許されると思っています」
絵の制作者は私だ。私が描かなければサリシャスの絵は完成しない。それだけの権限が私にはあると思っている。特にこの二人に対しての拒否感は強かった。
「待て、シェイナ……お前が描いてくれないと、非常に困るのだが……」
「それは諸外国に絵を売る約束をしてしまっているからですね?」
「ぬ、ぬう……その通りだ……」
やっぱり根底にはその部分の心配があったか。でも、そんなことは私には関係ない。まだ手に入れてもいないのに、勝手に販売事業を推進したギゼフ様のせいなのだから……。
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