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6話 アリアハル視点

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(アリアハル視点)


 私は侯爵令息という立場にある……それだけに相応の相手が必要なのだ。そういう意味ではエトナをゲットできたのは大きいと言えるだろうか。伯爵令嬢という地位の彼女は見た目も相応しく美しい。私の隣に立たせてパーティーに出ることは、それだけでもたらす恩恵があるというものだ。

 周りからも羨ましがられる存在になれる。これは私が侯爵になる上で絶対に必要なことだろう。あと数カ月もすればエトナとの結婚が可能になるだろう。そうすればあの美しい身体を手に入れることができる。それまでは浮気三昧で紛らわせるとするか。まあ、結婚した後も我慢はできないと思うがな。


 エトナを妻として迎え入れれば、さらに貴族の中では確固たる地位につくことが出来るだろう。真に優秀な貴族は美しい相方をめとることが出来る。これは貴族社会ではよく言われていることだ。確か、別の侯爵家は地位は高いがそこそこの見た目の令嬢と結婚したために、良くない噂を流されたとも聞くしな。


「さて、エトナの様子はどうだ? マガレフよ」

 
 隣に立っている執事のマガレフに声を掛けた。

「はっ。本日は例のパーティーに行っているはずです。護衛としてハリングやドーム、セルジュを連れて」

「ああ、そうだったか」


 私は別件で行けなかったが、運よく早く片付いたので戻って来たのだ。まあ、エトナとは色々あったしな。今回のパーティー出席で婚約破棄の件を忘れてくれれば良いのだが。でなければ、軟禁せざるを得ないかもしれん。


「若い娘を軟禁などしたくないからな……」


 マグレフは驚いている様子だった。


「エトナ様にそのようなことをするのは……賛同できませんが……」

「大丈夫だ、心配するな。あくまでも最終手段だからな。わははははははははっ」


 私は笑ってみせたがマグレフは笑ってはいなかった。まあ、当たり前か……はははは。


「エトナ様を軟禁したとなると、いくらアリアハル様でも問題になるかと存じます。あまり、迂闊なことは言われない方がよろしいかと……」

「わかっている。少し、強めに行っただけだ。そんなに邪険にするでない」

「も、申し訳ありません……」



 まったく、冗談の通じない奴だ。まあ、冗談というわけではないのだがな。

 しかし、エトナか……あまりにも私の意向に逆らうようならば、軟禁という手段も辞さないということだろうか。


「エトナを注意してみているのだぞ。なにかあればしっかりと知らせるのだ」

「……畏まりました、アリアハル様」


 何があってもエトナと別れるつもりはない。それだけは分からせないといけないな。ふははははははっ。
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