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12話
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(ボイド・フューリ―視点)
「なんだと……? ミリーとルシエドの二人がお前を問い詰めたというのか!?」
「はい……二人とも凄まじい剣幕でした。私は限定の服を買いに行っていたのですが」
「ああ、そう言えば今日は記念日かなにかだったか」
服屋「ドリトル」と呼ばれる店が貴族街の一角にはある。その店の生誕30周年かなにかで限定の服が売られているはずだった。私は特に興味がなかったが、シエナは確か楽しみにしていたはずだ。それが……なんということだ。
私は右手に籠る力を抑えることができないでいた。
「ルシエド、ミリー……その店に現れたのは偶然ではないだろう」
「あ、はい……二人は待ち伏せしていたようです」
妹は心底脅えているようだった。当たり前だ、偶然、出会うなんてことが起きえるはずもない。以前、ミリー達に出会ったのは偶然ではあったが、そう何度も起きるわけがなく……くそ、これはルシエドの作戦か? それともミリーか? 私はルシエドに対する敬称を忘れてしまっていた。それほどに怒っているのだ。
「あの二人は私をレストランに移動させたのです」
「話を詳しくする為にだな」
「はい……」
「それで、どうなったのだ? 大丈夫だったのか?」
シエナは外見的にはなにもないように見える。しかし、もしかしたら服の中に打撲の跡などがあるのかもしれない。私の知っている二人がそんなことをするとは思えなかったが、ミリーはシエナを裏で虐めていたのだ。それを考えるとあり得ないとは言えなかった。
「殴られたりはしたのか?」
「いえ、流石にそこまでは……私は危険を察知して逃げて来ましたので。しかし、あのままレストランに居たのではなにか暴力を受けていたかもしれません……ううっ、兄さま、怖かったです……!」
「シエナ! もう大丈夫だぞ! 何も怖がることなどない! この私が守ってやるからな!」
「ボイド兄さま! 私は幸せ者です……!」
私はシエナを自らの胸の中に抱え込んだ。くそ……どうしてシエナがこんな目に遭わないといけないんだ! ミリーは本当に何を考えている!?
まだ、この期に及んでも妹に危害を加えようというのか……? そして、それに加担しているであろうルシエド……なぜだ!
「ルシエド……公爵家の名が泣くぞ。とても王家と血のつながりがある者とは思えない凶行だ!」
「はい、その通りかと思います、兄さま。ミリー、そしてルシエド様の考えていることは私にもまったく分かりません……」
ルシエドは自らの立場であれば凶行に出ても問題ないと考えているのか? そんな考えは私が許さないぞ! 妹は私が必ず守ってみせる!
「なんだと……? ミリーとルシエドの二人がお前を問い詰めたというのか!?」
「はい……二人とも凄まじい剣幕でした。私は限定の服を買いに行っていたのですが」
「ああ、そう言えば今日は記念日かなにかだったか」
服屋「ドリトル」と呼ばれる店が貴族街の一角にはある。その店の生誕30周年かなにかで限定の服が売られているはずだった。私は特に興味がなかったが、シエナは確か楽しみにしていたはずだ。それが……なんということだ。
私は右手に籠る力を抑えることができないでいた。
「ルシエド、ミリー……その店に現れたのは偶然ではないだろう」
「あ、はい……二人は待ち伏せしていたようです」
妹は心底脅えているようだった。当たり前だ、偶然、出会うなんてことが起きえるはずもない。以前、ミリー達に出会ったのは偶然ではあったが、そう何度も起きるわけがなく……くそ、これはルシエドの作戦か? それともミリーか? 私はルシエドに対する敬称を忘れてしまっていた。それほどに怒っているのだ。
「あの二人は私をレストランに移動させたのです」
「話を詳しくする為にだな」
「はい……」
「それで、どうなったのだ? 大丈夫だったのか?」
シエナは外見的にはなにもないように見える。しかし、もしかしたら服の中に打撲の跡などがあるのかもしれない。私の知っている二人がそんなことをするとは思えなかったが、ミリーはシエナを裏で虐めていたのだ。それを考えるとあり得ないとは言えなかった。
「殴られたりはしたのか?」
「いえ、流石にそこまでは……私は危険を察知して逃げて来ましたので。しかし、あのままレストランに居たのではなにか暴力を受けていたかもしれません……ううっ、兄さま、怖かったです……!」
「シエナ! もう大丈夫だぞ! 何も怖がることなどない! この私が守ってやるからな!」
「ボイド兄さま! 私は幸せ者です……!」
私はシエナを自らの胸の中に抱え込んだ。くそ……どうしてシエナがこんな目に遭わないといけないんだ! ミリーは本当に何を考えている!?
まだ、この期に及んでも妹に危害を加えようというのか……? そして、それに加担しているであろうルシエド……なぜだ!
「ルシエド……公爵家の名が泣くぞ。とても王家と血のつながりがある者とは思えない凶行だ!」
「はい、その通りかと思います、兄さま。ミリー、そしてルシエド様の考えていることは私にもまったく分かりません……」
ルシエドは自らの立場であれば凶行に出ても問題ないと考えているのか? そんな考えは私が許さないぞ! 妹は私が必ず守ってみせる!
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