婚約者の妹を虐めていたと虚偽の発言をされた私は……

マルローネ

文字の大きさ
31 / 37

31話

しおりを挟む
(シエナ視点)

「こんなの嫌です! あり得ない……!」

「何を言っているのですか? あなたは修道院行きが決定したのですよ。静かにしなさい」

「で、でも……」


 私は確かに裁判で修道院行きになってしまった。今、私の監視をするという女性から話を聞いていたのだけれど……。この国での修道院とはどういうものなのかを……。

「一切の贅沢ができないなんて……そんな」

「そんなところは修道院に於いて大したことではありません。戒律に則り生活を行うのは当然のこと……その内容は祈りと労働です。そもそも、あなたは貴族ではなくなっているのですから、贅沢なんて最初からできませんよ」

「私は……」


 そんな最底辺の者達が行うであろう仕事だ。果たして私は耐えることができるの? いえ、絶対に無理よ……! ボイド兄さまと違って5年間などという決まりもないのだから……。

「私は何年、修道院にいればいいの? いつ屋敷に戻れるの!?」

「あなたに課せられた刑期は無期相当ですよ。つまり期間の定めがないということ。元々、貴族の称号は剥奪されたのですから、屋敷に戻って来ることはありません」

「そ、そんな……!」

「それがあなたの犯した罪の罰だということです。本来ならば死刑になってもおかしくなかったはずですが……あの二人に感謝するのですね」


 監視をすると言った女性は淡々と話していた。あの二人というのはルシエドとミリーのことだろうか……あの二人の嘆願があったから私は修道院送り程度で済んだと。でも、期間の定めはないわけで……。


「いやよ……こんなの……」

「嫌と言っても現実は変わりませんよ。まあ、まだ最低限の生活は保証されているだけ、マシだと思ってください」

「ふざけないで! 私はこの間まで好き勝手貴族街を謳歌できていたのに……こんなのあり得ないわ……!」


 最新の服や小物を好きなだけ見て回ることができた。好きな食べ物も簡単に取り寄せ出来ていたのに……! どうしてこんなことに!

 ルシエドとミリーのせいだわ! あいつらが変に嗅ぎ回らなければこんなことには! それに土壇場で裏切った執事のリューク! あの男は功績を評価されて無罪になったらしいじゃない!

 そもそも、私はそんなに悪いことなんてしていない。兄さまに悪い虫が付いていたから払っただけ。誰も傷付けてないし殺していないのに、どうして修道院送りなの!


「いやよ、いやよぉぉぉぉぉぉぉぉ! 助けて~~~兄さま~~~~!」

「やれやれ……本当に子供ですね。こんなことで果たして修道院でやっていけるのか……心配になります」


 私の声は誰にも届かなかった……助けて、誰か……本当に……。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

勝手に勘違いして、婚約破棄したあなたが悪い

猿喰 森繁
恋愛
「アリシア。婚約破棄をしてほしい」 「婚約破棄…ですか」 「君と僕とでは、やはり身分が違いすぎるんだ」 「やっぱり上流階級の人間は、上流階級同士でくっつくべきだと思うの。あなたもそう思わない?」 「はぁ…」 なんと返したら良いのか。 私の家は、一代貴族と言われている。いわゆる平民からの成り上がりである。 そんなわけで、没落貴族の息子と政略結婚ならぬ政略婚約をしていたが、その相手から婚約破棄をされてしまった。 理由は、私の家が事業に失敗して、莫大な借金を抱えてしまったからというものだった。 もちろん、そんなのは誰かが飛ばした噂でしかない。 それを律儀に信じてしまったというわけだ。 金の切れ目が縁の切れ目って、本当なのね。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」 婚約者として五年間尽くしたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。 他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした

三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。 書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。 ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。 屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』 ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく―― ※他サイトにも掲載 ※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!

処理中です...