忌み嫌われた私の能力を分かってくれる方に出会いました!

マルローネ

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6話

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「ケルヴィン様、これは……」

「ふふふ、紹介しよう! この機械は田畑に設置して機能を発揮するものだ! 広範囲水撒き機とでも呼ぼうか」

「広範囲水撒き機……」


 なんとなく想像がつく名前だった。私はケルヴィン様のご厚意で、彼の研究所を見させてもらっていた。この広範囲水撒き機もそうだけれど、見たこともない機械が設置されている。これ全部、ケルヴィン様が作ったというのかしら? それだったら凄すぎるわ……変人、偏屈、がり勉と呼ばれてもお釣りがくるくらいの成果ではないかしら。

 逆にそんな異名が付くレベルでなければ作ることなんてできないのでは?


「私は試したいことがあったのだ。魔法の能力を水撒き機の機械のエネルギー源にすれば、今まで以上に広範囲に水が撒けるのではないかとな!」

「私の魔法の能力を広範囲水撒き機に……? そんなことが……」

「広範囲水撒き機だけではない。河川を行き来する船やボートのエネルギー源として利用することができれば……それは革命的な発見に変わると思わないか?」

「た、確かにそうかもしれませんが……」


 話の規模が大きくなっている。確かに様々な物のエネルギーとして魔法の能力が使われたら、それは革命的な改革になるだろう。でも、そんなことが本当にできるのだろうか?


「そんなことは可能なんですか?」

「それはまだ分からない。私の意見に賛同してくれているのは少数だからな。しかし、其方が……マリス・テラーが協力してくれるというならば話は別だ。短期間で素晴らしい機械の発明ができるかもしれん」

「……」


 話はまだ机上の空論の段階だ。成功すると決まったわけでもないし。でも……私の持つ魔法を研究したい人がいるなんて思ってもみなかった。私にとっては……少しだけ嬉しいことかもしれない。私に価値を見出してくれたのだから。

「近くの河川を走っているボートの類いも基本設計は私が作った。権利はより上位の貴族に奪われてしまったがな。しかし、今度は同じ過ちはおかさないさ。私とマリスの共同研究として発表し、利益もお互いに行くようにしようじゃないか。どうかね?」

 どのみち私は不必要な子として売り飛ばされたようなものだ。彼は質問してきたが、答えは一つだった。

「よろしくお願いいたします。ケルヴィン・ロックリー様」

「そうか、そう言ってもらえると非常に助かるよ」


 こうして私はケルヴィン様の研究対象になったのだった。お父様達からすれば意外な結果だったでしょうね。
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