婚約破棄されたけど、私はあなたを信じます!

マルローネ

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4話

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「アルフ様に関してのことですよね……」

「ええ、そうなりますね。私達が知りたいのは彼の噂話です」

「噂話ですか?」

「どういった噂があるか……この最近のものを知りたいのです」


 デュラン兄さんがドーム伯爵に話している。上手く仲介をしてくれて非常に助かるわ。私だけだったらはぐらかされた可能性だってあるしね。

「あまりパーティーの真ん中で行うような会話ではありませんな」

「ああ、これはすみませんでした。端の方でならよろしいですか?」

「わかりました。それではこちらへ……」


 ドーム伯爵は意外と友好的だった。固い貴族社会を好まない……そんな性格が功を奏したのかもしれない。


-----------------------------


「この辺りなら大丈夫ですかね」


 私達は府ドーム伯爵に促されて、パーティー会場の端の方へと移動した。何人かこちらを見ているような気はするけれど……これみよがしに聞き耳を立てている人はいないみたいね。


「早速ですが、アルフ様はドーム伯爵から見てどう映りますか?」

「先ほど申し上げましたが、私は彼を存じない。あくまでも噂程度でしか知らない、とご留意ください」

「はい、わかりました。それで構いません」

「噂ではなかなかの好青年と伺っております。礼儀正しく曲がったことを許さない……まあ、貴族の鑑のような存在ということですな」


 私のところにもアルフ様はそのように伝わって来ていた。デュラン兄さんも同じ噂は聞いているだろう。それに、彼の人となりであれば私達の方が知っているくらいだし。

 知りたいのはそういう部分ではなかった。

「それ以外に何かありませんか? 主に……そうですね、最近になって彼が変化を見せたとか、考え方を変えたとか……その辺りです」

「考え方を変えた? いえ、あまりそういう噂は伝わって来ていませんが……ああ、そういえば」

「ん? 何かありましたか?」


 ドーム伯爵は1つの情報を思い出したようだ。私達の知りたい部分の情報かもしれない。


「アルフ様……と、いいましょうか。アルフ様は何か女性と会っていた、という噂があったような」

「女性と? 私ではなくて、ですか?」

「ええ、違うと思います。相手までは分かりませんが、もっと位の高い人物の可能性があるかと……」


 私よりも上の立場の女性となれば侯爵家以上ということになるだろうか? それにしても、貴重な情報かもしれない。同時にアルフ様が浮気をしていた可能性も出て来たわけだけれど。

「テレーズ、これは浮気の可能性があるんじゃないのか?」

「そんな……! アルフ様に限ってそんなことをするはずがないわ……」

「とにかく、もう少し調べてみる必要はありそうだな」

「そ、そうね……兄さん」


 動揺は隠せなかったけれど、情報を得ることは出来た。次はその女性を特定するところから始めた方がいいのかな?
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