婚約破棄されたけど、私はあなたを信じます!

マルローネ

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5話

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 ドーム伯爵から情報を聞いた後、私達はそのままパーティーを楽しむことにした。

「兄さん、このお肉、おいしいわよ」

「ほほう、これはなかなかいけるな。流石はドーム伯爵。用意してくださる料理も一級品だ」


 兄妹でこうしてパーティーを楽しむのも悪くはない。本来であれば婚約者のアルフと楽しむのがセオリーなんだろうけれど、それはもう叶わないからね。いえ、いつかはそんな日が来て欲しいけれど……今のアルフ様は……。


「テレーズ、どうしたんだ? 暗い顔ばかりしていては、せっかくの一級品の料理が台無しになってしまうぞ?」

「あ、ごめんなさい。そうですよね……失念していました」

「まあ、お前の気持ちを考慮すれば仕方ないと言えるがな。しかし、たまには忘れることも必要だと思うぞ。人間、抱え込み過ぎては大変だからな」

「そうよね、兄さん」


 兄さんは私を元気付けてくれている。このパーティーだって、私を楽しませる意味合いも含まれているだろうし。そんな兄さんに心配ばかり掛けるのはやめておこう。

 私はお肉だけでなく、近くにあった野菜やデザートにも手を出すことにした。ふ、太らない程度にね……大丈夫よそこは……まだ17歳だし多分。


----------------------------


「誕生日パーティーも佳境に入って来たかな?」

「踊りが美しいわね」


 各貴族の人達が中央ホールで踊りを披露していた。美しい光景だった。私もいつかアルフ様とこんな風に……。


「あ、あれは……」

「アルフ様だ」


 と、そんな時だった。私と兄さんの耳にそんな声が聞こえたのは。微かに聞こえただけだったけれど、確かにアルフと言っていた。私はそちらに向き直る。


「デュラン兄さん……あれは……」

「ああ、間違いない。アルフ・デモン侯爵令息だ……それに隣に立っているのは……」


 アルフ様は一人で来たわけではないようだった。明らかに隣の女性と歩いているから。美しい容姿にドレスの上からでも分かるスタイル……そして高貴さ。あの人は……。


「シンディ・クロフォード……公爵令嬢だ。まさかとは思っていたが……あれほど上位の貴族が来るとはな」

「そ、そうね……兄さん」


 クロフォード公爵家の長女だ。おそらくはアルフ様が会っていた人物というのは彼女で間違いないだろう。後で調べようという話にはなっていたけれど、予想以上の大物だったというところか。


「これは……ようこそお出で下さいました!」


 先ほどのドーム伯爵が早速、二人に挨拶をしている。まあ、当然のことなのだけれど、どこか複雑な気持ちだった……。
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