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3話

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「リジェント家のお二人、ようこそいらっしゃいました。歓迎いたしますぞ」

「ドーム伯爵。ありがとうございます。また、この度はお誕生日おめでとうございます」

「ははは、ありがとうございます。まあ、単に年齢を重ねただけでございますがね。この年齢になると、歳を重ねるのが嫌になってしまいますよ。はっはっは」


 ジスパ・ドーム伯爵のパーティーに私とデュラン兄さんは出席していた。今、ドーム伯爵と挨拶を交わしたところだ。ドーム伯爵は堅苦しい挨拶を嫌う傾向にあって、今の挨拶でも堅苦しいと思っているのだった。

「しかし、貴族間の挨拶というのはもう少しなんとかなりませんかな……」

「と、言いますと?」

「うむ、デュラン殿。例えば敬語を使わずに話すなどですよ」

「流石にそれは難しいのではないでしょうか。格式を保つ必要がありますし……」

「まあ、確かにそうですな。しかし、肩が凝って仕方がありませんよ」


 なかなか個性的な不満をドーム伯爵は言っていた。まあ、私もアレフやデュラン兄さんにだったら、敬語は必要ないかな? とか思ったりはするし。彼の気持ちはとてもよくわかってしまった。

「ドーム伯爵のご意見はもっともかと思います。ただし、それを良しとする人達は少ないのではないでしょうか?」


 私は周囲を見渡しながら話した。この場所には幾つもの家系の貴族達がいる。その中でも腹の探り合いは始まっているのだ。場合によっては自分より下の階級の者とは話さないようにする、といった人もいるのかもしれないわね。


「貴族の歴史と言うものは、なかなか難しいものですな」

「まさにその通りかと存じます。それより、ドーム伯爵」

「なんですかな、デュラン殿」

「アレフ・デモン様のことを聞いても良いでしょうか? いきなりで申し訳ないのですが……」


 急な話題の切り替えにドーム伯爵は怪訝な表情を見せた。その質問が不快というわけではないと思うけど、なにやら警戒しているようにも見える。

「デモン侯爵家の子息ですよね、彼は」

「アレフ様はそうなりますね」

「聞きたいこととはなんでしょうか? 天下の侯爵家の御曹司のことはあまりよく分かりませんが……」

「……?」

 私もデュラン兄さんも同時と言えるだろうか? なんだか言い回しが不自然に思えた。ドーム伯爵より確かに上ではあるけれど、それでも1階級しか変わらない。それもアルフ様はまだ侯爵令息だし。そんなに崇める程の相手なのだろうか、と思える。

 ひょっとして、ドーム伯爵はなにかを隠しているのかもしれない。そんな風にも思えた。
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