婚約破棄されたけど、私はあなたを信じます!

マルローネ

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2話

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「そんなことが……テレーズ。大変だっただろうな……昨日は眠れたか?」

「は、はい……なんとか寝れました」


 眠れたかどうかは分からないけれど、とにかくベッドの中で悲しんだのは事実だ。お父様やお母様達にも迷惑を掛けてしまったし。あの二人は私を責めることは全くしなかったけれど。


「デュラン兄さん……私はどうしたらいいのかしら?」

「婚約破棄を受けた上に慰謝料の支払いまでしない、とアルフは言ったのだろう?」

「はい……そうです」


 今思い出しただけでも涙が出て来そうになる。どうしてあの人はあんなに酷いことを言ったのだろうか。平然と悪びれる様子ではなかったのは救い? だったけれど、それでどうなるものでもなかった。

「あのアルフが……信じられないな」

「はい、兄さん。私もそう思います。あのアルフ様に限ってそんなことをするなんて思えないの!」

「確かにそうだな。こうなれば一度、調べてみるのもいいかもしれないな」

「調べてみる? なにをですか?」


 私は悲しんでいたからか、兄さんの話の意図がよく分からなかった。


「アルフ様の周辺を調べるのだよ。なにか婚約破棄に至った原因があるのかもしれない。まあ、原因があったとしても今回の婚約破棄は酷過ぎるが……同情できる点があれば、多少は救われるだろう?」

「そうね、兄さん。少しは救われるかもしれません」


 これは無理矢理なことだけれど、なにか大きな事情があれば、それだけで救われるだろうか。でももしも、何も見つからなかったら……アルフは素で行ったことになり、私はさらなるダメージを負ってしまうだろう。でも、信じたかった、アルフを。


「私も手伝わせて!」

「よし……ではまず、そうだな。今度の伯爵の誕生日パーティーに出席するとしようか。それとなく、アルフの評判を聞ける場でもあるしな。二人で行こうか」

「はい。わかりました、兄さん」

「それでは決まりだな」


 アルフの婚約破棄は許されるものではないけれど、きっと何かやむにやまれぬ事情があったに違いないわ。そうでもなければ、あんな酷い婚約破棄を行うなんて信じられないもの。

 私はアルフを信用しているわ……大丈夫、絶対になにか見つかるはずだ。私はデュラン兄さんとその「何か」を調べるために動くことにした。
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