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7話
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私とデュラン兄さんは前に進み、アルフとシンディのところへと向かった。とは言っても、他の貴族の人達がいるから、なかなか会うことはできないけれど。
「アルフ様、お久しぶりですな」
「シンディ様、本日もとてもお美しいですね!」
「いやはや、素晴らしい雰囲気だ……」
とてももてはやされている二人……私からすればそれは虚言でしかないように見える。あの二人……特にアルフは今はもてはやされる存在ではないのだから。婚約破棄の件はそれぞれの貴族にも情報として行っているはずだ。相手が私だとは伝わっていないのだろうか? そんなはずはないと思うのだけれど……。
「アルフ……とても気持ちがいいわね。私は幸せだわ」
「そうだね、シンディ……幸せだ」
そんなやり取りが聞こえて来た。でも……アルフの表情は笑っていない。ずっと見て来たから分かるのだ。彼は……人形のようになっている。作り笑いを浮かべているに過ぎない。
「アルフ様、シンディ様。ご機嫌麗しく存じます」
「あら、あなたは……確かテレーズ・リジェント伯爵令嬢よね?」
「は、はい……左様でございます」
私は二人に話しかけると同時にシンディの質問にも答えた。彼女は私を見ても何も感じている様子はなさそうだ。
「テレーズの兄のデュランと申します……よろしくお願いいたします」
「あらあら、これはご丁寧に」
兄さんの挨拶も簡単に終了した。そして……
「デュラン殿……お久しぶりです。まさか、このパーティーに参加されているとは思いませんでしたよ」
「私達が参加しない理由がありますか? 貴族たる者どのようなパーティーでも出会う可能性はあるでしょう」
「そ、そうですね……これは失礼を」
「いえいえ、アルフ様。お気になさらずに」
シンディとは違い、アルフは明らかに兄さんを見て動揺しているようだった。婚約破棄以降では初めての対面となるはずだしね。婚約破棄の手続きはお父様たちが行ったから……。
「さて、挨拶も済んだことですし……アルフ、向こうの食事を食べてみない?」
「あ、ああ……そうだな、シンディ。そうしようか」
「うふふ、私、お腹がペコペコだったの」
なんという自然な会話だろうか……二人は既に私達から興味を離している。正確にはアルフではなく、シンディが離しているということだけれど。本当に婚約破棄のことは何も話さないつもりなのだろうか?
「それじゃあ、二人とも。私達はこれで失礼致しますわ」
「ま、またな……テレーズも……」
「は、はい……」
アルフは辛うじて気まずそうにしていたけれど、シンディはまったく悪びれている様子がなかった。なんて人なの……他人の人生をメチャクチャにしておいて……謝りもしないなんて。
「アルフ様、お久しぶりですな」
「シンディ様、本日もとてもお美しいですね!」
「いやはや、素晴らしい雰囲気だ……」
とてももてはやされている二人……私からすればそれは虚言でしかないように見える。あの二人……特にアルフは今はもてはやされる存在ではないのだから。婚約破棄の件はそれぞれの貴族にも情報として行っているはずだ。相手が私だとは伝わっていないのだろうか? そんなはずはないと思うのだけれど……。
「アルフ……とても気持ちがいいわね。私は幸せだわ」
「そうだね、シンディ……幸せだ」
そんなやり取りが聞こえて来た。でも……アルフの表情は笑っていない。ずっと見て来たから分かるのだ。彼は……人形のようになっている。作り笑いを浮かべているに過ぎない。
「アルフ様、シンディ様。ご機嫌麗しく存じます」
「あら、あなたは……確かテレーズ・リジェント伯爵令嬢よね?」
「は、はい……左様でございます」
私は二人に話しかけると同時にシンディの質問にも答えた。彼女は私を見ても何も感じている様子はなさそうだ。
「テレーズの兄のデュランと申します……よろしくお願いいたします」
「あらあら、これはご丁寧に」
兄さんの挨拶も簡単に終了した。そして……
「デュラン殿……お久しぶりです。まさか、このパーティーに参加されているとは思いませんでしたよ」
「私達が参加しない理由がありますか? 貴族たる者どのようなパーティーでも出会う可能性はあるでしょう」
「そ、そうですね……これは失礼を」
「いえいえ、アルフ様。お気になさらずに」
シンディとは違い、アルフは明らかに兄さんを見て動揺しているようだった。婚約破棄以降では初めての対面となるはずだしね。婚約破棄の手続きはお父様たちが行ったから……。
「さて、挨拶も済んだことですし……アルフ、向こうの食事を食べてみない?」
「あ、ああ……そうだな、シンディ。そうしようか」
「うふふ、私、お腹がペコペコだったの」
なんという自然な会話だろうか……二人は既に私達から興味を離している。正確にはアルフではなく、シンディが離しているということだけれど。本当に婚約破棄のことは何も話さないつもりなのだろうか?
「それじゃあ、二人とも。私達はこれで失礼致しますわ」
「ま、またな……テレーズも……」
「は、はい……」
アルフは辛うじて気まずそうにしていたけれど、シンディはまったく悪びれている様子がなかった。なんて人なの……他人の人生をメチャクチャにしておいて……謝りもしないなんて。
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