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39話 修道院から戻り…… その2
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「ぶふっ!!」
「あっ! そこのあなた! 今、私の頭を見て笑ったわね! あなたは僻地への異動要請を議会にするわ」
「ええ、そんな!!」
マリア姉さまの坊主頭のおかしさに、とうとう耐えられなくなったのは、使用人の一人だった。私やカイン様もギリギリだったけれど、彼が上手く生贄になってくれたと言える。場が一気に盛り上がったから。危なかったわ……私もカイン様も正直耐えるのが限界になっていたから。
今の雰囲気なら笑顔を見せていても誤魔化せるしね。お父様とお母様ももしかしたら、耐えていたのかもしれないわね。
「姉さま、流石にそれは無理がありますよ……ご自分のお顔を鏡で見てください」
「テレーズまで……!」
「うふふ、でも、私はその髪型も嫌いではありませんよ? しばらくはその髪型でパーティー等に参加されてはどうですか?」
「あなたも言うようになったわね……」
「おかげ様で。色々と勉強をさせていただきましたので」
「そうみたいね……まあ、勉強不足なのは私の方だったのだけれど……」
そう言いながら、マリア姉さまは私から視線を逸らすと、カイン様の方向を見ていた。
「この度は、本当にご迷惑をお掛けしました、カイン・サンタローズ辺境伯。数々の無礼を働いてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
と、今更の謝罪ではあるけれど、マリア姉さまはカイン様にそう言うと深々と頭を下げた。
「気にしないでくれ、マリア嬢。今はもう何も思っていないさ、今後の行動でマリア嬢の反省を証明してくれればそれで良い」
「かしこまりました、カイン様。必ず証明してみせますわ」
「ああ、期待しているぞ」
マリア姉さまとカイン様は自然と笑顔になって笑い出していた。非常に良い和んだ雰囲気に私もつられて笑顔になってしまう。マリア姉さまは既に修道院としての刑期を終えたので罪は消えた状態ではあったけれど……この瞬間、完全に許されたのだろうと私は考えた。
もう、誰にも以前の件で責められる謂れはないだろう。これからの姉さまなら、貴族の再教育プログラムもしっかりと受け、立派なレディとして成長していくだろうから。私だって辺境伯の妻になるんだから負けられないけどね。
「姉さま、聞きたいことがあるんですけど」
「何かしら、テレーズ?」
「ラゴウ・ジェシス様とはどうするのですか?」
ラゴウ様も鉱山労働から戻って来ているはず……爵位が戻るのも時間の問題だろう。正式な返上は議会を通して行うのだろうけど。マリア姉さまはラゴウ様との婚約を継続するのかしら……? その点が気になっていた。おそらく二人は既に肉体関係になっていたはず。その辺りでもややこしくなりそうだしね。
「残念だけど、テレーズ。私は彼の元に戻れないわ」
「あ、やっぱりそうなんですね……」
まあ、あんな事件があったわけだしね。破局は免れないか……。
「カイン様も聞いていらっしゃらないのですか?」
「ん? どういうことだ?」
「ラゴウ様は鉱山開発事業をしばらく進めていくらしいです。どうも、その働きぶりを評価されて管理者に抜擢されたのだとか」
「……えっ?」
私とカイン様は思わず顔を見合わせてしまった……一体、ラゴウ様に何があったのだろうか?
「あっ! そこのあなた! 今、私の頭を見て笑ったわね! あなたは僻地への異動要請を議会にするわ」
「ええ、そんな!!」
マリア姉さまの坊主頭のおかしさに、とうとう耐えられなくなったのは、使用人の一人だった。私やカイン様もギリギリだったけれど、彼が上手く生贄になってくれたと言える。場が一気に盛り上がったから。危なかったわ……私もカイン様も正直耐えるのが限界になっていたから。
今の雰囲気なら笑顔を見せていても誤魔化せるしね。お父様とお母様ももしかしたら、耐えていたのかもしれないわね。
「姉さま、流石にそれは無理がありますよ……ご自分のお顔を鏡で見てください」
「テレーズまで……!」
「うふふ、でも、私はその髪型も嫌いではありませんよ? しばらくはその髪型でパーティー等に参加されてはどうですか?」
「あなたも言うようになったわね……」
「おかげ様で。色々と勉強をさせていただきましたので」
「そうみたいね……まあ、勉強不足なのは私の方だったのだけれど……」
そう言いながら、マリア姉さまは私から視線を逸らすと、カイン様の方向を見ていた。
「この度は、本当にご迷惑をお掛けしました、カイン・サンタローズ辺境伯。数々の無礼を働いてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
と、今更の謝罪ではあるけれど、マリア姉さまはカイン様にそう言うと深々と頭を下げた。
「気にしないでくれ、マリア嬢。今はもう何も思っていないさ、今後の行動でマリア嬢の反省を証明してくれればそれで良い」
「かしこまりました、カイン様。必ず証明してみせますわ」
「ああ、期待しているぞ」
マリア姉さまとカイン様は自然と笑顔になって笑い出していた。非常に良い和んだ雰囲気に私もつられて笑顔になってしまう。マリア姉さまは既に修道院としての刑期を終えたので罪は消えた状態ではあったけれど……この瞬間、完全に許されたのだろうと私は考えた。
もう、誰にも以前の件で責められる謂れはないだろう。これからの姉さまなら、貴族の再教育プログラムもしっかりと受け、立派なレディとして成長していくだろうから。私だって辺境伯の妻になるんだから負けられないけどね。
「姉さま、聞きたいことがあるんですけど」
「何かしら、テレーズ?」
「ラゴウ・ジェシス様とはどうするのですか?」
ラゴウ様も鉱山労働から戻って来ているはず……爵位が戻るのも時間の問題だろう。正式な返上は議会を通して行うのだろうけど。マリア姉さまはラゴウ様との婚約を継続するのかしら……? その点が気になっていた。おそらく二人は既に肉体関係になっていたはず。その辺りでもややこしくなりそうだしね。
「残念だけど、テレーズ。私は彼の元に戻れないわ」
「あ、やっぱりそうなんですね……」
まあ、あんな事件があったわけだしね。破局は免れないか……。
「カイン様も聞いていらっしゃらないのですか?」
「ん? どういうことだ?」
「ラゴウ様は鉱山開発事業をしばらく進めていくらしいです。どうも、その働きぶりを評価されて管理者に抜擢されたのだとか」
「……えっ?」
私とカイン様は思わず顔を見合わせてしまった……一体、ラゴウ様に何があったのだろうか?
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