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19話 恋路 その2
しおりを挟むあの日から数日が経過した。私はヴィクター兄さまと共に舞踏会に出席している。
「さて、ウィンベル! 国王陛下に自信を持って紹介できる相手を見つけなくてはな!!」
「ヴィクター兄さま……」
私はヴィクター兄さまの張り切りように、少しだけ引いていた。引いていた、というのは失礼に値するけれど、運命の相手はやはり、ヴィクター兄さまにも居なかったというわけだから。
「兄さま、約束の相手なんて居なかったのですね? それならそうと、正直に言えば良かったのに……」
「ゼノン国王陛下の前でそんなこと言えるわけがないだろう? 妹よりも運命の相手を見つけていない兄など……威厳が下がってしまうし……」
ここまで来たら、威厳の問題ではないような気がするけれど、まあ面白いから良いか。
「私は別に構いませんけど、ゼノン様に知られたら、不敬罪に問われるかもしれませんよ? 血を分けた父上とはいえ、国王陛下を欺いたのですから」
「う、ううむ……それはマズイな! それではなんとしても、次の再会までに運命の女性を見つけなければ!」
「頑張ってくださいね、兄さま」
「よし! 任せておけ!」
私はヴィクター兄さまの態度を見ながら笑っていた。普通に考えれば、次の再会までに運命の相手を紹介出来なかったとしても、不敬罪に問われるとは考えにくい。兄さまもそのくらいは分かっているだろうけれど、彼のプライドが許さないのだろう。私としても楽しみではあった。
「私の心配をしてくれるのは嬉しいが、お前もちゃんとした相手を見つけるのだぞ? 間違っても、サンセット様のような相手は選ばぬようにな」
「はい、肝に銘じておきます」
サンセット様のような相手は流石にお断りだ……私程度の人間に、興味を持ってくれるお方が居るかはともかくとして、運命の相手選びはこの舞踏会から始まっていたのだ。
ある意味では、ヴィクター兄さまとの競争と言えるのかもしれないわね。
もちろん、私は負ける気なんてなかった……サンセット様は失敗したけれど、私が先に婚約した事実は変わらないのだし。この点は唯一、ヴィクター兄さまに勝っている事柄かもしれない。私の方が恋愛経験が豊富だと言うことだ。
よ~し、頑張っちゃうんだから!!
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