婚約破棄とのことですが、あなたは既に詰んでいますよ?

マルローネ

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2話

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「コルデン様、伯爵ともあろうお方が突然の婚約破棄とは……見損ないましたぞ」

「ふん。そんなどうでも良い話をする為にやってきたのか、お前達は?」


 コルデン様はまったく悪びれている様子はなかった。いくら伯爵様とはいえ、この態度はないと思う。姉さまだけでなく、子爵であるお父様も来ているのに……。


「そういうことです。実は以前から様子を窺っていたのです。コルデン様が婚約破棄をローズに言い渡さないかをね」

「どうでもいい話……随分と酷いことを言いますのね、コルデン様」

「ふん。様子を窺っていたというのはどういうことだ? 発信機でもつけていたのか?」

「違いますとも、そんなことではありません。私達は屋敷の外でしばらく張っていたのです。あとは……コルデン様ならお分かりでしょう?」


 ん? どういうことだろうか。屋敷の外でお父様達は張っていたの? そうだとしても、婚約破棄の会話なんて聞こえないはずだけれど……。

「我が屋敷の者が手引きしたと言うことか……そうなんだな?」

「その辺りはご想像にお任せいたしますよ、コルデン様」


「ぬっ……リブガロ、貴様……!」

「……」


 コルデン様の様子が変化した。明らかに怒っている感じだわ。お父様や姉さまは彼を挑発しているように見える。仮にコルデン様の屋敷の者の手引きがあったとして……いえ、そうでなければ、こんなベストタイミングで来ることはできないでしょうけれど……それを告白して良いことなの? 犯人捜しをされたら、大変なことになるんじゃ……。


「リブガロ、なかなかやってくれるじゃないか。ただの子爵だと思っていたがな」

「コルデン様、私は何も言っていませんよ?」

「ふん。犯人捜しを始めるとするか。すぐに割り出せるだろうしな。そいつはクビだ」


 やっぱりこういうことになった……私でも分かることだし、お父様や姉さまが察していないわけはないのだけれど。どういうつもりなのかしら?


「ははは、犯人捜しですか」

「なんだ? なにかおかしいのか? リブガロ」

「いえいえ、とんでもありませんよ。犯人捜しは別に構いませんが、先に婚約破棄の件を片付けませんかな?」

「いいだろう。どのみち、ローズとの婚約破棄は決定事項だ。片付けるも何も終わっているがな」

「はは、それは安心しましたよ。私も話を聞いて、とてもコルデン様に大切な娘はやれないと思いましたので。婚約破棄は妥当な線と言えるでしょうな」


「お父様……」


 私もコルデン様がここまで酷いということが分かってしまった。婚約関係をこれ以上続けられないのは分かったけれど。お父様も姉さまも妙に落ち着いている。逆にコルデン様はイライラしているように見えるけれど……大丈夫なのかしら?
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