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4話 薬屋経営 その1
しおりを挟む父さんの提案で私は貴族街に店をオープンさせることになった。店の名前はなぜか「パメラ屋」理由は良く分からないけれど可愛いからいいかな。
貴族街の街道にオープンさせることになったので、露店商のようなものだった。
「オープンまで数日……なんだか緊張して来たわ」
「アリッサなら大丈夫よ。私もサポートしてあげるから心配しないで」
「ありがとう姉さん」
最初の内は姉さんも手伝ってくれるとのこと。姉さんも忙しい身なのに申し訳ない。薬の調合で在庫なども増やさないといけないから最初はどうしても人手がいるわね。姉さんは薬を作れないけれど他のところで役立ってくれるらしい。
「でもまさか、婚約破棄された勢いでお店を出すことになるなんて思わなかったわ」
「本当にね。父さんの提案とはいえ……私もビックリしたわ。でも、これは良いことかもしれないわよ」
「う~ん、どうなんだろう」
正直、不安の方が大きい。店の経営なんてやったことないから、ほとんど趣味で出している店みたいなものだ。繁盛するとはとても思えなかった。
「オープンさせる以上、上手く経営したいとは思うけれど正直な話、繁盛はしないと思うわ」
「あら、アリッサは自分を過小評価しているわね」
「調合の技術も盗まれたから……トトメス様は大量生産すると言っていたから、私の薬なんて売れないと思うわ」
トトメスは確かにそう言っていた。王家にも繋がりを持たせるみたいなことも言っていたかしら。そんな大事業にするなら、私個人の店なんてほとんど意味はないだろう。
「本当に盗めていたらの話だけどね」
「それってどういうこと?」
「まあ、店をオープンさせたら分かるわよ。父さんの言っていた意味がね」
「うん……わかったわ」
よくわからないけれど、とりあえず納得することにした。今はとにかく店を成功させることを考えた方がいいわね。オープンまで数日、数日……ちなみに露店の為の建物の設置は執事達がやってくれている。私達は薬の在庫を増やす作業などを担当しているわけで、錬金窯で大忙しだった。
「薬の種類はこんなものでいいかな? 姉さん」
「回復薬に毒回復薬、風邪薬……いいんじゃないかしら? あとは攻撃アイテムなんかを作ったらいいかもね」
「貴族街でそんなの必要になるかしら?」
「評判になれば周囲の冒険者なんかも来てくれるかもしれないでしょ?」
「う~ん、そうかな」
一般の冒険者が来るまで繁盛するのかしら? 私にはとても信じられなかった。姉さんは繁盛すると確信があるみたいだけれど。まあ、とにかくオープンは近い。繁盛できるように頑張らないとね。
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