G.F. -ゴールドフイッシュ-

筆鼬

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G.F. - 再始動編 -

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今日の全ての撮影が終わって…時刻は午後7時50分を過ぎていた。


黒のタートルネックにスリムな濃紺デニムパンツ、靴は履き口にふわふわなファーの付いた黒色ショートブーツ。
その上に灰色のロングのチェスターコート…そんな元々着てきた私服に着替えたYOSHIKAさん。


『ゴメンね。今夜は大切なフレンドとディナーの約束があるの』


そう言って手を振って『皆さん。それと信吾くん。明日は絶対にディナー、ご一緒しましょ』と…ネオン輝く夜の東京の街に、蜃気楼のように消えていった…。
東京の街は、見る風景全てがもうすっかりクリスマスの彩り。


『中澤カメラマンさん、メイクの岩塚くん。今日は本当にお疲れ様』


監督さんは続けて『明日は東京駅の南口前で集合。時間は9時で』とだけ言って…撮影スタッフを引き連れて帰っていった。


『お疲れだったな。信吾』

『はい。お疲れ様でした』


見てて気持ちがスッキリするような笑顔で、雄二さんが誘ってくれた。


『さぁて…腹減ったなぁ!信吾。お前は何が食いたい?』


…そうなんだ。
雄二さんと一緒のときは、いつも雄二さんが夕食を奢ってくれてた。


『僕は…雄二さんが食べたいものなら何でも』

『遠慮すんな!だったら寿司でも食いに行くか!』

『いや、あの…だったら普通にラーメン屋さんでも』

『ラーメン屋?…行くぞ!今夜は寿司屋だ!』


…結局、高級なお寿司を奢ってもらってしまった…。
雄二さん、いつもすみません…今夜も…。







撮影2日目の朝…。
僕は一人、電車で千代田区丸の内の東京駅へ。

集合時間よりも20分も早く、東京駅南口前まで来たんだけど…。


『あ、おはようございます!岩塚さん!』
『おはようございます。岩塚信吾さん』


若い男性スタッフさんと女性スタッフさんが、もうそこに居た。
雄二さんは?…まだ来てないみたい。


『早いですね。おはようございます…』


って挨拶したら…女性スタッフさんが変なことを言う。


『今日は初めての人と、二人で来たんですね』

『えっ?いや、僕一人で…』


『?』って思って、後ろを振り返ると…!


『おはようございます。初めまして。僕は冴嶋プロダクションの池田孝良と言います』


な、何で!?池田さんがここに…!?


『ふっふっふ。今日は人事部員として、岩塚くん…君の活躍状況を観に来たんだよ』


腕を組み、自慢そうにそう言う池田さん…。


『…サボりですか?』

『サボりじゃないっての!ちゃんと高須賀部長の許可も貰って来てるっての!君の業務の様子見参観だっての!』


そうなんですか…へぇ。
…なんて、池田さんと話してたら、今ちょうど雄二さんも来た。







『では、今日の撮影現場へご案内しますね』


若い女性スタッフさんと男性スタッフさんが歩き出した。
それに僕も雄二さんも池田さんも付いていく。


『えっと…今日はどんなイメージの撮影なんですか?』


モデルはもちろん、昨日と同じYOSHIKAさん。


『午前のイメージは《とあるビルの屋上で黄昏る、仕事バリバリ敏腕キャリアなOL》で、午後は《スポーツジムで…》』







…無事に今日の撮影も終わった。
それはいいんだけど…い、池田さん…。

YOSHIKAさんをメイクする僕の仕事ぶりを遠目から見学してるとか、撮影してる雄二さんとYOSHIKAさんの様子を少し離れた位置から見物するとか…それは構わなかったけど…。

いつ、どんなタイミングだったのか分からないけど…YOSHIKAさんに言ったっぽい…?



午前10時になって『じゃあ、僕はそろそろ帰るから。頑張って!』って、冴嶋プロダクション事務所へと帰っていった池田さん。

お昼休みに、YOSHIKAさんやスタッフさんら全員と揃ってレストランに行ったとき、YOSHIKAさんが…。


『…うん。確かに…かも』

『えっ?な、何ですか…?』


僕の顔を見ながら、そんな意味深なことを言ったYOSHIKAさん。


『昨日から信吾くんを見てて、私思ってたんだよね…』

『?』

『信吾くんってさ、メイクできるんだから自分をメイクしてみたら、本物の女の子みたいにすっごく可愛く成れるんじゃない?』

『えっ!』























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