G.F. -ゴールドフイッシュ-

筆鼬

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G.F. - 再始動編 -

page.517

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『あ!』


急に何かを思い出し、両手を叩いた鈴ちゃん。


『えっ?なに??』

『詩織ちゃんも信吾くんも、元日にアンナファミリーのみんなで初詣に行くこと、聞いた?』

『あー』


詩織は《それのことね》みたいな顔を見せた。
対して、僕だけが頭の中で《?…!!?》になっていた。


『鈴ちゃんは誰から聞いたの?』

『私は春華ちゃんから聞いたんだけど…』


鈴ちゃん、春華さんとそこまで仲良くなってたんだ…っていうか、そういえば鈴ちゃんと春華さんって同い年なんだった。そんな共通点があるからこそ、ここまで仲良くなれたんだと考えれば、別に不自然なことではないかって思える。


『…それで、詩織ちゃんと信吾くんは行けるの?アンナファミリーの初詣』


鈴ちゃんは僕と詩織を順に見た。
詩織は変わらないニコニコ笑顔だったけど、僕の表情はたぶん戸惑い顔。


『うん。《私とは絶対参加できるよん♪》って答えておいたから。私は秋良くんにだけどね』

『金魚…えっ!?待って!僕そんな話聞…』


…って、そこまで言い掛けたら、詩織が振り向いて僕を見て《大丈夫よ。ここは私に任せといて♪》ってふうに、僕に右手でグーサインしながら、首をかしげて可愛くウィンクして見せてきた…。

待ってよ!違う!僕はここは任せた!とか任せないとか、そういうことを言いたかったわけじゃない…!


『…あー。ふんふん。だよねだよね…』

『でも、私は本当に参加できるかどうかは、まだ…』

『そうなんだぁ』


鈴ちゃんと詩織の2人だけの会話は続いている…。
僕は若干《蚊帳の外》状態…。


『…ってことで、信吾。今の話わかった?』


は?…どういう…??


…詩織が少し怒るような残念な顔をする。


『だーから。信吾は鮎美ちゃんが、啓介くんの車でお迎えに来てくれるってことらしいよ…って私たちの話、ちゃんと聞いてなかったの?』

『あ、えぇと…あの…ご、ごめん』

『んもぅ。しっかりしてよね。きゃははは』



「詩織ちゃーん。早く…」

『あ、はーい!』


詩織が和田先生に呼ばれた。


『歌とか振り付けのリハ練に加わらなきゃ。じゃあ私行くね』


詩織は『鈴ちゃん、ありがとう!』と言いながら、メンバーの方へと急ぎ離れていく。
鈴ちゃんは詩織に小さく手を振った。


『鈴ちゃんくらいの有名アイドルだったら、お正月はテレビ出演とかで忙しいんじゃない?』

『ううん。お正月の放送特番って、半分くらいは生放送じゃなくて収録放送なの』


あ…そうだっか。
僕は思い出したかのようにウンウンと頷いた。


『だから私も11月の終わり頃から先週まで、ずっとお正月番組の収録参加で忙しかったんだ』

『へぇ。なるほど』


それで少なくとも、今のところは元旦は仕事のスケジュール予定からは解放…アンナファミリー大集合の初詣に参加できそう…ってことらしい。


『詩織ちゃんは、芸能界で上手くやっていけそう?』

『うん。今のところ大丈夫そう…かな?』

『そう。じゃあ良かった。ふふっ』


鈴ちゃんと僕は小さく笑った。鈴ちゃんの笑顔を見てると、やっぱり《ずっと可愛いし、本当に天使みたいだな…》って、しみじみと感じて…なんだか安心する。

平和を祈る?アイドルグループ《Peace prayer》を卒業した元メンバーの鈴ちゃん。

そんな鈴ちゃんと比べて、詩織ときたら…。



詩織はというと《笑顔は可愛い天使。でも性格は時々ちょっと小悪魔になる詩織》って感じ…。
いつも僕に相談なく、僕の予定を詩織が勝手に決めたりするし…。

《僕が詩織のサブマネージャー》なのか《詩織が僕の私生活まで突っ込んだ、パーソナルマネージャー》なのか…って何だろこれ。

でも、あの詩織の可愛らしい笑顔を見せられると…まるで魔法でも掛けられたかのように《まぁ…いっか。うん》って、何故か許してしまうんだよね…不思議。



でも鈴ちゃんは言ってた。
《そんな詩織ちゃんの憎めない性格って、神様からプレゼントされた、誰にも真似できない羨ましい可愛い魅力よね》って。

ほんとだよ…。

何でも大抵は許せてしまう、詩織のあの小悪魔天使な可愛い笑顔…あれはずるすぎる。

























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