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G.F. - 夢追娘編 -
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タタッと急に、更に詩織の正面へと接近した藤川さん。
そして詩織を緩く睨む藤川さんの目…けど詩織はそれに臆することなく、じっと彼女の目を見つめて返している。
『岡本詩織ちゃん?あなた、最近アイドルになったばっかの新人って…自分で言ってたよね?』
藤川さんが意地悪そうにニヤリと笑う。
それを見て詩織は少し困惑の表情に…。
…確かに。詩織は生放送内で『アイドルグループ《Peace prayer》に入ったばかりの岡本詩織です。宜しくお願いしまーす』って自己紹介してた。
『だったら!番組が始まる前に先輩アイドルのうちらの控え室に、挨拶に来るのが《じょーしき》じゃない!?』
今度は高井さんが、そう言って詩織の目の前へと近寄ってきた。
藤川さんと高井さんの二人に、ジリジリと詰め寄られる詩織…。
『…えぇと、ごめんなさい』
『えぇとごめんなさいじゃない…!』
視線を外し、軽く頭を下げて謝った詩織を…藤川さんはそんなキツい、攻めるような言葉で斬り返した。
『…でも、時間が無かったの』
『はぁ?』
『生放送開始の10分前に、慌ててやっと…私たち控え室に入ったものだから…』
『ナメてんの?』
『…えっ』
今もキツい視線で詩織を睨む高井さんのその一言に、驚いてまたこの二人と視線を交わらせた詩織。
『うちらのことナメてんの?って』
『だったら挨拶しに来て、遅刻すれば良かったじゃない…ねぇ』
挨拶を優先にして、それで遅刻しろって…。
僕が『もうやめてもらえませんか!詩織にそんな理不尽な言い掛かり…』ってそう言い掛けると、詩織はまた僕を見て《私なら大丈夫よ。だから…》って、視線だけで僕に答えて返した。
『だから!外野は黙ってなさいって!』
今度は僕まで…藤井さんに睨まれる始末。
見てる僕までイライラしてくる…!
…なんだコイツら!!
詩織たちがギリギリ局入りになったのも、お前ら所属の事務所《Kira♠︎m》の身勝手な予定変更のせいだろ!!
『新人だったら同じ業界で活躍する先輩方に、本日はどうぞ宜しくお願いしますって、控え室まで挨拶に来るのがこの業界のモラル…って、まさかそんな事も知らなかったとか言わないよね?』
『えっ?知らなかったの?ヤバーい。アハハハ』
今度はそうやって、二人で詩織を嘲笑いだした…!
『あとね、所属事務所が違うから挨拶いらなーいとかって、冗談にもならないバカみたいな理屈もやめて…』
『だけど!もうそういう挨拶とか気にしなくていいって!この前そう決まったはずじゃない!』
…優羽ちゃん!
微かに肩を震わせながら、頑張ってこの二人を睨み返してそう言い返した優羽ちゃん。
『あれれ…中原優羽ちゃん?私たちにそんな口利いていいの?…ねぇ!!』
『あんなの、そっちの事務所の上の人らが勝手に言い出したことじゃない。うちらには関係ないしー。これからだって、これがアイドル界の上下関係…常識なんだから』
『…えっ?優羽ちゃん…どういうことなの…?』
そう訊いた詩織に優しく微笑んで返し、優羽ちゃんは再びこの二人をキツく見た。
『…去年の夏の《湘南R5/summerアイドルフェス》の控え室で、舞莉ちゃんとうちのリーダーの海音ちゃんが喧嘩になったの!この挨拶とか色んなことで!』
『あのクソ女の名前を出すなぁ!中原優羽!私に思い出させるなァァ!!』
『それでうちの事務所と《きらむ》の事務所が話し合って…!』
『おい!この中原優羽!!』
僕は一瞬、この藤川さんが優羽ちゃんに飛び掛かろうとしたように見えて、だから慌てて護るように優羽ちゃんの前に立った。
そんな藤川さんを、高井さんも体を張って抑えようと必死だった。
『止めて!リーダー!おっ落ち着いて!!』
『うわぁぁー!もうあんた達!許さないからぁぁ!』
…!!?
いつの間にか、詩織も千景ちゃんも優羽ちゃんの前に立って、3人で優羽ちゃんを守ってた。
『リーダー、まだシメてないの?早くやっちゃってよー』
控え室の扉がガチャッと開き、HoneyMaidsの他のメンバーだろう女の子が顔を覗かせた。
『…あ…ぇ?』
『…え?』
藤川さんも高井さんも振り向いてそれを見た。
『メンバーのみんな待ってるよ。今夜は《銀座牛極》店貸切りで焼肉ぱーちーでしょ。早く行こ♡』
『今夜は《牛極プラチナム焼肉コース》お一人さま37,000円から~。事務所の奢り~ふふっ♪』
あっちのメンバーのもう一人も顔を覗かせた。
『…。』
『…。』
また正面へと振り返り、僕らを見る藤川舞莉さんと高井芹奈さん。
『…まぁいいわ。今日は…これくらいにしといてあげるけど』
少し疲れた様子?の藤川さん。
『2月11日の《バレンタインフェス》の日は…あなた達覚えておきなさいよ!今度こんなんだったら、もぅ許さないから!!』
「海音ちゃんがいるときは、ビビってもっと態度が小っちゃかったくせに…」
『…はぁ?』
『今なんか言った!?中原優羽!』
ボソッとそう言った優羽ちゃん。『いえ。私なーにも言ってませーん』って外方を向いた。
『挨拶が遅れてごめんなさい。これからどうぞ宜しくお願いします。《Peace prayer》の岡本詩織です』
つま先を揃え、両手を下腹部を軽く押さえるように重ね添えて、微笑んで綺麗に丁寧に会釈した詩織。
『マジで遅いし…ってか、なんなのこの詩織って子。だからうちらをナメてんの?って…ってか、もう行こっリーダー』
『この《二流アイドルグループ》が…あー!!イライラするー!!』
控え室の扉を勢いよくバタン!と閉めて出て行ったあの二人…そして全員が安堵。
『優羽ちゃん…助けてくれてありがとね!』
『わぁぁ…私怖かったぁ。あはははは』
詩織と優羽ちゃんが、互いを見合って笑い合った。
そして千景ちゃんもまた釣られるように笑って…。
なんであんな子たちが《日本屈指の人気アイドルグループ》なんて言われてるんだろう?
顔は確かに可愛いかも?とは思うけど…。
でもあんな態度や下品さじゃ…。
でも全然《Peace prayer》のメンバーのみんなの方が、優しさとか振る舞いとか気遣いとか…魅力的だし、僕は好きだって思うんだ。
そして詩織を緩く睨む藤川さんの目…けど詩織はそれに臆することなく、じっと彼女の目を見つめて返している。
『岡本詩織ちゃん?あなた、最近アイドルになったばっかの新人って…自分で言ってたよね?』
藤川さんが意地悪そうにニヤリと笑う。
それを見て詩織は少し困惑の表情に…。
…確かに。詩織は生放送内で『アイドルグループ《Peace prayer》に入ったばかりの岡本詩織です。宜しくお願いしまーす』って自己紹介してた。
『だったら!番組が始まる前に先輩アイドルのうちらの控え室に、挨拶に来るのが《じょーしき》じゃない!?』
今度は高井さんが、そう言って詩織の目の前へと近寄ってきた。
藤川さんと高井さんの二人に、ジリジリと詰め寄られる詩織…。
『…えぇと、ごめんなさい』
『えぇとごめんなさいじゃない…!』
視線を外し、軽く頭を下げて謝った詩織を…藤川さんはそんなキツい、攻めるような言葉で斬り返した。
『…でも、時間が無かったの』
『はぁ?』
『生放送開始の10分前に、慌ててやっと…私たち控え室に入ったものだから…』
『ナメてんの?』
『…えっ』
今もキツい視線で詩織を睨む高井さんのその一言に、驚いてまたこの二人と視線を交わらせた詩織。
『うちらのことナメてんの?って』
『だったら挨拶しに来て、遅刻すれば良かったじゃない…ねぇ』
挨拶を優先にして、それで遅刻しろって…。
僕が『もうやめてもらえませんか!詩織にそんな理不尽な言い掛かり…』ってそう言い掛けると、詩織はまた僕を見て《私なら大丈夫よ。だから…》って、視線だけで僕に答えて返した。
『だから!外野は黙ってなさいって!』
今度は僕まで…藤井さんに睨まれる始末。
見てる僕までイライラしてくる…!
…なんだコイツら!!
詩織たちがギリギリ局入りになったのも、お前ら所属の事務所《Kira♠︎m》の身勝手な予定変更のせいだろ!!
『新人だったら同じ業界で活躍する先輩方に、本日はどうぞ宜しくお願いしますって、控え室まで挨拶に来るのがこの業界のモラル…って、まさかそんな事も知らなかったとか言わないよね?』
『えっ?知らなかったの?ヤバーい。アハハハ』
今度はそうやって、二人で詩織を嘲笑いだした…!
『あとね、所属事務所が違うから挨拶いらなーいとかって、冗談にもならないバカみたいな理屈もやめて…』
『だけど!もうそういう挨拶とか気にしなくていいって!この前そう決まったはずじゃない!』
…優羽ちゃん!
微かに肩を震わせながら、頑張ってこの二人を睨み返してそう言い返した優羽ちゃん。
『あれれ…中原優羽ちゃん?私たちにそんな口利いていいの?…ねぇ!!』
『あんなの、そっちの事務所の上の人らが勝手に言い出したことじゃない。うちらには関係ないしー。これからだって、これがアイドル界の上下関係…常識なんだから』
『…えっ?優羽ちゃん…どういうことなの…?』
そう訊いた詩織に優しく微笑んで返し、優羽ちゃんは再びこの二人をキツく見た。
『…去年の夏の《湘南R5/summerアイドルフェス》の控え室で、舞莉ちゃんとうちのリーダーの海音ちゃんが喧嘩になったの!この挨拶とか色んなことで!』
『あのクソ女の名前を出すなぁ!中原優羽!私に思い出させるなァァ!!』
『それでうちの事務所と《きらむ》の事務所が話し合って…!』
『おい!この中原優羽!!』
僕は一瞬、この藤川さんが優羽ちゃんに飛び掛かろうとしたように見えて、だから慌てて護るように優羽ちゃんの前に立った。
そんな藤川さんを、高井さんも体を張って抑えようと必死だった。
『止めて!リーダー!おっ落ち着いて!!』
『うわぁぁー!もうあんた達!許さないからぁぁ!』
…!!?
いつの間にか、詩織も千景ちゃんも優羽ちゃんの前に立って、3人で優羽ちゃんを守ってた。
『リーダー、まだシメてないの?早くやっちゃってよー』
控え室の扉がガチャッと開き、HoneyMaidsの他のメンバーだろう女の子が顔を覗かせた。
『…あ…ぇ?』
『…え?』
藤川さんも高井さんも振り向いてそれを見た。
『メンバーのみんな待ってるよ。今夜は《銀座牛極》店貸切りで焼肉ぱーちーでしょ。早く行こ♡』
『今夜は《牛極プラチナム焼肉コース》お一人さま37,000円から~。事務所の奢り~ふふっ♪』
あっちのメンバーのもう一人も顔を覗かせた。
『…。』
『…。』
また正面へと振り返り、僕らを見る藤川舞莉さんと高井芹奈さん。
『…まぁいいわ。今日は…これくらいにしといてあげるけど』
少し疲れた様子?の藤川さん。
『2月11日の《バレンタインフェス》の日は…あなた達覚えておきなさいよ!今度こんなんだったら、もぅ許さないから!!』
「海音ちゃんがいるときは、ビビってもっと態度が小っちゃかったくせに…」
『…はぁ?』
『今なんか言った!?中原優羽!』
ボソッとそう言った優羽ちゃん。『いえ。私なーにも言ってませーん』って外方を向いた。
『挨拶が遅れてごめんなさい。これからどうぞ宜しくお願いします。《Peace prayer》の岡本詩織です』
つま先を揃え、両手を下腹部を軽く押さえるように重ね添えて、微笑んで綺麗に丁寧に会釈した詩織。
『マジで遅いし…ってか、なんなのこの詩織って子。だからうちらをナメてんの?って…ってか、もう行こっリーダー』
『この《二流アイドルグループ》が…あー!!イライラするー!!』
控え室の扉を勢いよくバタン!と閉めて出て行ったあの二人…そして全員が安堵。
『優羽ちゃん…助けてくれてありがとね!』
『わぁぁ…私怖かったぁ。あはははは』
詩織と優羽ちゃんが、互いを見合って笑い合った。
そして千景ちゃんもまた釣られるように笑って…。
なんであんな子たちが《日本屈指の人気アイドルグループ》なんて言われてるんだろう?
顔は確かに可愛いかも?とは思うけど…。
でもあんな態度や下品さじゃ…。
でも全然《Peace prayer》のメンバーのみんなの方が、優しさとか振る舞いとか気遣いとか…魅力的だし、僕は好きだって思うんだ。
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