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G.F. - 大逆転編 -
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『ねぇ、もしもよ。今後私たちのあの頃のことを、ドラマ化することがあったとしたら、絶対に菊江さん役を演じるのは浅見さんだよね!きゃははは♪』
僕らのあの日々をドラマ化?
…なんてなる日が来るかなぁ。
それが実現したら、それはそれで凄く面白いけど。
でも万が一本当にそうなったら、確かに浅見さんだね。菊江さんの役は。
じゃあそのとき、金魚や詩織の役を演じるのは…誰?
『ねぇ詩織ちゃん達。変だと思わない?』
…ん?
その声に振り向いた、僕と詩織。
そこにはYOSHIKAさん。
確かにYOSHIKAさんが言うとおり…《Kira♠︎m》所属の女の子たちの影も姿も感じられない…。
絶対に何かしてくる…今日は必ず、あの子たちとまた衝突する…。
そう強く警戒心を持って、ここに来たんだけど…。
いや、衝突も何も無ければ…それはそれでいい。
別にそれを望んではいないから。
『でも私も信吾も、最後まで注意を続けて警戒します!』
『うん。その方がいいね。今日の収録が終わるまでは』
僕も賛同して強く頷いた。
このまま、何もなく終わるなんて思えない。
必ず何かやってくる…あの子たちのことだから。
それにしても、番組制作スタッフ以外のスタジオ見物者の数…凄かったな。
あれはたぶん…局の運営に関わる理事役員の人とか、協賛スポンサー企業のお偉い方とか、僕でも見たことあるような、有名な女子アナウンサーさん達の団体とか、その上司さんぽい中年の男性とか…。
みんな、ヒソヒソと何か話しながら、僕を指差してた…。
『《あー。休憩中のスタッフの皆さん。再開します》』
また、あのADのお姉さんの声が響き渡る。
やっと収録の本番かな。長かったな…。
『《では、頭からカメリハ行きます。皆さん頑張りましょう!宜しくお願いします!》』
…うっ。
カメリハ…カメラリハーサル…。
そっか。そうだよな…。
まるで士気を鼓舞するように、スタジオ内に響く拍手と『頑張るぞ!』『よし!頑張ろう!』の声が湧き上がる。
長いな…今日の収録は…。
今度は実際に、本番と同様にカメラ撮影を行いながらのリハーサル。
さっきのドライリハーサルよりも、場面場面によってプロデューサーやディレクターの厳しい指示の声が飛び交う。
『音声!マイクの感度!大丈夫か!』
「はい!音量適正!ノイズなし!大丈夫です!」
『よし。TK!このコーナーの尺は!』
「えっと…あ、はい!現在3秒押しです!」
『3秒押しか…本番では何とかしてくれ!あと次の《CMイン》のタイミングとカメラパンニング!気をつけろ!』
「はい!」
「やります!」
うわぁ…。
ディレクターさんに、酷使されるスタッフさん達…。
ほんと大変そう…皆さん頑張ってください。
『おい!4カメ!追いが遅いぞ!ちゃんとやれ!』
「す、すみません!!」
このスタジオ内に張り詰めた空気感…凄すぎ。
…長い長い、カメラリハーサルもやっと終わった…。
午後0時30分から始まったリハーサル。
気付けば、時刻はもう午後6時を過ぎていた。
これから15分の休憩。
ADのお姉さんや他のスタッフが、おにぎりやサンドイッチ、それにお茶を振る舞って配っていた。
『なんやねん、岩塚くんの噂の女装姿、見れる思て楽しみにしてたのに。結局収録本番までお預けかいな』
おにぎりを口に頬張りながら、《街マン》の堀田さんがそう言った。
『…すみません』
僕もサンドイッチを一口齧りながら、そう言って謝った。
すると堀田さんは『わははは』と豪快に笑って僕に返した。
『別に何も謝らんでもええんやで。楽しみちゅうもんは待てば待つほどめっちゃデカなるもんやからな。本番がめっちゃ楽しみやわ。まじで期待してるでー』
『ありがとうございます…』
あとで金魚に変身することに、ちょっとプレッシャー…?
『私、化粧室に行ってくるね』
そう僕に言ったYOSHIKAさん。
化粧室…あ。
トイレか。
「あの子たちが通路に居るか、偵察ついでに…ね」
僕の耳元で囁いた、YOSHIKAさんの透き通るような声…ちょっと耳がくすぐったい。
『じゃあ私も一緒に行きたいです!』
詩織もYOSHIKAさんと化粧室に行くことに。
『…ねぇ。信吾くんは?行かないの?』
えっ?あ…じゃ僕も行きます。
『《では皆さん!いよいよ収録本番です!頑張りましょう!》』
再び、スタジオ内が拍手と《自己鼓舞する気合いの声》で溢れた。
『よっしゃあ!これで最後や!頑張っていこか!』
堀田さんの声が、一番元気をくれる…ような気がする。
『みんな。今夜も私のお店《BAR アヤエ》に集まってくれて…ありがとうね。とっても嬉しいわ…』
司会進行役である、女性バーテンダー姿の小林綾恵さんの、このしっとりと落ち着いた台詞から、収録本番は始まった。
…同じこの台詞を聞くのも、もう3回目だけど。
『…今夜はね、みんなに紹介したい、可愛い新人さんがいるの。紹介してもいいかしら?』
『…まずは、こっちの子…見て。岡本詩織ちゃんよ』
カウンターに座っている詩織が、くるっと振り向く。
「おぉー」「可愛いな」「えぇな」
男性出演者の演出…これも聞き飽きたくらい。
『ね…可愛いでしょ。そして、こっちの男の子が…岩塚信吾くんよ』
カウンターの、詩織の隣に座る僕もくるっと振り向く。
『はーぁ!?てかお前誰やねん!ここ素人が来てええ店ちゃうで!見たこともあらへんわ!』
小さな笑いが湧き起こるスタッフ陣営。
『えっと…すみません』
そして謝る僕…これもスタッフさんから僕にリクエストされた、場面演出と台詞。
この台詞を言うのは僕は2回目。
それにしても、本当に上手だな…堀田さんの《まるで僕を初めて見た》ような演技。
詩織も、それを凄く楽しそうに笑って見てるし。
僕らのあの日々をドラマ化?
…なんてなる日が来るかなぁ。
それが実現したら、それはそれで凄く面白いけど。
でも万が一本当にそうなったら、確かに浅見さんだね。菊江さんの役は。
じゃあそのとき、金魚や詩織の役を演じるのは…誰?
『ねぇ詩織ちゃん達。変だと思わない?』
…ん?
その声に振り向いた、僕と詩織。
そこにはYOSHIKAさん。
確かにYOSHIKAさんが言うとおり…《Kira♠︎m》所属の女の子たちの影も姿も感じられない…。
絶対に何かしてくる…今日は必ず、あの子たちとまた衝突する…。
そう強く警戒心を持って、ここに来たんだけど…。
いや、衝突も何も無ければ…それはそれでいい。
別にそれを望んではいないから。
『でも私も信吾も、最後まで注意を続けて警戒します!』
『うん。その方がいいね。今日の収録が終わるまでは』
僕も賛同して強く頷いた。
このまま、何もなく終わるなんて思えない。
必ず何かやってくる…あの子たちのことだから。
それにしても、番組制作スタッフ以外のスタジオ見物者の数…凄かったな。
あれはたぶん…局の運営に関わる理事役員の人とか、協賛スポンサー企業のお偉い方とか、僕でも見たことあるような、有名な女子アナウンサーさん達の団体とか、その上司さんぽい中年の男性とか…。
みんな、ヒソヒソと何か話しながら、僕を指差してた…。
『《あー。休憩中のスタッフの皆さん。再開します》』
また、あのADのお姉さんの声が響き渡る。
やっと収録の本番かな。長かったな…。
『《では、頭からカメリハ行きます。皆さん頑張りましょう!宜しくお願いします!》』
…うっ。
カメリハ…カメラリハーサル…。
そっか。そうだよな…。
まるで士気を鼓舞するように、スタジオ内に響く拍手と『頑張るぞ!』『よし!頑張ろう!』の声が湧き上がる。
長いな…今日の収録は…。
今度は実際に、本番と同様にカメラ撮影を行いながらのリハーサル。
さっきのドライリハーサルよりも、場面場面によってプロデューサーやディレクターの厳しい指示の声が飛び交う。
『音声!マイクの感度!大丈夫か!』
「はい!音量適正!ノイズなし!大丈夫です!」
『よし。TK!このコーナーの尺は!』
「えっと…あ、はい!現在3秒押しです!」
『3秒押しか…本番では何とかしてくれ!あと次の《CMイン》のタイミングとカメラパンニング!気をつけろ!』
「はい!」
「やります!」
うわぁ…。
ディレクターさんに、酷使されるスタッフさん達…。
ほんと大変そう…皆さん頑張ってください。
『おい!4カメ!追いが遅いぞ!ちゃんとやれ!』
「す、すみません!!」
このスタジオ内に張り詰めた空気感…凄すぎ。
…長い長い、カメラリハーサルもやっと終わった…。
午後0時30分から始まったリハーサル。
気付けば、時刻はもう午後6時を過ぎていた。
これから15分の休憩。
ADのお姉さんや他のスタッフが、おにぎりやサンドイッチ、それにお茶を振る舞って配っていた。
『なんやねん、岩塚くんの噂の女装姿、見れる思て楽しみにしてたのに。結局収録本番までお預けかいな』
おにぎりを口に頬張りながら、《街マン》の堀田さんがそう言った。
『…すみません』
僕もサンドイッチを一口齧りながら、そう言って謝った。
すると堀田さんは『わははは』と豪快に笑って僕に返した。
『別に何も謝らんでもええんやで。楽しみちゅうもんは待てば待つほどめっちゃデカなるもんやからな。本番がめっちゃ楽しみやわ。まじで期待してるでー』
『ありがとうございます…』
あとで金魚に変身することに、ちょっとプレッシャー…?
『私、化粧室に行ってくるね』
そう僕に言ったYOSHIKAさん。
化粧室…あ。
トイレか。
「あの子たちが通路に居るか、偵察ついでに…ね」
僕の耳元で囁いた、YOSHIKAさんの透き通るような声…ちょっと耳がくすぐったい。
『じゃあ私も一緒に行きたいです!』
詩織もYOSHIKAさんと化粧室に行くことに。
『…ねぇ。信吾くんは?行かないの?』
えっ?あ…じゃ僕も行きます。
『《では皆さん!いよいよ収録本番です!頑張りましょう!》』
再び、スタジオ内が拍手と《自己鼓舞する気合いの声》で溢れた。
『よっしゃあ!これで最後や!頑張っていこか!』
堀田さんの声が、一番元気をくれる…ような気がする。
『みんな。今夜も私のお店《BAR アヤエ》に集まってくれて…ありがとうね。とっても嬉しいわ…』
司会進行役である、女性バーテンダー姿の小林綾恵さんの、このしっとりと落ち着いた台詞から、収録本番は始まった。
…同じこの台詞を聞くのも、もう3回目だけど。
『…今夜はね、みんなに紹介したい、可愛い新人さんがいるの。紹介してもいいかしら?』
『…まずは、こっちの子…見て。岡本詩織ちゃんよ』
カウンターに座っている詩織が、くるっと振り向く。
「おぉー」「可愛いな」「えぇな」
男性出演者の演出…これも聞き飽きたくらい。
『ね…可愛いでしょ。そして、こっちの男の子が…岩塚信吾くんよ』
カウンターの、詩織の隣に座る僕もくるっと振り向く。
『はーぁ!?てかお前誰やねん!ここ素人が来てええ店ちゃうで!見たこともあらへんわ!』
小さな笑いが湧き起こるスタッフ陣営。
『えっと…すみません』
そして謝る僕…これもスタッフさんから僕にリクエストされた、場面演出と台詞。
この台詞を言うのは僕は2回目。
それにしても、本当に上手だな…堀田さんの《まるで僕を初めて見た》ような演技。
詩織も、それを凄く楽しそうに笑って見てるし。
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