Storm princess -白き救世主と竜の姫君-

かぴゅす

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第2章:私達には戦う意志がある

第2章:私達には戦う意志がある(6)

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 蟻に跨って降りてきた場所は恐ろしく広大な空洞であった。天井は優に10数mは上にあり、広さも屋内競技場もかくやというほどの広さがある。
  その中央に鎮座するのは巨大な腹部を持つ蟻の化け物であった。周囲の蟻たちと比べても数倍は大きいその体躯はそれが蟻の女王であることを教えていた。その頭部についた巨大な顎や、前足についた死神の鎌のような鍵爪はそれがその体躯に見合う戦闘能力を有していることを誇示しているようである。
  だが、所詮は大きいだけの生物に過ぎない。それだけでは戦略級の攻撃能力さえ有するアイラ達の敵ではない。
  女王は自身の前に立つアイラ達の方に首を向ける。だが、敵対行動を示すわけでもなく、一瞥しただけで別の方へと首を向けた。それにとってアイラ達は周囲で働く蟻たちと大差のない存在と認識したのだろう。

 「じゃあ、始めるね」

  そう言ってリミアは両手を左右に大きく広げる。そして、脚を動かしてステップを踏み、まるで踊るように身体を躍動させる。この舞踊のような動きは大掛かりな魔道式を組み上げる際の詠唱法であるという。魔法というものは動作を交えて詠唱する方が効果が大きい。もちろん、呪文のみでもできなくはないが、同じ規模の魔法を詠唱するならば動作を交えたほうが詠唱時間が大幅に短縮される上に魔力の消費も少なくて済む。

  時間にして約10分程、マナの収束が終わり、術式が完成に近づく。周囲に集まるマナがまるで蛍のように淡い光を放つ。燐光に包まれて踊るリミアの姿はまるで妖精のようであった。

  何らかの異変に気がついたのか、蟻の女王がリミアの方に首を向け鋭い鳴き声のようなものをあげる。だが、今更警戒しても遅い。蟻達が動作を始める前にリミアの魔法は完成した。

  頭上高くに掲げられたリミアの手に青白い電撃が迸る。彼女が最も得意とする大規模攻性魔法『雷神乃鎚ミョルニル』だ。
  リミアが掌を女王蟻に向けると同時に雷光球が放たれる。超高電圧の雷を圧縮したそれは女王蟻に命中し、周囲に凄まじい雷光を撒き散らしながら弾ける。
  リミア自身とアイラは攻撃対象から外されている為、あらゆるものを焼き尽くす雷の嵐の中にあっても無傷である。しかし、その強烈過ぎる閃光は一時的に彼女達の視界を奪った。

  閃光が収まった後、アイラ達が見たのはすでに動いていない女王蟻とその取り巻きたちであった。身体のあちこちが焼け付いておりどう考えても生きているようには見えない。

 「やった!」

  蟻の女王を仕留めたリミアが歓喜の声をあげる。会心の出来の雷神乃鎚であったことは疑うべくもない。

 「後は『瞬間移動テレポート』で帰るだけだね、アイラ」

  笑顔で言うリミアにアイラは沈黙で返す。おかしい。目の前の巨大生物は確かに生きていないように見える。だが、完全に生命活動が中断されていない。

 「どうしたの、アイラ?」

  そんなアイラの態度に違和感を覚えたリミアがアイラの方に手を伸ばそうとする。それに対し、アイラはリミアを突き飛ばした。
  驚愕の表情を浮かべるリミアと、苦虫を噛み潰したような顔のアイラ。そして、1秒前にリミアがいた場所に振り下ろされた鉤爪の一撃。

 「どうして…」

  驚愕の表情でアイラといまだ動いている巨大生物を見比べるリミア。放たれては敵を撃たぬことのなかった雷神乃鎚を受けて生きている者がいるとは思えなかったのだ。

 「害虫ほどしぶといものね」

  アイラは地面に突き刺さっている、半ば炭化した女王蟻の爪に触れる。そして、それを握力でへし折り、量子配列変換を開始する。バキバキバキという異音が数秒続き、やがてそれは全長1.5mほどの金属の筒状のものになった。

  もはや死に体と思われた蟻の女王が身体を起こす。そして、その背中が割れ、まるで蛹から孵る蝶のように、蟻の害骨格の中から別の生き物が姿を現す。
  それは青白い肌の女性のような姿。背中に蜂のような羽を持ち、頭部に触覚を生やした全裸の女性のような姿のそれは10mを超える化け物である。その顔は長い黒髪の美しい女性のようであるが、その手の指先には蟻の女王のものよりも巨大で鋭い鉤爪存在している。また、身体の各部には昆虫を思わせる外骨格らしき部位が残っている。臀部には蟻の腹部らしいものも付いていた。

 「ドレッド・クィーン…、まさかまだ残っていたなんて」

  その姿を見たリミアが戦慄を露にし言う。
  ドレッドクィーンは古代魔煌文明時代に生み出された一種の人造生命体である。昆虫型モンスターの女王に寄生するそれは、モンスターの集団を乗っ取り能動的に人を襲わせるなどの目的で使用される。しかし、ドレッドクィーンは100年以上前に全て破棄されたとされている。今の世界には残ってないはずの兵器であった。

 「あれを始末しないと帰れそうにないですね」

  そう言ってアイラは中指と親指を弾く。乾いた音とともにリミアの後方から轟音が鳴り響いた。見ればこの部屋の入り口が完全に崩落している。ここに入ってくる前にアイラが仕掛けた爆弾が爆発したのだ。これで残存している蟻達がこの部屋に入ってくることは当分ない。

 「これで消えてくれるといいのだけど」

  アイラは金属の筒を構えてクィーンの方へ向ける。そして、そのトリガーを引いた。そこから撃ち出されたのは今までリミアが見たこともない大きな弾丸。ただしそれは、自身の後方から火を噴出し自力で飛翔しているように見えた。
  スティンガー携行式対空ミサイル。アイラの元いた世界で軍事知識が少しある者ならば、この武器をそう呼んだであろう。

  クィーンは自身に迫る脅威を察したのか、大きく垂直に上昇しそれをかわそうとする。だが、ミサイルはそれを追いかけてクィーンに迫る。アイラの視線に誘導されたミサイルは狙いを過つことはない。そして、いかにクィーンの運動性が優れていても、マッハ2.2の速度とミサイルの運動性から逃れることは出来ない。
  ミサイルは着弾し、大きな爆発を起こす。低空飛行の戦闘機すら破壊する威力を誇るスティンガーを受けて無事でいられる生物など通常ではありえない。

  だが、爆煙を突き抜けて怪物の女王は姿を現す。そして、亜音速で急降下し鋭い鉤爪の一撃をアイラに振り下ろす。その動きからスティンガーによるダメージは見受けられない。

  アイラはすぐに後方に飛び下がり、その一撃をかわす。同時にスティンガーを高速量子配列変換開始。次の一撃まで時間はない。
  クィーンは飛び下がるアイラに追撃の横薙ぎを見舞う。アイラは手にしたもので下から爪を跳ね上げた。ぎりぎりで完成したそれは巨大な鋼鉄の剣。だが、その刀身はあまりにも大雑把なつくりであり、ほとんど鉄塊のようなものであった。だが、こんなものでもアイラの膂力と合わさればスティンガーを超える破壊兵器になりうる。

  そこにリミアの放ったクリスタルビットが殺到する。ビットはクィーンを包囲しようとするが、クィーンはすぐさま上空に飛び上がりそれを回避する。ビットが追おうとするが速度が違いすぎて追いつけない。

  上空に舞い上がったクィーンは臀部の蟻の腹部の部分をアイラに向ける。そして、その先端からおびただしい量の赤い液体を放った。それは強烈な酸であり、鋼鉄さえも一瞬にして溶かす。

  すぐさまビットが陣形を組み結界を張る。光のバリアは酸を見事に防いだ。だが、残った魔力ではそう長い間は持たない。
  そう判断したリミアはクィーンへ攻撃を仕掛ける。意識化に待機させている遅延魔法式を即時展開。準2級攻性魔法『戦乙女乃槍(バルキリー・ジャベリン)』起動。
  リミアの前に光の槍が現れる。純粋なエネルギーの塊である槍は銃弾に匹敵する速度で自動的にクィーンに飛び命中する。リミアの魔力で放たれるこの魔法は分厚い城壁すら貫通する。だが、クィーンにはほとんどダメージを与えられているように見えない。せいぜい酸の発射を中断させる程度にひるませただけである。

 「厄介な相手ね」

  アイラは忌々しそうに言う。スティンガーはおろかリミアの魔法でさえダメージを与えられないとは尋常な防御力ではない。飛び道具でクィーンを仕留めるのは事実上不可能だ。戦術核や大規模攻性魔法を用いれば撃破も出来るだろうが、前者は自分達もまず無事では済まず、後者は周辺の残存魔素の欠乏で発動不可能であろう。

  今クィーンは天井付近でホバリングしている。次に仕掛ける機会をうかがっているのか、単に待っているのかは分からない。事実時間が経ちすぎれば土の壁を掘り返して巣に残る蟻達がこの部屋になだれ込んでくる。時間はクィーンの味方なのだ。

 「どうしよう、アイラ」

  リミアが不安げな表情でアイラに近づいてきて言う。リミアも現在の状況は理解している。更に周辺の残存魔素が帰還用のテレポートを除けば、簡単な魔法を後1~2回使う程度しか残ってないことも理解していた。

 「近接戦を挑むしかありません」

  そう言ってアイラは右手の親指を八重歯で傷つけ、そこから流れ出た血で剣を形成する。アイラの血で作られた単分子の刃はどのような装甲でも易々と切り裂き、注入されたナノマシンで結晶化させる。これならばクィーンも撃破出来るだろう。だが、亜音速で飛び回るクィーンに近接戦を仕掛けるのは尋常な手段では不可能だ。何とか足を止める必要がある。

 「姫、『物質転送アポート』と『液体操作ウォーターコントロール』は使えますか?」

 「使えるけど、どうして?」

  アイラの言葉にリミアは首を傾げる。両者ともリミアにとって難しい魔法ではなく、周辺の魔素もなんとか足りる。だが、そんなものが一体なんの役に立つのか分からない。

 「では、お願いしますね」

  そう言ってアイラはポケットから通話石を取り出して起動させる。

 「アロー? 聞こえる、エリオット。ローザはいる?」

 『いますよ? 切り札を切るんですか?』

 「うん、そう。すぐ代わって」

  一瞬間があって通話石から女性の声が聞こえる。

 『はいはい。準備は出来てるけど?』

 「ならすぐに魔香草を火にくべて」

  魔香草はこの大陸のほとんどどの地方でも見かける草で、体内に魔素を溜め込む性質を持つ。それを乾燥させたものは魔素煙幕として用いられ、周囲の空間への魔素の補充(ただし、効率は非常に悪い)の他、魔法を使う際のマーキングとして用いられる。

 『了解。まあ、アイラを信じるよ』

  その言葉を最後に通信は切れた。通話石が魔力を使い切ったのだ。そして、これで十分だ。

 「姫、今から地上で魔素煙幕が焚かれるので、その付近の釜を探知して中身をあの女王にぶちまけて下さい」

 「うん。それから?」

 「その液体で洗ってやってください、奴を」

  リミアはアイラの指示に首を傾げながら従う。意図するところがよく分からないが、アイラを信じるしかない。
  リミアは目を閉じ、地上に意識を向ける。魔素煙幕を発見したリミアはその側の釜の中身をロックする。すかさず魔法詠唱開始。物質転送は高度ではあるがリミアにとっては大したことのない魔法だ。詠唱は瞬時に終了する。
  次の瞬間、クィーンの頭上に大量の液体が現れる。よける必要がないと判断したのか反応し切れなかったのか、水の塊はクィーンに直撃する。100度近い熱湯ではあるが、その程度ではクィーンの身体にダメージを与えることは出来ない。
  その水はこぼれることなくクィーンの身体にまとわり付いてうごめき始める。リミアが水を操作しているのだ。自動的にその身体を洗われるクィーン。水の正体は屋敷にある石鹸を溶かせるだけ溶かした高濃度の石鹸水だ。その身体の表面が泡立ち始め、シャボンの泡が周囲に散った。

  暫くしてクィーンが唐突に飛行の姿勢を崩した。見ればその表情は苦悶に歪んでいる。
  昆虫は気門によって息をする。界面活性剤で油を落とされ、気門がふさがれてしまえば息が出来ないのだ。人間に酷似しているドレッド・クィーンもその例外ではなかったのだ。

  すぐさま、アイラは壁に向かって飛ぶ。そして、壁を蹴り靴底とその接触面を高速量子配列変換でつくった接着剤でくっつける。それを強引に引き剥がし、左足を同じ要領でくっつける。その繰り返しで壁を駆け上がっていく。
  凄まじい速度で壁を駆け上がっていくアイラ。彼女がクィーンのところにたどり着いたのはわずか10秒。それにクィーンは対応することが出来ない。
  アイラは壁を蹴り、女王に直進する。そして、その身体に赤い剣を突き立てた。剣を中心に結晶化が始まり、クィーンはもがきながらその身体を崩壊させていく。

 「私の勝ちね、虫の女王様?」

  崩壊していくクィーンの身体を蹴り、再び壁に飛びついたアイラは言う。今度こそこの巣の女王は倒れた。彼女の最期をフェロモンの伝達が途切れたことでいずれ知る蟻達はこの地方を去るであろう。

  アイラ達は勝ったのだ。 
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