異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

文字の大きさ
1,057 / 1,137
連載

閑話:畑と聖女とケーキ!

しおりを挟む
「まさかの・・・」
 ユラは思わず声が漏れる、そしてイーレンも頷きながら広い畑を見つめる。

「市場じゃなくもぎたてフルーツとは思わなかったわ。」
「新鮮なのですっ!」
「それはそうだろうけどねぇ。」
 ユラ、イーレン、イーナは大きく広がる畑を見つめる、目の前には日本で見たことのある果物が実っていた。

「ここはパイナップル畑だね、あっちに見えるのは何だろう。」
「んー遠くてわからないわね。」
「あれはメロンなのですっ!」
 目の良いイーナが言うと、ユラとイーレンは笑みを浮かべる。

「これは沢山食べれそうだね。」
 ユラは嬉しそうに言うが、イーレンは苦笑いで答えた。

「いや、ケーキのぶんだけで良いんだけどね?」
「沢山食べられるのですよ?」
「多くていいじゃん、他にも作れば♪」
 ユラは既に沢山採る気満々だ。

「聖女様、お待たせしました、今食べごろの物を採ってまいりました。」
 パイナップル畑を管理している男がユラに話しかける。

「ありがとうございます、イーナおねがい♪」
「任せるのです。」
 イーナは山積みになった籠をアイテムボックスに入れる。

「大きいですね。」
 イーレンがたわわに実ったパイナップルを見ながら呟く。

「はい、この付近の畑はジブラロール王国の農家から教えて頂いた堆肥を使っておりますので。」
「おー、多分タイキおとーさんの開発したやつだー♪」
 ユラは嬉しそうに言うと、イーレンとイーナも頷く、すると農家の男は不思議そうに呟く。

「この畑では、このフェニクシスをずっと育てておりました、ですが、ジブラロールの堆肥を使い出し、大きく、そして強く、甘く育つようになったのです。」
 不思議そうに言う男にユラはウンウンと頷く。

「小学校でそう言えば習ったね。」
 イーレンが言うと、イーナもウンウンと嬉しそうに頷き答える。

「芋ほりと家庭菜園のお爺ちゃんにおしえてもらったのです!」
 イーナは知っている知識の為か、物凄く嬉しそうだ。

「聖女様は何故このように育つのかお知りになっておりますのですか?」
「はい♪」
 ユラは頷き返事を返す、男が知りたそうな目でユラを見つめる、ユラは習った事を思い出しながら答える。

「えっと、畑のことを少しお話ししますね、人や家畜のフンを畑に撒くと、作物がとっても元気に育つんです。これは窒素肥料と呼ばれるものなんですけど・・・でも、窒素だけだと、実は小さくて、大きく育たないんです。そこで、昔の人が気づいたのが、骨なんです、 土に埋まった骨には、果物や作物を大きくする栄養がたっぷりあるんですよ。だから、骨を細かく砕いて土に混ぜると、実の質が良くなって、収穫量もぐんと増えるんです、これが、リン酸肥料の始まりなんですよ。」
 ユラは思い出しながら話す、すると、イーレンも続きを話始めた。

「でも、それだけだと、味がちょっと物足りなかったり、病気や虫に弱かったりするんです。そこで、草や枝を燃やしてできた灰を撒くと、作物の味がとっても美味しくなって、病気にも強くなるんです、これはカリ肥料って言うんですよ、ただ、これらを全部一緒に畑に撒くと、発酵の熱で根っこが傷んでしまうこともあるんです・・・だから、材料を山のように積み上げて、ゆっくりじっくり発酵させて、熱を下げてから畑に使うんです、そうすると、悪い菌や虫の卵も死んで、栄養がちゃんと整うんです。それが、堆肥と呼ばれるものなんです。」
 2人の言葉に男はフムフムと真剣な目で2人の言葉を聞く。

「堆肥は理にかなった畑の栄養なのですっ!」
 ドヤっ!と言わんばかりに無い胸を張るイーナ。

「イーナ覚えてたわけ?」
「もちろんなのです!」
「ほんとにぃ?」
「もちろんなのです!記憶力は良いのですよ?」
「「そういえばそうだったわ。」」
 ユラとイーレンは、イーナの記憶力の良さを思い出しながら笑う。

「ありがとうございます聖女様。」
「いえいえ。」
「では次の畑にご案内致します。」
 男はそう言うと、聖女達をメロン畑に連れて行った。


-------------------------


「イーナ、どれくらい入ってる?」
「沢山なのですよ。」
 イーレンが問いかけると、呆れる様に答えるイーナ。

「えっと、お支払いの方なんですけどぉ。」
 ユラが言うと、首を横に振る農家の女性。

「聖女様から頂けませんわ。」
「・・・えーっと、後日ジブラロールからお支払いさせていただきますのでっ!」
「いえ、大丈夫でございます♪」
「・・・ありがとうございます。」
 ユラはお礼を言うと、イーレンとイーナも礼を言い馬車に乗り込む。

「やっぱり貰ってくれないね。」
「チハルおねーちゃんの言った通りだね。」
「あとで支払うのです?」
「多分そうなるんだと思う、おねーちゃんにお任せしよう!そうしよう!」
 深く考えるのを止めたユラは笑いながら2人に言う、そして馬車はトコトコと走り王城へ到着する、そして国王と王妃に見送られフェアリーリングでジブラロールへ戻ると・・・

「ただいま!チハルおねーちゃん!」
「おかえりー、沢山貰えた?」
「うん、やっぱりお金貰ってもらえなかった。」
「だろうねー、あとでお礼しておくから気にしなくて良いよ、あと、シャリーちゃん呼んでるからケーキの作り方教えてもらえばいいよ。」
「シャリーおねーちゃんくるの?」
「来ると言うか・・・拉致?」
 千春はシレっと目の前に座るアイトネを見る。

『今、お店のお仕事終わったわ、呼ぶ?』
「うん。」
「チハルおねーちゃん・・・拉致って。」
「あ、さっき呼んで良いか確認してるから大丈夫だよ。」
 千春が説明をしていると、アイトネは指をパチンと鳴らす、そして目の前にシャリーが現れる。

「・・・こんにちは。」
「いらっしゃい!」
「アイトネ様、試作品です。」
『♪』
 シャリーは新しいスイーツを綺麗な箱に入れアイトネに渡す。

「何作ったの?」
「リンゴのコンポートを使った紅茶マドレーヌです、アイトネ様が食べたいと・・・先程言われていたので。」
「・・・アイトネ、シャリーちゃん来れるか確認してって言ったとき、おねだりしたの?」
『おいしそうーって言っただけよ?』
「あ、そう。」
「チハルさん、ハルミアちゃんにプリンも持ってきてますよ♪」
「ありがとー!ハルミも喜ぶよ♪」
 嬉しそうにする千春を見てシャリーは微笑む、そして。

「で、用事は何ですか?」
 素に戻るシャリーは問いかける。

「あ、ユラたちがクリスマスケーキ作るんだけど、教えてもらって良い?」
「いいですよ♪」
 シャリーはそう言うと、エプロン姿のユラたちを見る。

「どんなケーキが良いのかな?」
「「「フルーツケーキ!」」」
「おっけー♪それじゃ作りますかぁ♪」
 シャリーは腕捲りをすると、ユラたちを連れ、千春の厨房へ入って行った。












しおりを挟む
感想 3,743

あなたにおすすめの小説

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒
恋愛
孤児院で育ったケイトリーン。 十二歳になった時特殊な能力が開花し、体調を崩していた王妃を治療する事に… 無事に王妃を完治させ、聖女と呼ばれるようになっていたが王妃の治癒と引き換えに能力を使い果たしてしまった。能力を失ったにも関わらず国王はケイトリーンを王子の婚約者に決定した。 周囲は国王の命令だと我慢する日々。 だが国王が崩御したことで、王子は周囲の「能力の無くなった聖女との婚約を今すぐにでも解消すべき」と押され婚約を解消に… 行く宛もないが婚約解消されたのでケイトリーンは王宮を去る事に…門を抜け歩いて城を後にすると突然足元に魔方陣が現れ光に包まれる… 「おぉー聖女様ぁ」 眩い光が落ち着くと歓声と共に周囲に沢山の人に迎えられていた。ケイトリーンは見知らぬ国の聖女として召喚されてしまっていた… タイトル変更しました 召喚されましたが聖女様ではありません…私は聖女様の世話係です

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした

楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。 仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。 ◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪ ◇全三話予約投稿済みです

「結婚しよう」

まひる
恋愛
私はメルシャ。16歳。黒茶髪、赤茶の瞳。153㎝。マヌサワの貧乏農村出身。朝から夜まで食事処で働いていた特別特徴も特長もない女の子です。でもある日、無駄に見目の良い男性に求婚されました。何でしょうか、これ。 一人の男性との出会いを切っ掛けに、彼女を取り巻く世界が動き出します。様々な体験を経て、彼女達は何処へ辿り着くのでしょうか。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。

木山楽斗
恋愛
平民であるフェルーナは、類稀なる魔法使いとしての才を持っており、聖女に就任することになった。 しかしそんな彼女に待っていたのは、冷遇の日々だった。平民が聖女になることを許せない者達によって、彼女は虐げられていたのだ。 さらにフェルーナには、本来聖女が受け取るはずの報酬がほとんど与えられていなかった。 聖女としての忙しさと責任に見合わないような給与には、流石のフェルーナも抗議せざるを得なかった。 しかし抗議に対しては、「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」といった心無い言葉が返ってくるだけだった。 それを受けて、フェルーナは聖女をやめることにした。元々歓迎されていなかった彼女を止める者はおらず、それは受け入れられたのだった。 だがその後、王国は大きく傾くことになった。 フェルーナが優秀な聖女であったため、その代わりが務まる者はいなかったのだ。 さらにはフェルーナへの仕打ちも流出して、結果として多くの国民から反感を招く状況になっていた。 これを重く見た王族達は、フェルーナに再び聖女に就任するように頼み込んだ。 しかしフェルーナは、それを受け入れなかった。これまでひどい仕打ちをしてきた者達を助ける気には、ならなかったのである。

竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」 ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。 竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。 そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。 それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。 その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた! 『ママ! 早く僕を産んでよ!』 「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」 お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない! それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――! これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。 設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。