異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

文字の大きさ
386 / 1,224
連載

王様って大変!

「んーむぅー。」
「陛下どうされました?」
「この案件何個目なんじゃろなぁ。」
 エイダン国王は書類を見ながら答える。

「あー、エンハルト殿下の分ですね。」
「うむ・・・の分?」
「えぇ、その下の方にまだありますので。」
「・・・コレ国家機密案件じゃぞ?」
「はい、そうです。」
「1日に2枚も国家機密が増えるか!?」
「なぜ2つだとお思いで?」
「2枚じゃ無いのかぁぁぁ。」
 机に伏せるエイダンは書類を見る。

「・・・コレはもう遅いのでは無いか?」
 紙にはユラと頼子の神託スキルが書いてある。

「確かに貴族も見ています、侍女や執事も神モート様よりスキルを頂く所を見ておりますから。」
「チハルの方は何かあれば1番に疑われるからのう。」
 エイダンはお忍びで王都に行き、行きつけの酒場で色々と噂を聞いた、一の姫様だろうと噂されている事は間違い無く千春の仕業だった。

「チハル王女殿下、そしてじぇーけー軍団と言われているヨリコ様達に関しては異世界からの訪問と知識以外はもう良いのでは?」
「そうじゃなぁ、聖女で女神アイトネ様を呼べる事も当たり前の様に知られておるからの。」
「ロイロ殿達も王都で受け入れられております、妖精のルル、ポポもですね。」
「ふむ、話は変わるが飛空島はどうなっておるんじゃ?」
「メイソンの話ですと区画整理が終わり家を建てているそうです、チハル王女殿下からお聞きしましたがモート連邦国辺りを定期的に往復させ交易を考えられておりました。」
 それを聞いたエイダンは天井を仰ぐ。

「調味料や食材じゃろうなぁ・・・。」
「間違いないと思われます。」
「飛空艇で移動するには遠いか。」
「運べる荷も限界が有りますので、それをお伝えした所そう言う事で考えておられました。」
「ルーカス、お前のせいじゃないか。」
「違います。」
「・・・チッ。」
 舌打ちをするエイダン、そして次の紙を見る。

「・・・はぁ。」
「そちらは温泉宿の件ですね。」
「コレは本当なのか?」
「はい、女神アイトネ様が言われたと聞きました、念のために魔道師団に調査させました所、微弱ながらも万能薬と同じ効果が得られるとの事でした。」
「原因は・・・世界樹の浴槽・・・なーーーにやっとるんじゃあの娘は。」
「既に調子が良くなるとの噂で大月3つ分の予約が入り、今も増え続けています。」
「じゃろうなぁ!儂も入りたいわ!」
「あ、王族はいつでも入れますよ。」
「本当か?よし、仕事が終わったら行こう。」
「良いんですか?」
「微弱なんじゃろ?最近心労と肩こりが酷いんじゃ。」
 原因はチハル王女殿下でしょう?と言うのを堪える宰相ルーカス。

「次はなんじゃ・・・かじの?」
「カジノですね。」
「カジノとは何じゃ・・・賭け事が出来る施設、賭け事なんぞどこでもやっておろう?」
「はい、闘技大会等が有れば普通にやってます。」
「今更じゃの・・・これもチハルの案件か。」
「正確に言うとロイロ殿の例の所ですね。」
「裏ギルドか?」
「はい、かなり成果が出ております。」
「ふむ、賭け事は構わぬが賭けは身を滅ぼすぞ?」
 何か思うことがあるのかエイダンは苦笑いする。

「商業ギルド、生産ギルドも一枚噛んでおります、仕事の斡旋等もするそうです。」
「借金背負って強制労働か。」
「市井に広げるのは様子見だそうです、まずは貴族と言っておりました。」
「・・・大丈夫か?」
「娯楽が少ないですからね、最近こそリバーシやトランプ、一部貴族には将棋とチェスが広まりました、諜報部からも貴族の妙な動きが激減したと報告が来ています。」
「暇な貴族は何するか分からんからのう。」
「そう言う事ですね。」
「ふむ、やってみるか、ロイロの事だ、考えてやるのであろう?」
「はい、あと税金も発生しますので国としても美味しいですね。」
 ニヤリと笑うルーカス。

「後はコレで最後じゃな、なになに?・・・スライムの養殖場開発計画?」
「はい、チハル王女殿下からの依頼ですね。」
「何故にスライム・・・アレか、デザートに使うと言っておった精霊か妖精喰いと言うやつか。」
「それですね。」
「・・・何処にじゃ?」
「許可が頂ければこれから土地の選別をしていきたいと思います。」
「問題は無いのか?」
「ありませんね、な・ぜ・か最近魔力が豊富に有ると言う事で餌には困りませんので。」
「・・・はぁ、桜の木か?」
「どうもそれだけでは無いようで、ダンジョンの方でも何かしら有ったようだと。」
「ダンジョンか、対策は?」
「アルデア殿から身内がダンジョンマスターをしているので問題無いとの事です。」
 さらっと答えるルーカス、エイダンは頭を抱える。

「魔力が増えると言う事は魔物も増えると言う事ではないか?」
「はい、その対策としても魔力を吸収する事が出来るスライムを養殖するのは有りかと。」
「魔物が増えた所で・・・問題も無い気もするがな。」
「そうですね、定期的に竜騎士が処理しております、そして王都の食事改善もあり冒険者も増えております。」
「・・・許可!」
 ポンと判を押すと紙を横に置く。

「よし!ルーカス!旅館に行くぞ!」
「え?私もですか?」
「儂1人では分からんじゃろう。」
「冒険者時代に宿くらい泊った事あるでしょう。」
「全部メグ達に任せておったからの!」
「威張って言わないで下さい。」
「コレで儂仕事おわりじゃもん。」
「可愛く言わないで下さい気持ち悪いです。」
「王に気持ち悪いとか、不敬じゃぞ?」
「違います。」
「まぁいい、準備せい、儂も準備してくる。」
 そう言うとエイダンはそそくさと執務室から出て行く、ルーカスは書類を纏め手に取ると同じく部屋を出る。

「気分転換も必要ですな。」
 そう呟くとルーカスも温泉宿に行く準備の為部屋に戻った。





感想 4,216

あなたにおすすめの小説

過干渉な親に捨てられた「ゴミ」は、国宝級でして

こじまき
ファンタジー
天才研究者である伯爵令嬢メルティ。しかし両親は「スパダリとの結婚が最高の幸せ」という価値観であり、研究は「普通の貴族女性には無駄なもの」だと彼女を押さえつける。メルティは隠れて研究を続け家族との共存をはかっていたが、母の「善意」により部屋の壁をぶち抜かれるに至り、ようやく悟る。 「もう無理。わかり合えない」 メルティが考えた復讐は、「両親が思い描いた最高の幸せ」を、彼ら自身の手で叩き潰させることだった。 ※小説家になろうに投稿しています。

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

異世界転生パン職人の美味しい開拓記~最高の食パンを焼いたら没落令嬢ともふもふが家族になりました~

黒崎隼人
ファンタジー
前世で腕の立つパン職人であり農家でもあった青年トールは、異世界に転生して驚愕した。 この世界のパンは、硬くてパサパサで、スープに浸さなければとても食べられないものばかりだったのだ。 「美味しいパンで人々を笑顔にしたい」 その純粋な情熱を胸に、トールは荒れ果てた土地を自らの手で切り拓き、最高の小麦を育て上げる。 そして魔法の力も駆使し、この異世界に初めて、雪のように白くてふかふかの「食パン」を誕生させた! その究極の味に衝撃を受けた没落貴族の令嬢セリア、そしてパンの耳が大好きなもふもふ魔獣のアルルと共に、トールは小さなパン屋「食パン商会」を開店する。 一口食べれば誰もが虜になる至高の食パンは、瞬く間に王都中で大人気に! しかし、その成功を面白く思わない巨大商業ギルドが、卑劣な手段でトールたちの邪魔をしてきて……? 理不尽な妨害も、圧倒的なパンの美味しさと職人の意地で完全粉砕! やがて彼らの焼くパンは王宮の晩餐会にまで供され、世界そのものを温かく変えていく。 これは、パンを愛する青年が、極上の食パンと黄金の小麦畑で、大切な人たちと一緒に最高の居場所を作り上げる、優しくて美味しい成り上がりスローライフ!

悪役令嬢、休職致します

碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。 しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。 作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。 作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)

星乃和花
恋愛
おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。 団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。 副団長「彼女のご飯は軍事物資です」 私「えっ重い」 胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!? ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。 (完結済ー本編16話+後日談6話)

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

断罪された聖女は牢の中、かく語りき

空月
ファンタジー
将来を嘱望されていた聖女、メルティ・ラーラは、『魔の者』と通じた罪で牢へと入れられた。 彼女を信じる者たちは、牢の中の彼女へと会いに行くが――?