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3章・冒険ギルド
022・冒険者ルールと心得の説明 その4
しおりを挟む―――それから説明担当の女性の説明は数十分ほど続いた。
「......さて、ルールと心得のお話はに大方終わりましたが、最後に
冒険者として生活するに至って、重要かつ大事な話、冒険者の稼ぎに
よる『税』の話を説明しますね」
「ああ、そっか。そういえば冒険者も仕事だったな!」
「うん。冒険者ってあんま、お仕事ってイメージがないもんね」
「いや、お金が発生するんだから、その時点で気づけよ......」
「まず基本的に、先程の話にも出てきたドロップアイテムや素材等の
売却によって生まれる税金ですが、どれだけ稼いたとしても国から
その税を摂取される事はございません」
「ええ!?で、でも冒険者って、仕事のカテゴリーですよね?それなのに
どうして税金が免除になっちゃうんですか?」
「それは...ですね。その昔、冒険者も仕事ですし、勿論税金を取り立てる
法律はありしました。ありはしたんですが、当時の強欲で強突く張りな
年寄り達があまりにも法外な金額の税金を冒険者達に摂取...請求して
取り立てようとしましてね。その結果、世界中の国々とそこにいる
冒険者達との間でストライキ...いや、あれはもう『戦争』ですね...」
「へはぁ!せ、戦争って、あの戦争ですか!?小競り合いとかデモとか
ストライキとかじゃなく?」
「はい、あの争いは戦争と言っても差し支えないですね......」
説明係のお姉さんは新人冒険者の問いに、真面目な表情で頷く。
「そう...あれは当時の権力を持っている年寄り達が『国の運営する場所で
稼いでいるのだから、法外な金額だったとしても四の五の言わずに税金を
払え!』とか『どうせ取った所で直ぐ同じ金額を稼いでこれるだろう?』
とか言い出してきましてね。国がバックにつけた老人達が法律の名の下に
冒険者達から稼いだお金を摂取していったんですよ。いいえ、あれは摂取
というよりも強奪していったと言った方が正しいですね」
「確か上級冒険者って、月に数十億は楽々稼ぐらしいからな。その稼ぎを
クズな年寄りどもに目をつけられたって感じか?」
「はい。冒険者達は命をチップとし、生と死を賭けて戦います。そして
コンマ一秒で生と死のどちらかにをあっさりと傾き、勝利か敗北へと
傾く。そのような危険な戦いを常に繰り広げ、お金や報酬を稼ぐんです。
だというのに、危険な事を何もしない愚かな年寄り達がそんな冒険者
達から稼いだ金額の三分の二を税として払えと抜かしてきましてね...」
「うわぁ。命を賭けて稼いだお金を三分の二も摂取しようとしたんです
か、その老人達はっ!?」
「言葉の通り、強欲で強突く張りにも程がありますねぇ!?」
「自分の至福を肥やしたい老人達から、法外な税を理不尽に摂取され
続けた結果、冒険者達の怒りがとうとう限界を超える日がやってきました」
「それは当然の怒りだぜっ!命を賭けて得た物をそんな理不尽で意味不明
な理由で摂取なんてされようものなら、俺でも我慢を越えるってのっ!」
「ですね。怒りの限界を越えた冒険者達の殆んどは、B級からS級の冒険者
でしてね。鉄を軽く引き裂き、銃如きではキズひとつ付かない身体。
そして属性耐性も強い。そんな上級冒険者の方々を相手に、国の兵士達や
近代兵器如きでは太刀打ち出来る訳もございません。ホント見事なまでの
ボコボコショーでしたよ」
「まぁ近代兵器って諸刃の剣だもんなぁ。攻撃能力は凄まじいけど小突け
ば一瞬で爆発するし...冒険者達からしたら一方的にワンパンで倒せる
楽勝なターゲットだったろうなぁ......」
「近代兵器でそれでしたので、人と人の戦い...冒険者と兵士の戦闘なんて
最早大人と子供の喧嘩レベルくらいの差があり、兵士達が冒険者から
ボコボコにされてました。ホント、あれは蹂躙でしたねぇ。流石に私も
兵士達が可哀想に思える程の...あ、すいません、やっぱりまったく全然
ちっとも可哀想そうじゃありませんでした!」
説明係のお姉さんがそう説明した後、表情は笑っている筈なのに、全身
からは黒い威圧感が漂っていた。
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