彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り

あおアンドあお

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4章・昇級試験

031・ダブルブッキング?

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「ええ~みなさん、お待たせ致しました。元々の昇級試験を担当する
冒険者の相良が試験官を放棄した事により、昇級試験が一時中断となって
おりましたが、急遽の嘆願の結果『戦乙女』のリーダー、風菜さんが
代わりに昇級試験の試験官をやっていただける事になりました!」

「どうも~望月っちのご紹介を受けた『戦乙女』リーダーの倉井風菜くらいふうなです!」

望月の紹介で、ステージに上がった風菜が、試験を受ける新人冒険者と
会場にいるみんなに、ニコリとした笑顔で会釈をペコッとする。

「おおぉぉお!?マ、マ、マジかっ!あ、あの『戦乙女』の風菜さんと
戦えるのか!?」

「昇級試験なんて受ける訳ないじゃんと思っていたけどさ、これは是非とも
受けなければいけないようだなっ!」

「わ、私も受ける!あのA級冒険者...しかもあの風菜さんと戦える機会なんて
滅多にないだろうしさっ!」

「だ、だよね!そ、それだったら!わ、わたしも受けちゃおうっと!」

風菜が試験官を担当すると知った新人冒険者達は、興奮した表情で
望月の所に試験を受けるべく、次々と移動して行く。

そんな中、

「あ、あれ?風菜さんがいる!?」

「ん?小鳥、今戻ってきたんですか?」

望月がもう一人の試験担当のお姉さんこと、小鳥が戻ってきた事に気づく。

「もう風菜さん~今まで一体どこにいっていたんですかぁ~!『戦乙女』の
パーティがグラウンドにいると聞いて行ったのに、誰もいないんだもの!」

「はは、ちょっと野暮用でちょいとね!で、そっちにいるのは『黄昏の果て』の
佐々木さんだよね?」

「おうよ!小鳥ちゃんが今夜、デートしてくれるって言うもんだから、
試験官の代理人ってやつを受けちゃった♪」

小鳥の連れてきた『黄昏の果て』のパーティメンバー、佐々木が満面の
笑みで小鳥の肩をポンポンと軽く叩きながら、そう答える。

「デ、デートじゃありません!一緒にご飯を食べに行く『だけ』ですっ!」

そんな佐々木の言葉に、小鳥が目をカッと見開いて間違いを正す。

「しかしまさか佐々木くん、あなたも来てくれるだなんてね...でもこれは
どうしましょうか?試験官は正直二人もいらないし......という訳なんで
佐々木くん。悪いんだけどキミの出番はなしという事で良いかな?」

「おいおい、そりゃないぜ、望月さんよ!出番なしだと小鳥ちゃんとの
楽しいデートがオジャンのパーになっちゃうじゃんかよ!」

「何度も言いますけど、デートじゃありません!単なるお食事をするだけ
です!『食』のみですっ!!」

佐々木の抗議に、再度小鳥が食事をするだけと強調口調で正す。

「もう、小鳥ちゃんは相変わらず細かいな~♪そういうとこも好きだぜ♪」

「うげぇ!やめろ、ウインクすんなしぃっ!」

佐々木の苛立つチャラ言動に対し、小鳥が露骨に嫌な顔をして嗚咽を吐く。

「...とまぁ。そういう事で、小鳥ちゃんとの楽しいデー...コホン、お食事会の
チケットをゲットしたってのに、それが無くなっちまうのはマジで勘弁だぜ!
せっかく大事な特訓を後回しにしてまでここに来てやったっていうのによ、
何も果たせずに帰れだなんて、流石にその言葉は不義理が過ぎるんじゃない
のかい、望月さんよ~?」

「うぐ、確かに...今の発言は軽率な言葉でしたね。すいませんでした、
佐々木さん」

佐々木の正論を認めた望月が、頭を下げて謝罪する。

「いいさ、謝まるんだったら許す。あ、そうだ。こういうのはどうだろか、
望月さん?俺が男性を、そして風菜ちゃんが女性を別の場所で同時に担当を
するってのはさ?時間を取られてあんま余裕がないんだろう?」

「......はい。あの馬鹿の...コホン、相良さんのせいで随分時間が押して
いますね......」

時計をチラッと見て、相良さがらのせいで時間がない事を改めて再確認する。

「なら、これでいこうぜ!効率よくちゃちゃっと終わらせる為にもさ♪」

「そうですね。分かりました......それでいきますか!」

時間がないのは間違いないので、望月は佐々木の案を採用する事にした。

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