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05 左大臣からの手紙と聖女の想い
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親愛なるジャクリーヌへ
聖女様ともども、息災なようでなによりだ。
まずは、国の動きを伝えておこう。
おおかたの予想どおり、王の側室だった宰相の娘が王妃となった。
これで宰相の権力は更に強くなったわけだが、もし王妃の腹の子が男児であれば、そしてその子が王太子となれば、彼はもはやこの国で並ぶ者のない権力を手に入れることとなるだろう。
それに関しては、王妃の腹の子を流してしまえの、王妃を暗殺せよだの言い出す輩もいて、いささか剣呑な状態に傾いて行きつつある。
我々の側でさえこうなのだから、宰相の側もいずれは我々の側の勢力を削ぐ策略に出るだろう。
言いたくはないが、聖女様が国を出た途端に、すでに我が国は混乱に陥っている。
聖女といえば……王と宰相は、新しい聖女を招くつもりはないらしい。
これに関しては、王や宰相の側近らも探すなり招くなりするべきだと進言しているようだが、どちらも動く様子はない。
宰相らの言葉を鵜呑みにして、聖女の役割を誤解しておいでの王はともかく、我ら同様に正しい認識を持っているはずの宰相がなぜ頑なに新たな聖女を選ぼうとしないのかは、不思議でならない。
己の傘下に入らないとわかっている者を、王に近づけたくないのか。
すまぬ。忙しさにかまけて、書きかけたまま数日が過ぎてしまった。
実はこの数日の間に、新たな情報を得たのだ。
宰相の元に、東方から来た呪い師なる者がいるらしい。そしてその者が、なにやらさまざまな知恵を宰相に与えているようなのだ。
その呪い師いわく。
王妃の腹の子は男女の双子であり、男児は世継ぎに、女児はウルスラをしのぐ聖女になるだろう――とのことだ。
つまり、宰相はその予言を信じて聖女様を追い出し、新たな聖女も置かぬつもりだということだ。
その予言だか予知だかが、万に一つ実現したとしてもだ。
赤子が物心つくまでに、どれほど時間が必要だと思うのか。しかも、聖女の役割は代々、前の聖女より受け継がれて来たものだ。
たとえ本当に王妃の産む女児が聖女となるにしても、それまでは聖女として国を支える者が必要であろう。また、ものごころついたその女児に、聖女の務めを教える者も必要であろう。
そもそも、その女児が成長するまで、国が無事で済むかどうか。
ジャクリーヌ、そなたも知っていよう。我が国の歴史が伝える、聖女不在の時代のことを。
豊かな実りは消え、土地は荒れ、人々の心もすさむ。
せめて聖女の件だけでも、宰相が考えを改めてくれることを願うばかりだ。
何やら暗い内容ばかりですまぬな。
そなたも道中気をつけよ。そして、聖女様をよく守ってくれ。
西暦1024年7月3日
+ + +
父である左大臣からの手紙を読み終え、ジャクリーヌは小さく吐息をついた。
西方世界の郵便は、各国の国内で決められた方法と、国と国、あるいは国に属さない町や村とをつなぐ方法の二つがある。
旅の途上にある者に向けての書簡は、たいていは鳩か飛脚のどちらかだ。
そしてジャクリーヌの元に父からの手紙を届けてくれるのは、鳩だ。
彼女が聖女ルルイエと共に旅に出てから、父との書簡の往復はずっと続いている。
彼女は国から携えて来た鳩の足に、書いた手紙をゆわえて飛ばす。鳩はまっすぐ父の館まで飛んで行き、父の元に彼女からの手紙をもたらせるというわけだ。
左大臣である父からの書簡も、同じ方法で届く。
今彼女が読み終えた手紙も、そうだった。
(聖女の不在……か)
読み終えた手紙をたたみながら、ジャクリーヌはふと胸に呟く。
西方世界の者にとって、聖女の不在は国の荒廃を意味した。それはおそらく、平民や街道沿いに位置する小さな町や村の住民ですら、知っていることだった。
なのに宰相は、あえてその状況を作り出しているという。
(いったい何を考え、何を求めているというのだろう……)
ジャクリーヌは、小さく唇を噛みしめ、再度胸に呟いた。
そこに、宿の階下に行っていたルルイエが戻って来た。
二人がいるのは、この日の宿に決めた小さな村の集会所だった。泊まっているのは、二人の他は商人らしい三人連れがもう一組いるだけだ。
女二人と男三人連れということで、村の者が配慮してくれて、彼女たちは今いる二階の一画に、男たちは階下の一画にそれぞれ部屋を割り当てられた。
食堂は一階にあり、ルルイエは飲み物をもらって戻って来たところだった。
「左大臣様はなんと?」
彼女に問われてジャクリーヌは、手紙の内容を告げる。ついでに、自分の胸に湧いた疑問も付け加える。
それを聞いて、ルルイエは少し考えたあと、言った。
「聖女がいないと国が荒れるというのは、本当なのでしょうか」
「ルルイエ?」
「たしかに国の記録には、そうしたことが書かれているのでしょうけれど……そして、たしかに聖女は国の実りを祈るすべを教えられます。でも……たとえば、民たちが国が豊かであることを願えば、そこまで荒廃することはない……ということはないのでしょうか」
ルルイエの言葉に、ジャクリーヌも眉をひそめて考え込む。
それへルルイエは更に問うた。
「宰相様も言っておられましたが、最初の聖女ウルスラが現れるまでは、どこの国にも聖女はいなかったのでしょう?」
「それは……。でも、その当時は現在の国のような形を成しているのは、アルベヒライカといくつかの大国のみだったとも言われております。つまり、聖女がいないゆえに、国として存続できなかったのでは?」
ジャクリーヌは返したものの、はっきりこうだと答えることはできなかった。
というのも、彼女は昔から言われている、「西方世界は聖女がいなければ成り立たない」という言葉を信じて疑ったこともなかったからだ。
歴史書にある聖女不在の時期は、たいていは次の聖女が見つからなかった場合である。しかも最終的には聖女は見つかり、それによって荒れ果てた国は再び豊かさを取り戻したとある。
そうした記述を彼女は信じていたし、まさか国王自らが聖女を追放するようなことがあるとも、想像したことすらなかった。また、エーリカにも他国にも、そうした歴史はいっさい綴られていないのだ。それはすなわち、聖女がどこの国にとっても必要不可欠な存在であり、やむを得ない状況で不在だったことはあっても、人為的にいなくなったことはないという証でもあった。
「どうなのでしょうね」
ルルイエは、ジャクリーヌの問いに小さくかぶりをふって言う。そして彼女は、どこか悲しげにほほえみながら、ジャクリーヌをふり返った。
「なんにせよ、わたくしは国がどうなるのかが心配です。そして、師から託された役目を果たすことができなかったことを悔やんでいます。けれど……一方では少し、安堵している自分もいるのです。これでわたくしは、自由なのだと。誰のために何を願うことも、どこに行くことも自由なのだと」
「ルルイエ……」
彼女の言葉に、ジャクリーヌは小さく目を見張る。それへルルイエは続けた。
「昔、母が病で死にそうになっていた時、わたくしは母の快癒を祈ろうとしました。すると、師から止められたのです。わたくしの祈りは、国のためのものであって、たとえ母親であろうと誰か個人のためのものではないと。……結局母は、数日後に亡くなりました。師が倒れたと聞いた時も、その知らせをもたらした師の従者は、『わたくしのために祈ってはならぬ』との師からの伝言を携えていました。……でも今は、わたくしは自由です。あなたのために祈ることも、宿が一緒になっただけの旅人のために祈ることもできます。……その祈りに、本当に力があるかどうかは、わかりません。けれどもわたくしは……わたくしにとっては、誰かのために祈ることができるのは幸福なことなのです」
それは、ジャクリーヌには考えたこともないことだった。だが言われてみれば、聖女にも親や近しい人間はいるはずで、その者が困ったり苦しんだりしている時、その者のために何かしたいと考えるのは当然だ。けれど、もしそれをしてはいけないと言われたらならば。
「ルルイエ……」
思わず口を開きかけ、だがジャクリーヌは何を言っていいのかわからず、また口を閉じた。
それへルルイエは再びほほえみかける。
「ごめんなさい、ジャクリーヌ。あなたを困らせるつもりはないのです。ただわたくしは……そう……西方の国々が、聖女がいなくても本当は問題ない、やっていけるのだと、そう信じたいのかもしれません」
言って、つと彼女は窓の外に目をやった。
「もし本当に、王妃となった方のお腹の子供がウルスラをしのぐ聖女となるならば、そしてそれまでエーリカがなんの問題もなくやって行けるならば、きっと西方世界は新たな時代を迎えることとなるでしょう。わたくしは、それを願っているのかもしれません……」
ジャクリーヌはそんな彼女を、ただ言葉もなく見つめることしかできないのだった。
聖女様ともども、息災なようでなによりだ。
まずは、国の動きを伝えておこう。
おおかたの予想どおり、王の側室だった宰相の娘が王妃となった。
これで宰相の権力は更に強くなったわけだが、もし王妃の腹の子が男児であれば、そしてその子が王太子となれば、彼はもはやこの国で並ぶ者のない権力を手に入れることとなるだろう。
それに関しては、王妃の腹の子を流してしまえの、王妃を暗殺せよだの言い出す輩もいて、いささか剣呑な状態に傾いて行きつつある。
我々の側でさえこうなのだから、宰相の側もいずれは我々の側の勢力を削ぐ策略に出るだろう。
言いたくはないが、聖女様が国を出た途端に、すでに我が国は混乱に陥っている。
聖女といえば……王と宰相は、新しい聖女を招くつもりはないらしい。
これに関しては、王や宰相の側近らも探すなり招くなりするべきだと進言しているようだが、どちらも動く様子はない。
宰相らの言葉を鵜呑みにして、聖女の役割を誤解しておいでの王はともかく、我ら同様に正しい認識を持っているはずの宰相がなぜ頑なに新たな聖女を選ぼうとしないのかは、不思議でならない。
己の傘下に入らないとわかっている者を、王に近づけたくないのか。
すまぬ。忙しさにかまけて、書きかけたまま数日が過ぎてしまった。
実はこの数日の間に、新たな情報を得たのだ。
宰相の元に、東方から来た呪い師なる者がいるらしい。そしてその者が、なにやらさまざまな知恵を宰相に与えているようなのだ。
その呪い師いわく。
王妃の腹の子は男女の双子であり、男児は世継ぎに、女児はウルスラをしのぐ聖女になるだろう――とのことだ。
つまり、宰相はその予言を信じて聖女様を追い出し、新たな聖女も置かぬつもりだということだ。
その予言だか予知だかが、万に一つ実現したとしてもだ。
赤子が物心つくまでに、どれほど時間が必要だと思うのか。しかも、聖女の役割は代々、前の聖女より受け継がれて来たものだ。
たとえ本当に王妃の産む女児が聖女となるにしても、それまでは聖女として国を支える者が必要であろう。また、ものごころついたその女児に、聖女の務めを教える者も必要であろう。
そもそも、その女児が成長するまで、国が無事で済むかどうか。
ジャクリーヌ、そなたも知っていよう。我が国の歴史が伝える、聖女不在の時代のことを。
豊かな実りは消え、土地は荒れ、人々の心もすさむ。
せめて聖女の件だけでも、宰相が考えを改めてくれることを願うばかりだ。
何やら暗い内容ばかりですまぬな。
そなたも道中気をつけよ。そして、聖女様をよく守ってくれ。
西暦1024年7月3日
+ + +
父である左大臣からの手紙を読み終え、ジャクリーヌは小さく吐息をついた。
西方世界の郵便は、各国の国内で決められた方法と、国と国、あるいは国に属さない町や村とをつなぐ方法の二つがある。
旅の途上にある者に向けての書簡は、たいていは鳩か飛脚のどちらかだ。
そしてジャクリーヌの元に父からの手紙を届けてくれるのは、鳩だ。
彼女が聖女ルルイエと共に旅に出てから、父との書簡の往復はずっと続いている。
彼女は国から携えて来た鳩の足に、書いた手紙をゆわえて飛ばす。鳩はまっすぐ父の館まで飛んで行き、父の元に彼女からの手紙をもたらせるというわけだ。
左大臣である父からの書簡も、同じ方法で届く。
今彼女が読み終えた手紙も、そうだった。
(聖女の不在……か)
読み終えた手紙をたたみながら、ジャクリーヌはふと胸に呟く。
西方世界の者にとって、聖女の不在は国の荒廃を意味した。それはおそらく、平民や街道沿いに位置する小さな町や村の住民ですら、知っていることだった。
なのに宰相は、あえてその状況を作り出しているという。
(いったい何を考え、何を求めているというのだろう……)
ジャクリーヌは、小さく唇を噛みしめ、再度胸に呟いた。
そこに、宿の階下に行っていたルルイエが戻って来た。
二人がいるのは、この日の宿に決めた小さな村の集会所だった。泊まっているのは、二人の他は商人らしい三人連れがもう一組いるだけだ。
女二人と男三人連れということで、村の者が配慮してくれて、彼女たちは今いる二階の一画に、男たちは階下の一画にそれぞれ部屋を割り当てられた。
食堂は一階にあり、ルルイエは飲み物をもらって戻って来たところだった。
「左大臣様はなんと?」
彼女に問われてジャクリーヌは、手紙の内容を告げる。ついでに、自分の胸に湧いた疑問も付け加える。
それを聞いて、ルルイエは少し考えたあと、言った。
「聖女がいないと国が荒れるというのは、本当なのでしょうか」
「ルルイエ?」
「たしかに国の記録には、そうしたことが書かれているのでしょうけれど……そして、たしかに聖女は国の実りを祈るすべを教えられます。でも……たとえば、民たちが国が豊かであることを願えば、そこまで荒廃することはない……ということはないのでしょうか」
ルルイエの言葉に、ジャクリーヌも眉をひそめて考え込む。
それへルルイエは更に問うた。
「宰相様も言っておられましたが、最初の聖女ウルスラが現れるまでは、どこの国にも聖女はいなかったのでしょう?」
「それは……。でも、その当時は現在の国のような形を成しているのは、アルベヒライカといくつかの大国のみだったとも言われております。つまり、聖女がいないゆえに、国として存続できなかったのでは?」
ジャクリーヌは返したものの、はっきりこうだと答えることはできなかった。
というのも、彼女は昔から言われている、「西方世界は聖女がいなければ成り立たない」という言葉を信じて疑ったこともなかったからだ。
歴史書にある聖女不在の時期は、たいていは次の聖女が見つからなかった場合である。しかも最終的には聖女は見つかり、それによって荒れ果てた国は再び豊かさを取り戻したとある。
そうした記述を彼女は信じていたし、まさか国王自らが聖女を追放するようなことがあるとも、想像したことすらなかった。また、エーリカにも他国にも、そうした歴史はいっさい綴られていないのだ。それはすなわち、聖女がどこの国にとっても必要不可欠な存在であり、やむを得ない状況で不在だったことはあっても、人為的にいなくなったことはないという証でもあった。
「どうなのでしょうね」
ルルイエは、ジャクリーヌの問いに小さくかぶりをふって言う。そして彼女は、どこか悲しげにほほえみながら、ジャクリーヌをふり返った。
「なんにせよ、わたくしは国がどうなるのかが心配です。そして、師から託された役目を果たすことができなかったことを悔やんでいます。けれど……一方では少し、安堵している自分もいるのです。これでわたくしは、自由なのだと。誰のために何を願うことも、どこに行くことも自由なのだと」
「ルルイエ……」
彼女の言葉に、ジャクリーヌは小さく目を見張る。それへルルイエは続けた。
「昔、母が病で死にそうになっていた時、わたくしは母の快癒を祈ろうとしました。すると、師から止められたのです。わたくしの祈りは、国のためのものであって、たとえ母親であろうと誰か個人のためのものではないと。……結局母は、数日後に亡くなりました。師が倒れたと聞いた時も、その知らせをもたらした師の従者は、『わたくしのために祈ってはならぬ』との師からの伝言を携えていました。……でも今は、わたくしは自由です。あなたのために祈ることも、宿が一緒になっただけの旅人のために祈ることもできます。……その祈りに、本当に力があるかどうかは、わかりません。けれどもわたくしは……わたくしにとっては、誰かのために祈ることができるのは幸福なことなのです」
それは、ジャクリーヌには考えたこともないことだった。だが言われてみれば、聖女にも親や近しい人間はいるはずで、その者が困ったり苦しんだりしている時、その者のために何かしたいと考えるのは当然だ。けれど、もしそれをしてはいけないと言われたらならば。
「ルルイエ……」
思わず口を開きかけ、だがジャクリーヌは何を言っていいのかわからず、また口を閉じた。
それへルルイエは再びほほえみかける。
「ごめんなさい、ジャクリーヌ。あなたを困らせるつもりはないのです。ただわたくしは……そう……西方の国々が、聖女がいなくても本当は問題ない、やっていけるのだと、そう信じたいのかもしれません」
言って、つと彼女は窓の外に目をやった。
「もし本当に、王妃となった方のお腹の子供がウルスラをしのぐ聖女となるならば、そしてそれまでエーリカがなんの問題もなくやって行けるならば、きっと西方世界は新たな時代を迎えることとなるでしょう。わたくしは、それを願っているのかもしれません……」
ジャクリーヌはそんな彼女を、ただ言葉もなく見つめることしかできないのだった。
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