復讐未遂

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コンプレックス ー香澄ー

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私と香澄は小学校から仲が良かった。その頃はまだ友人なんて言葉を使う歳でもなく、お友達、と他のクラスの子に言っていた。

目立つ子は人見知りなどしないのだろうか、私なんかにも「彩ちゃん」とよく話しかけてくれた。

香澄は私と違ってとても可愛い女の子だった。

大きな目に少しブラウンが入ったような明るい髪、白い肌と華奢な体はティーンモデルなんかにいそうな雰囲気を醸し出していた。
パステルカラーがよく似合い、ピンクのフリルや、小学生にしては少し大人びているレースをあしらった服なんかも着こなしていた。

対する私は至って普通の子で、可愛いものに興味はあったものの親におねだりする勇気はなく、地味といえば地味だったのかもしれない。

でも可愛らしい香澄が「彩はいつもテストで一番だよね!私なんてママに見せられない」といつも言ってくれたので、嬉しかった。

その頃から私の取り柄は勉強だけになり、塾や通信教育のテストにひたすら打ち込むようになっていった。

香澄はいつも皆の中心で、先生にも可愛がられていた。
私も勉強は得意だったので、先生には気に入られていた。



家も近所だった私達は、当然のように同じ中学校に進学した。同じクラスと分かると二人で喜んだ。

香澄は中学校に入学して2日もすると、上級生達の噂になっていた。
中学一年生なんてまだまだ小学生みたいなものだが、クラスメートの男子からも人気はあった。

私などは注目される訳もなく、同じく大人しそうな仲間を作って静かに休み時間を過ごしていた。

それでも香澄はたまに話しかけてくる。正反対のタイプなのに不思議だよなーといつも思っていた。
私にとって香澄との関係はステータスであり、自慢だった。同じグループの子達に羨ましがられるのが嬉しかった。



二年生に上がって少しした頃、事件は起きた。
男子からの人気ぶりに嫉妬した女子達から、香澄へのイジメが始まったのだ。

壮絶だった。

初めの頃はペンを勝手に使われたり、給食を食べるのがゆっくりな香澄を急がせようとしたり、それくらいだった。

だがエスカレートするのは早かった。

ある朝、香澄の机の中に何かが入っていた。
それはペンのような感触だったので香澄は疑うことなくそれを手に取った。

妊娠検査薬だった。
仕掛けた女子達は勿論それの正体を知っている。
「何でそんな物持ってるの~?」
「妊娠したんじゃないの」
「相手は学校の誰かだったりして!!」
あからさまなアピールに男子達も察し、からかい始めたりお前じゃないのかと犯人探しを始めたり、それはすごい騒動になった。

担任は全員の前で追及を始め、香澄は白い目で見られるようになっていった。

それを機に香澄は「カス」と呼ばれるようになった。

更にエスカレートしたイジメはトイレ掃除で水をかけられたり、体育祭の練習に紛れてお腹を殴られたり、身体的にも影響を及ぼしていった。

私は助けることができなかった。
怖くていじめっ子達と関わらないようにするしかなかった。

しかし、イジメの矛先は私にも少しずつ向いてきた。
香澄と仲が良かったからだ。
グループは違えどよく話していたし、登下校も一緒だった。

「あいつって香澄と仲良いよね」
そんな理由だったと思う。

「ガリ」
そう呼ばれるようになった。
ガリ勉で体型もガリガリ。それが由来らしい。

私は教科書を隠されるくらいだったが、それでも本当に辛かった。
あまりに酷いイジメを受けた香澄はどんな気持ちだったのだろう。

庇いたかった。庇えなかった。
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