捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也

文字の大きさ
39 / 114
本編

第36話 王国のために役に立ってくださいねお父様②

しおりを挟む
 アリステラ公爵派の貴族家当主たちが全て集まってから一時間ほど経った頃、屋敷の中から誰が出てきました。

「ルシフェル、彼がカゲトラさんですか?」

「そうだ。結界から出してやってくれ」

 カゲトラさんが、出てきたってことは、魔族たちも到着したってことだね。

 スパイをしていたカゲトラさんだという確認が取れたので、カゲトラさんが結界を通過できるようにした。

「ルシフェル様、お待たせしてしまい申し訳ございません」

「構わぬ。カゲトラが悪いわけではないだろうからな。
 現魔王辺りが、カゲトラが転移させる直前にごねたか?」

 過激派魔族の転移は、カゲトラさんが担当していたのか。

 そのカゲトラさんが、出てきてしまったので、魔族たちは、もしかして転移できない?

 もしそうなら、結界内から外への転移防止対策不要だったかもな。

「カイルという。カゲトラとやらこれからよろしく頼む」

「カゲトラさん。はじめまして、アイリスといいます」

「これはこれは、カイル様、アイリス様。ルシフェル様がお世話になっております。
 これからは、私もお世話になることになりますので、こちらこそよろしくお願いいたします」

「もしかして、カゲトラさんが出てきたので、中にいる魔族たちは転移できないとかだったりします?」

「はい。アイリス様は、当然のように使われているとルシフェル様から伺っておりますが、魔力が多く魔法が得意な魔族やエルフ族であっても使えるものは一部の者だけですので、屋敷の中にいる者たちは使えません」

 ああ、やっぱりそうなんだ。
 魔力∞だから、私に負担があるわけではないからいけどね。

 そうならルシフェルも教えてくれればいいのに……
 そう思い、ルシフェルを睨みつける。

「ち ちょっとした茶目っ気ではないか。
 一つ無駄なものを付けようが、アイリスには負担にはならんだろう」

「だからと言って、お世話になっているアイリス様に迷惑をかけてはなりませんよルシフェル様。
 それはそうとルシフェル様、アイリス様の町はどうですか?」

 ファミーユは、私の町ではないですよ。

 カイル兄様が治め、町長はハルクさんですから、私は、カイル兄様の手伝いで、住民が暮らしやすいようにしている程度ですよ。

「魔国で魔王という立場でいた頃より、遥かに快適な暮らしができておるぞ」

「それは、私も行くのが楽しみです」

「ただ、見たことがないものばかりで度肝抜かれるから覚悟しとけよ」

「わかりました」

 ファミーユの町の様子を見るのに覚悟は必要ありませんよ。

「ルシフェル、何言っているのかな?
 ファミーユの町は、暮らしやすくするために色々作ったりもしたけどどこにでもある普通の町だよ」

「「どこにでもある普通の町ではないな」」

 ルシフェルだけでなく、カイル兄様にまで否定された。

 数時間すると騎士に囲まれて、人がたくさん来た。

「カイル兄様、あれが今回のことに関わった人たちですかね?多いですね」

「そうだな。愚かだな」

「カゲトラさん、彼らが何を企てているかわかりますか?」

「はい。どんな手を使うのか、わかりませんがこの国を盗るのを皮切りに世界を手に入れるつもりでいるみたいです。
 過激派は、手を貸す代わりに世界の半分を手にするみたいですよ」

 うわぁ、絶対に世界手に入れた瞬間に裏切りとか起きる企てだな。

 まあ、国盗りに動く前に失敗に終わっているんですけどね。

 そして私は、自分達にかけてた隠密魔法を解除し、国を被う結界を張り、屋敷に張った結界に魔力供給の機能を追加した。

 私が作業している間にも、関わったものたちが結界内に入れられていく。

 なぜ、アリステラ公爵邸に連れてこられたのかわかっていないから騒いだり、結界叩いたりしているので、そろそろ屋敷内にいる人たちも出てくるかな。

「失礼します。関わった者、全て屋敷の敷地内に入れました」

「ご苦労だった。こちらも終わったようだ」

 私が作業を終えた頃に一台の魔動馬車がこちらに近づいてきて、中からエリック宰相様と国王陛下が降りてきた。

「国王陛下、エリック宰相、全て問題なく終わったようです。
 あの騒ぎですから屋敷の中にいる者たちもそろそろ出てくるでしょう」

「カイル、アイリス、皆の者ご苦労であった」

 国王陛下から労いの言葉を頂いていると屋敷の中から人が出てきて、なぜここにいるんだとか聞いている声が聞こえくるけど、彼ら彼女らに答えられるわけがありません。

 彼ら彼女らも知らないのですから
 そんなことを思っている見知った顔が屋敷内から出てきた。

「カイル兄様、出てきたみたいですから行きましょうか」

 カイル兄様にそう言って、私たち五人は、屋敷の門前に向かった。

「なぜ、お前がここにいる?カイル戻ってきたか。
 グフェ!!」

 お父様は、小さくても目立つ容姿ですから最初に私が目に入り、次にカイル兄様を見つけたみたいですね。
 こちらに走ってきて、結界に激突しました。

 私たちの後ろには、国のトップがいるというのに、そちらには目も向けないとは、貴族失格ですね。

「ドンドン!! 何だこれはどうなっている!!」

「カイルどこに行っていたの?あら兄上がどうしているのですか?グフェ!!」

 お母様も来たみたいですね。
 お母様は、カイル兄様と自身の兄である国王陛下を見つけ駆け寄ってきて、結界に激突しました。

 夫婦揃って、同じ行動、同じ鳴き声ですか、仲いいですね。

「お父様、お母様、お久しぶりですね。
 そして皆さんは、初め……「ルシフェル、これは貴様の仕業か。そしてカゲトラ、貴様はなぜそこにいる!!」

 私が感動(笑)の挨拶をしているというのに、私の声に被せて魔族がルシフェルとカゲトラさんに文句を言っています。

 あれが現魔王ですかね。角の生えたシワくちゃなお爺ちゃんですね。

「我の仕業ではない」

 きっぱり、ルシフェルがそう答えました。
 私の仕業ですからね。

「静粛に!!これから皆様に関することをお話しします」

「貴様の仕業か、この忌み子が!!」

 お父様、正解です。
しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。 魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。 十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。 俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。 モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

処理中です...