捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也

文字の大きさ
41 / 114
本編

第38話 カイル兄様はこれを狙っていたのか

しおりを挟む
「カイル、アイリス、ご苦労だったな」

「いえいえ。我が家のことでもありましたから、片付いてよかったです」

「それは、我が妹も関わっていたのだから、私も片付いてよかったと思っておる。
 膿も出しきれたからな」

 本当だよ。
 公爵家で、公爵夫人が国王陛下の実妹だとはいえ、普通なら連座で処刑で家はお取り潰しものだからね。

 連座にならずに爵位剥奪ぐらいだったとしたら前世では、この世界でいう平民だった私は、やっていけるだろう。

 スキルとかもあるから冒険者登録しているし、冒険者として生きていくってのありだね。

 カイル兄様は、ずっと貴族だけど、私がやることに馴染んできているから、それなりにやっていけちゃうだろうな。

 カイル兄様は、適応能力が高そうだしね。

 妄想に浸っていると話を振られた。

「アイリス、聖獣様たちは、どうしているのだ?」

「ええ……えっと、スノーとグレンは、町で子供たちと遊んでいるか、狩りをしていると思いますよ。
 危険もありませんし、万が一何かあった時のためにルシフェルもいますから、町で留守番してもらってますからね」

「護る対象が護る側より強いのに我がいる意味があるのかは、わからんがな」

 ルシフェルがボソッと呟いた。

「そうなのか。従魔は、常に側にいるものなんだかな」

「そうですけど、スノーにもグレンにも自由にしてもらいたいですからね」

 私に縛られてほしくないんだよね。

「スノーもグレンも、かなり自由に行動しているね。
 従魔は主に似るってやつだよね。
 アイリスもかなり好き勝手やっているからね」

 カイル兄様、何のことです……
 私は、住民やみんなのことを考えて色々やっているだけですよ。

「ルシフェル殿、魔国の方はどうするつもりなのか聞かせてもらってもよいかの?」

「過激派の魔王と側近がああなったからな。
 まだ過激派の魔族はいるが、残りは大したことない下っ端連中だけだな」

「そうであるか。魔国に戻るつもりなのかの?」

「近いうちに一度行くつもりだ。
 そこでアイリス、相談なんだがもし奴らがこちらに来ると言ったら、連れてきてもいいか?」

 過激派を説得などして、ファミーユの町に連れてくるってことだよね。

「別に私は、構わないよ。
 でも人族に敵意があると結界に弾かれちゃうよ」

「ああ、それは問題ない。もし弾かれるようなやつがいたら、あの結界の中に入れてしまえばいい。
 我が進める人族との友好関係を築く邪魔にしかならんからな」

 確かに友好関係を築くのに、邪魔になるならアリステラ公爵本邸の結界の中に入れちゃった方がいいよね。

 スクラルド王国の悪質な貴族は、処分しきったみたいだけど、魔族は魔王と側近だけだもんね。

「あぁ!!そうだ。国王陛下、アリステラ公爵本邸ですが、ふざけたり、誤って人が入ってしまう可能性があるので、囲いを設置したりとか対策が必要だと思います」

 子供達が遊び半分で、入ったりしたら大変なことになるもん。

「そうだな。貴族の屋敷だから気安く領民などが侵入することはないと思うが、盗賊などが盗みに入ってくれたりすると捕まえる手間が省けてありがたいがな」

 確かに。あのままにしておくとデメリットもあるけど、そういうメリットもあるか。

「そういうメリットもありますね。
 では、どうなさるかは国王陛下にお任せします」

「あと国全体を結界で被いましたけど、他国の者が入国する際はどうされるのですか。
 特に王族や貴族に関して」

 国王陛下たちに任せようと思っていたけど、一応聞いてみた。

「ああ、それは他国には、結界を張ったことと、どんな結界なのか通達済みだから、大きなトラブルにはならんだろう
 何かあったら相談するかもしれんが、大体はこちらで対処する」

「そうですか。じゃあ、そちらもお任せします」

 ある程度は、既にやっていたのか。当たり前か。
 国家間のトラブルになると面倒だし、そうなったら国民に不安が広がるもんね。

「ところでカイル、奴らを閉じ込めるのをアリステラ公爵本邸にしたのは何故だ?
 奴らが集まるから丁度いいって以外に理由があるのだろう?」

 確かに。旧アリステラ公爵邸があるけど、あの屋敷は、生まれ育ったとこだし、カイル兄様が当主になったら住むはずだった屋敷だもんね。

「その事でしたら、当主になれば私は、あの屋敷に移ることになりますが、アイリスは、あの屋敷にいい思い出がないですから旧アリステラ公爵邸に残るでしょう」

 うん。そのつもりだよ。いい思い出がないのもあるけど、旧公爵邸は、私が魔法で建て替えたから綺麗だし、快適な暮らしができるからね。

 スノーやグレンも近くに森があった方が狩りに行きやすいだろうしね。

「アイリスのやらかしを身近で見てきて、一人にしたら好き勝手にもっとやらかすでしょうから、近くで見ていた方がいいと思ったので、あの屋敷を提案しました」

 何ですかそれ!!カイル兄様は、私のやることに慣れてきていたと思っていたのに……

 カイル兄様がそんなことを狙ってあの屋敷を提案していたなんて、カイル兄様の私に対する信用が全くない(泣)シクシク
しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。 魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。 十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。 俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。 モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

処理中です...