チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也

文字の大きさ
42 / 79

第肆拾弐話 ヒューイットさんのランク

しおりを挟む
 ギルマスの部屋を退室し、ヒューイットさんとギルドの一階のフロアに来た私はアイラが居るのに気づき、ヒューイットさんを置いて、アイラに駆け寄った。

「お~い。アイラ、調子はどう?」

「依頼の失敗もないし、順調よ。」
「アオイは、二階から降りてきたみたいやったけど、何かあったん?」

 魔力量とかが騒ぎになるくらいに問題がありそうだからとは説明できないので、そこは伝えずに説明することにした。

「えっと、本登録とEランク昇格の手続きをしてたんだよ。」

「おお、おめでとう。これで同じEランクやね。また一緒に依頼受けたりしようよ。」

 私が、Eランクに昇格したというのが嬉しくって、受付でなく、二階にある部屋で手続きしたという、ちょっと普通と違うことは、気にしてないみたいだ。
 まあ、そこをつっこまれたら説明に困るのでありがたい。

「おい。アオイ、知り合いが居たからって、俺を置いていくなよ。」

「……」

 ヒューイットさんが、文句を言いながら私たちの所に向かってくる。
 あれ?アイラがなぜか固まっているけど、どうしたんだろう?

「アオイ、ヒューイットさんと知り合いなん?」

「うん。前に助けてくれた冒険者がいるって話したじゃん、それがヒューイットさんなんだよ。アイラもヒューイットさんのことやっぱり知っていたんだね。」

「当たり前やないか。」

「!!」

 アイラが急に大声を出したので、周りにいる冒険者たちや受付のギルド職員たちが私たちに注目する。

「急に大きな声だして、ビックリするじゃんよ。」

「そりゃあ、すまんかった。でもヒューイットさんと知り合いって聞いたら、大声も出したなるわ。」

「どうしたんだ? その娘は友達か?」

「私がヒューイットさんの知り合いって知って、驚いたみたい。」
「うん。そうだよ。」

 ヒューイットさんが私たちのとこに来て、何があったかとアイラが友達と聞いてきたので説明した。
 また、アイラが固まっちゃったな。なんでだろう?

「ううう うちはアイラ言います。アオイとおお 同じEランクで、アオイの友達や やらせてもらってます。」

「アイラ、なんかしゃべり方が変だよ。緊張しているの?何で?」

「それは、俺のランク知っているからじゃないか。きっと。」

「ヒューイットさんのランク?」

 ヒューイットさんのランク知っていると緊張するの?
 そういえば、周りにいる冒険者もコソコソ話したりして、少し騒がしいし、アイラもそうだけど、女性冒険者が顔を赤くしているな。何でだ?

「前に本登録したら、俺のランク教えてやるって言ったし、教えてやるよ。俺のランク」

 そういえば、ランク聞いたときに本登録できたら教えてくれるって言ってたな。
 ランク教えてもらうために本登録を目標にしていたのに、ほとんど毎日、忙しくって、すっかり忘れていた。

「俺のランクはな。SSSランクだ。現在、世界に五人しかいないんだぞ。凄いだろう。」

「そうなんですか。」

 私の頭をグリグリと撫でながら言われたのと内心では少し驚きはしたものの高ランクだろうとは薄々感じていたし、家族だからなのかもしれないけど、カトリーナさんやマーガレットさんからの扱いを見ているので、返答が素っ気なくなってしまった。

「何、その薄い反応。前に教えて欲しいって、言ってたからちゃんと本登録できたし教えたのに。そこは、ほら、スゴいとかもっと驚くところじゃないのか。」

「わースゴい。驚いたー」

 棒読みで言ってみた。

「うわ。ひでぇな、その反応。」

「そや、SSSランクのヒューイットさんやでぇ。冒険者の憧れやでぇ。ヒーローやぁ。初めて知ったんならもっとちゃんと驚くところやでぇ。信じられへん。」
「それからヒューイットさん、握手してもろてええですか?」

「おお、いいぞ。」

 ヒューイットさんからだけでなく、正気に戻ったアイラからも反応の薄さを怒られてしまった。
 そして、アイラはヒューイットさんと握手をしている。
 SSSランクは、凄いと思うけど握手とかするほどなのかな……
 よくわかってない私はそんな反応しかできなかった。

「まあ、いいじゃん。それで、これからどうするの?」

 話題を変えて、誤魔化してみた。

「そうだな。他の奴らに話をしなきゃいけないし、顔合わせは、明日にして、今日は三人で飯食いに行くか。」

「うう うちもい いいですか。」

「勿論だよ。アオイの友達なんだろう。それならOKだよ。」
「アオイとアイラは何処に行きたい?」

「「レガールで」」

 ご飯を食べに何処に行きたいか聞かれたので、二人で一緒にそう答えた。
 アイラは空いている時に手伝いの事後依頼を受けたりもしているが、プリンをかなり気に入ったらしくお客さんとしても以前から行ってはいたが、今では、ほぼ毎日と言っていいくらいレガールに通っているらしい。

「俺も忙しくって、行けてないし、レガールでいいぞ。」

 そして、すぐに店も決まったので、ギルドを後にして三人でレガールに向かった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

コンバット

サクラ近衛将監
ファンタジー
 藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。  ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。  忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。  担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。  その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。  その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。  かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。  この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。  しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。  この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。  一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。 なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。 不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇 感想、ご指摘もありがとうございます。 なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。 読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。 お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処理中です...