チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也

文字の大きさ
62 / 79

第陸拾弐話 レシピを教えに王城へ

しおりを挟む
 私は、国王陛下から頼まれていたので、王城に向かおうとしている。

「レオン兄さん、王都内では公表がされたので、一人で大丈夫です。」

「いいやダメだ。一人では行かせられない。」

「でもレオン兄さんは、今日はヒューイットさんたちと一緒に依頼を受けてましたよね。」

「そうだが……では、城に行くのは明日にしたらいい。今日は俺たちと一緒に依頼を受ければいい。」

 それは、無理でしょう。国王陛下との約束ですし、料理長さんも仕事があるのにわざわざ時間作ってもらったんだら、そんなことできるわけがない。

「いいや無理です。今日行くと約束してしまってますから迷惑がかかりますから」

「しかしな……」

「レオンよ。いい加減にしたら、アオイちゃんなら大丈夫よ。法で守られているし、アオイちゃんも自分を守るだけの力はあるんだからさ。過保護すぎるのよ。」

「そうだよ。ミーナの言うとおりだそ。そろそろ行かないと依頼人との待ち合わせに遅れてしまうぞ。今回は諦めろレオン。」

「そうですよレオン兄さん。依頼人さんを待たせては冒険者失格です。」

「わかった。今回は諦め、一人で行くのを許すが、十分に気をつけるのだぞ。」

「うん。わかったよレオン兄さん。」

 やっと一人で行くのを許してもらえたよ。
 四歳児だからといって、レオン兄さんは、過保護がすぎるんだよね。
 屋敷内でも外出時でも事あるごとに抱っこしようとしてくるので、このままじゃ私、食事もしっかり食べているから運動不足でブクブク太って、肥満児になっちゃうよ。
 前世の私は、いくら食べても太らない体質だったけど、今の体もそうとはかぎらないんだからもし太ったら嫌だよ。
 それにいくらスキルがあったとしても冒険者活動に支障がでるかもしれないしね。

「じゃあ、許可もらったから私、王城に行ってくるね。皆も依頼頑張ってね。いってきます。」

 レオン兄さんたちに手を振りながら玄関を出た。

「イタタタタ……」

 レオン兄さんたちの方を振り向きながら手を振って歩いていたので、転んでしまった。
 ヤバい、こんなことではレオン兄さんの過保護が更に加速してしまう。
 転んだことによって付いた汚れを払いながら大丈夫アピールをしたがレオン兄さんが駆け寄ってきた。

「大丈夫かアオイ。」

「うん。大丈夫だよ。ケガもないから安心して」

「そうか。しっかり前を向いて歩かなければダメだぞ。」

「わかった。心配させてごめんなさい。」

「わかればいいんだ。じゃあ、気をつけて行くんだぞ。もう転ぶんじゃないぞ。」

「うん。」

 今度は、歩きながらではなく、立ち止まって手を振ってから改めて歩き始め王城に着いた。

「止まりなさい。どのようなご用ですか。」

「すみません。アオイ・フォン・ヴァスカトールですけど約束があり、王城に入りたいのですが、入れてもらえませんか。」

「失礼しました。アオイ様ですね。国王陛下から聞いております。人を呼んで参りますので、しばらくお待ちください。」

 来た理由を説明すると門番さんの一人が城内に人を呼びに向かった。

「アオイちゃん。いらっしゃい。」

「!!」

 まさか出迎えに王妃様が来るとは……普通あり得ないよ。

「アオイちゃん。いらっしゃいです。」

「王妃様、アルカちゃん。今日はよろしくお願いします。」

 王女様をちゃんづけでよんじゃったけど、王妃様も門番さんも気にしてないみたいだから大丈夫だよね。
 アルカちゃんは、今日もニコニコ笑顔でかわええなあ~

「アオイちゃん。教えてもらうのはお城の料理長なんだから、よろしくはこっちのセリフだよ。」

「そうね。アルカの言うとおりね。」

 そうして、城内の厨房まで王妃様とアルカちゃんに案内してもらった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

コンバット

サクラ近衛将監
ファンタジー
 藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。  ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。  忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。  担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。  その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。  その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。  かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。  この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。  しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。  この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。  一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

【完結】花咲く手には、秘密がある 〜エルバの手と森の記憶〜

ソニエッタ
ファンタジー
森のはずれで花屋を営むオルガ。 草花を咲かせる不思議な力《エルバの手》を使い、今日ものんびり畑をたがやす。 そんな彼女のもとに、ある日突然やってきた帝国騎士団。 「皇子が呪いにかけられた。魔法が効かない」 は? それ、なんでウチに言いに来る? 天然で楽天的、敬語が使えない花屋の娘が、“咲かせる力”で事件を解決していく ―異世界・草花ファンタジー

処理中です...