社畜が会社辞めて農業始めました

紅 蓮也

文字の大きさ
2 / 11

第1話 生活を改めよう

しおりを挟む

 都会から田舎に引っ越して来てから、早一ヶ月が経とうとしていた。

 俺の名前は、若槻優という。30歳だ。独身で、彼女もいない。
 とういか社畜生活でそんなものをつくる暇などまったくなかった。

 社畜生活の反動か、俺はこの一ヶ月近く、飯の買い出しと回ってきた回覧板を隣の家のポストにつっこみに行く以外は、家から出ず、家でゴロゴロしているだけの生活を送っている。

 流石に、まずいと思い始めてきた。 

 スローライフな暮らしをするために田舎に引っ越して来たのにこれではニートライフだ。
   
 買い出し以外、外に出ないからな、一人暮らしだから買い出しに行かざる得なかっただけで、一緒に暮らしている人がいれば、一切外出しなかったろうから、ほとんど引きこもりと言ってもいいだろう。

 そう思った俺は、縁側の窓を開け、雨戸を一枚開けて、引っ越してきた初日ぶりに庭を見た。

 雨戸を開けるのすら初日ぶりだ。

 庭は、普通の家なら花壇に花が咲いていたりするが、俺が来てから何もしていないわけだから、花は咲いてないし、初日はきれいだったのに、一ヶ月も手入れしていないのだから雑草だらけだ。

 庭を見たあと家の中も見渡した。

「これは、ダメだな。」
 
 買い出しには行くがゴミ出しには行ってないので、食べ終えたコンビニ弁当やらペットボトルやらが、分別ぜず、ゴミ出し用のゴミ袋に入れられて放置されている。

「先ずは、家の掃除をして、ゴミの分別、そのあと庭の草むしりだな。」

 俺は、部屋やリビングなど家中を掃除機をかけ掃除し、勿論、風呂やトイレも掃除した。

「トイレットペーパーなくなりそうだな。買いに行かなきゃな。」

 それから、分別されてないゴミ袋からペットボトルを取り出し、キャップとラベルをはがして、元のゴミ袋に戻して、ペットボトルは、大きめの半透明なレジ袋に入れていく。

 今日はもうゴミ出しできないけど、確かゴミ出しがいつかカレンダーになってるやつが回覧板に入ってて、冷蔵庫に張り付けてあったな。

 ええっと、可燃ごみが水曜・土曜で、不燃ごみが第1・3木曜、雑誌、古紙、びん・缶、スプレー缶、蛍光灯、ペットボトルなどの資源ゴミが火曜か。

「明日は水曜だから可燃ごみが出せるな。ペットボトルは来週だな。」
 
「家の中の掃除も終わったし、次は庭の草むしりだな。」

 雑草を抜く作業をしたが、ほとんど座ったままの姿勢だし、慣れない作業なので、かなり腰が痛くなった。

 抜いた雑草は、集めて土を取って、明日出す可燃ごみ用のゴミ袋に入れた。

「そういえば畑もあったな。見に行ってみるか。そっちも草むしりしなきゃいけない状態だろうしな。」

 空き家の元の持ち主は、農家をしていたようで、空き家を買ったらなぜか畑もセットで買うことになった。

 スローライフするならまあ、畑をやってみるのもいいなとも思ったので、確認もせず、軽い気持ちで購入したのだが、今、初めて確認した。

「一人でやるには広すぎるな。」

 放置されて雑草もかなり生えているし、庭ならいいけど、この広さじゃ一本一本手で抜いていたら日が暮れるどころか、数日かかるな。

「昼からホームセンターに行って、道具買ってくるかな。」

 どうせ、畑をやるつもりでいるのだ。
 農具は必要になるのだから買ってしまおう。
 想定外のことといえば、畑が広すぎるところだが、もと農家の畑なのだから、広いということは少し考えればわかることなのだが、その時の俺は、考えることができなかった……

 アホである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...