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6.元凶倒れる
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「アリシア……やりすぎじゃないか?」
「そうでもないわ。こうでもしなきゃいつまでも不毛な殴り合いが続いていたもの」
黒煙が視界に広がる中、フィーナとアリシアの声が聞こえた。
あれだけ長いことクソジジイと戦っていたのだ。二人がここへくる時間は充分にあっただろう。
それにしても、いきなりあんな雷魔法をぶっ放してくるとはな。我が妹ながら恐ろしい。お兄ちゃん、今の衝撃で倒れてしまったよ。
「ったく……。アリシアちゃんは加減ってもんを知らねえようだな」
あれだけの雷をその身で受けておきながら、クソジジイは健在だった。一体どんな体してんだか……。
黒煙が少しずつ晴れていく。ダメージなんかないと言わんばかりの立ち姿を見せるクソジジイ。
しかしダメージは確かにあった。
それはクソジジイの肉体ではない。身につけていた衣服の方だ。
普通の服がアリシアの雷魔法に耐えられるはずがなかった。クソジジイの肉体には問題がなくても、衣服は黒焦げのボロボロ。まったく衣服としての機能を果たせない有り様だった。
つまり、クソジジイはほぼ全裸となっていた。
「そんな姿で堂々と立ってんじゃねえ!」
「うおっふ!?」
クソジジイを下から蹴り上げる。俺がやられたとでも思っていたのか、見事に入った。
確かな手ごたえが伝わってきた。その感触に男として嫌な気分になる。
でも仕方がなかったんだ。クソジジイの裸なんぞをアリシアとフィーナの目に触れさせるわけにはいかない。
黒煙が晴れた。俺は二人の乙女のためにとクソジジイの股間を踏みつけて大事な部分を隠した。
「……兄さん」
「そ、それはさすがに惨いぞ……」
視界が晴れて俺達の姿を見た二人の反応は、それはもう微妙なものだった。
※ ※ ※
「あの雷を受けて、テッドはどうして無事だったんだ?」
フィーナの家。おじさんを引きずりながら戻ってきて、適当にベッドに寝かせたところでフィーナに尋ねられた。
「ああ、魔結晶を持っていたからな」
魔結晶。小さな魔法しか使えない俺が、大きな魔法を使えるようになる便利アイテムだ。
持っていた魔結晶で魔法攻撃を無効化する障壁を出したのだ。おかげで俺の衣服に損害はない。それでも衝撃にやられたってのはアリシアの魔法がすごいという証だろう。
「俺が魔結晶を持っているって知ってたからアリシアもあれだけの魔法をぶっ放したんだろう。な、そうだろ?」
アリシアに目をやると、なぜか顔を逸らされた。
「ソノトオリヨ」
「おい待て。お兄ちゃんの目を見てもう一度答えてみようか?」
どうやら兄妹の語らいが足りなかったようだ。しばらく家の中でアリシアと追いかけっこをした。もちろん俺達は大人なので室内で走ったりはしない。ちゃんと早歩きでの追いかけっこだ。
「……なあテッド」
「ん?」
フィーナの声に足を止める。
「その魔結晶……テッドが作ったんだよな?」
「ああ、俺の自作だな」
彼女は真剣な顔で、俺にこんな言葉をかけた。
「やっぱりテッドも私達といっしょに冒険に出ようよ! こんなの村の誰にも作れない。きっとどこでだって役に立つ力だ!」
そう言われた俺の答えは決まっていた。
「何度も言ってるだろ。俺は冒険者にはならない。村に残るんだ、ってよ」
「そうでもないわ。こうでもしなきゃいつまでも不毛な殴り合いが続いていたもの」
黒煙が視界に広がる中、フィーナとアリシアの声が聞こえた。
あれだけ長いことクソジジイと戦っていたのだ。二人がここへくる時間は充分にあっただろう。
それにしても、いきなりあんな雷魔法をぶっ放してくるとはな。我が妹ながら恐ろしい。お兄ちゃん、今の衝撃で倒れてしまったよ。
「ったく……。アリシアちゃんは加減ってもんを知らねえようだな」
あれだけの雷をその身で受けておきながら、クソジジイは健在だった。一体どんな体してんだか……。
黒煙が少しずつ晴れていく。ダメージなんかないと言わんばかりの立ち姿を見せるクソジジイ。
しかしダメージは確かにあった。
それはクソジジイの肉体ではない。身につけていた衣服の方だ。
普通の服がアリシアの雷魔法に耐えられるはずがなかった。クソジジイの肉体には問題がなくても、衣服は黒焦げのボロボロ。まったく衣服としての機能を果たせない有り様だった。
つまり、クソジジイはほぼ全裸となっていた。
「そんな姿で堂々と立ってんじゃねえ!」
「うおっふ!?」
クソジジイを下から蹴り上げる。俺がやられたとでも思っていたのか、見事に入った。
確かな手ごたえが伝わってきた。その感触に男として嫌な気分になる。
でも仕方がなかったんだ。クソジジイの裸なんぞをアリシアとフィーナの目に触れさせるわけにはいかない。
黒煙が晴れた。俺は二人の乙女のためにとクソジジイの股間を踏みつけて大事な部分を隠した。
「……兄さん」
「そ、それはさすがに惨いぞ……」
視界が晴れて俺達の姿を見た二人の反応は、それはもう微妙なものだった。
※ ※ ※
「あの雷を受けて、テッドはどうして無事だったんだ?」
フィーナの家。おじさんを引きずりながら戻ってきて、適当にベッドに寝かせたところでフィーナに尋ねられた。
「ああ、魔結晶を持っていたからな」
魔結晶。小さな魔法しか使えない俺が、大きな魔法を使えるようになる便利アイテムだ。
持っていた魔結晶で魔法攻撃を無効化する障壁を出したのだ。おかげで俺の衣服に損害はない。それでも衝撃にやられたってのはアリシアの魔法がすごいという証だろう。
「俺が魔結晶を持っているって知ってたからアリシアもあれだけの魔法をぶっ放したんだろう。な、そうだろ?」
アリシアに目をやると、なぜか顔を逸らされた。
「ソノトオリヨ」
「おい待て。お兄ちゃんの目を見てもう一度答えてみようか?」
どうやら兄妹の語らいが足りなかったようだ。しばらく家の中でアリシアと追いかけっこをした。もちろん俺達は大人なので室内で走ったりはしない。ちゃんと早歩きでの追いかけっこだ。
「……なあテッド」
「ん?」
フィーナの声に足を止める。
「その魔結晶……テッドが作ったんだよな?」
「ああ、俺の自作だな」
彼女は真剣な顔で、俺にこんな言葉をかけた。
「やっぱりテッドも私達といっしょに冒険に出ようよ! こんなの村の誰にも作れない。きっとどこでだって役に立つ力だ!」
そう言われた俺の答えは決まっていた。
「何度も言ってるだろ。俺は冒険者にはならない。村に残るんだ、ってよ」
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