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37.おまけ編 妄想する妹と興味津々な姉
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夏休みは自由時間が多い。そのため自分を律するのが大変だ。
課題を終わらせるのは当たり前のことで、それ以上の勉強があたしには必要だった。お姉ちゃんほど頭の出来が良いわけじゃないし、一日でもサボったら他の子にだってすぐ置いていかれてしまいそうで不安だったから。
「うふふ……うへへ……うきゃー!」
でも、時には休憩が必要なわけで……。
夜。お風呂を済ませて寝る準備も終えたあたしは、ベッドに寝転がりながらスマホを眺めていた。
画面に映るのはあたしと祐二先輩。それもファーストキスの瞬間だ。
永久保存したい最高の思い出。だって、あたしと祐二先輩が本当の意味で恋人になった証拠なんだから。
彼はあたしに「好き」をちゃんと伝えてくれた。あたしをしっかりと見て言ってくれた。だからあたしも素直な気持ちを口にできた。
「はふ~……」
写真を見ると、自然とあの時の気持ちを思い出せた。
夏休みに入って、祐二先輩と何度かキスをした。意外と言ってはなんだけれど、彼のキスはとても優しいものだった。
とても嬉しくて、胸が温かくなる。満足しているのに、その先を期待している自分がいるわけで。
「いつかは大人のキスも……うっきゃー!」
ベッドの上でごろごろ。胸の中から湧き上がる恥ずかしさと期待が、あたしをじっとさせることを許してくれない。
「また明日、祐二先輩に会わなきゃ」
彼は受験生だというのに、自分を律することができない人だ。
放っていたら勉強そっちのけでゲームでもしているだろう。あたしがやる気スイッチを入れてあげなきゃ集中できない人なのだ。
そう、たとえばご褒美に大人のキスをしてあげるとか……。
「んふぅ……。まったく、しょうがないんだからなぁ……」
「何がしょうがないのかしら?」
「うっきゃあっ!?」
意識の外からかけられた声に驚く。そのせいでベッドから転げ落ちてしまう。
「ちょっと大丈夫なの琴音っ。何をしているのよ」
「お姉ちゃんが急に声をかけるからだよ! ていうか部屋に入る前にちゃんとノックしてよね!」
「ノックしたわよ。返事がないから心配したんじゃない。琴音が上の空で私に気づかなかっただけよ」
「そ、そうなの?」
も、もしかしてスマホを眺めながらベッドでごろごろしてるとこまで見てた?
恥ずかしさを誤魔化すように咳払いをする。よし、大丈夫だよね。
「で、こんな夜遅くにお姉ちゃんはあたしに何か用?」
「こんな夜遅くに奇声が聞こえたから、何があったのか心配になって琴音の部屋に来たの」
「……大声上げてごめんなさい」
けっこう声に出してたみたい……。あ、あたし変なこと口にしてないよね?
「やっぱり、初めて彼氏ができると浮ついてしまうものなのね」
わかった風に言うお姉ちゃん。当たっているから反論に困る。
「お、お姉ちゃんも彼氏ができるとわかるよ」
目を逸らしながらそんなことを言ってしまう。
お姉ちゃんが彼氏を作らない原因はわかっているつもりだったのに。悪気はなかったけれど、あたしが口にしてはいけないことだった。恐る恐るお姉ちゃんの方を見る。
姉妹でもうっとりしてしまうほどの美しい容姿。黒髪清楚系を極めるとこんな感じになるんだろうなって思う。
美しい顔は不快感で歪むこともなく、お姉ちゃんの目はどういうことなのか光っていた。
「つまり、琴音は私の知らないことをたくさん知っているのね?」
「え、えぇ?」
「もうキスしたの?」
まさかの質問だった。あの生真面目なお姉ちゃんがこんなことをあたしに聞くだなんて考えもしてなかった。
お姉ちゃんはやや前のめりになってあたしへと迫る。好奇心が隠しきれていないっていうか、隠すつもりもなさそう。
その迫力に負けて、あたしは頷いていた。
「そ、そっか……そうなのね……。思ったよりも早いものなのね……」
自分から聞いたくせに、お姉ちゃんは赤面していた。恥ずかしくなるなら聞かなければいいのに。
でも、そんなお姉ちゃんを見ていたら悪戯心が芽生えてきた。
「ねえねえ、あたしと祐二先輩がどんなキスしたのか聞きたい?」
「べ、別にそこまではいいわよ……」
「お、大人のキスとか……聞きたくない?」
「お、大人のキス……!?」
目を逸らそうとしながらも、お姉ちゃんはあたしをチラチラと見てくる。やっぱり興味があるみたい。
お姉ちゃんって真面目そうに見えるけど、ちょっとエッチなことに興味あるよねぇ。内心でしたり顔をしてみたり。
「大人のキスどころか、もっと先のことをしちゃうかもね」
「そ、その先って……」
ごくりと、お姉ちゃんの喉が鳴ったのがわかった。
あたしのお姉ちゃんであり、みんなが憧れる藤咲彩音。こんなところを誰かが見たら、どう思うんだろう。
「えへへ、これ以上は秘密だよ」
「え、えぇ?」
あたしが舌を出すと、お姉ちゃんは目を白黒させた。
期待してくれていたみたいだけど、ごめんね。あたしだってまだキス以上のことはしていないの。
それに、いくらお姉ちゃんでもここから先は秘密にしたい。あたしと祐二先輩だけの秘密にしたいのだ。
「はいはーい。あたしもう寝るからお姉ちゃんは部屋に戻ってよ。早起きできなかったらお姉ちゃんのせいなんだからね」
「ちょっ、琴音──」
お姉ちゃんの背中を押して部屋から追い出す。
「……うふふ」
夏休みは長い。それも恋人になりたての男女の夏。何も起こらない方がおかしいよね。
もう一度スマホの画面を見る。彼への脅迫材料であり、あたしなりの愛の証が映っている。
「今日も会ったのに……。またすぐに会いたくなっちゃうよ……祐二先輩」
いつも置いて行かれてばかりだったけれど、今度ばかりはお姉ちゃんよりも早く、様々なことを経験できるかもしれない。
お姉ちゃんに対する優越感。祐二先輩に対する期待。いろんなことが胸の中で混ざり合って、あたしを嬉しくさせてくれた。
ベッドに潜り込む。明日も祐二先輩に会える。早く眠りに就いて、早く彼と会いたかった。
そして、祐二先輩といつか……。なんて妄想をしていたせいか、今夜はいやらしい夢を見てしまったのだった。
課題を終わらせるのは当たり前のことで、それ以上の勉強があたしには必要だった。お姉ちゃんほど頭の出来が良いわけじゃないし、一日でもサボったら他の子にだってすぐ置いていかれてしまいそうで不安だったから。
「うふふ……うへへ……うきゃー!」
でも、時には休憩が必要なわけで……。
夜。お風呂を済ませて寝る準備も終えたあたしは、ベッドに寝転がりながらスマホを眺めていた。
画面に映るのはあたしと祐二先輩。それもファーストキスの瞬間だ。
永久保存したい最高の思い出。だって、あたしと祐二先輩が本当の意味で恋人になった証拠なんだから。
彼はあたしに「好き」をちゃんと伝えてくれた。あたしをしっかりと見て言ってくれた。だからあたしも素直な気持ちを口にできた。
「はふ~……」
写真を見ると、自然とあの時の気持ちを思い出せた。
夏休みに入って、祐二先輩と何度かキスをした。意外と言ってはなんだけれど、彼のキスはとても優しいものだった。
とても嬉しくて、胸が温かくなる。満足しているのに、その先を期待している自分がいるわけで。
「いつかは大人のキスも……うっきゃー!」
ベッドの上でごろごろ。胸の中から湧き上がる恥ずかしさと期待が、あたしをじっとさせることを許してくれない。
「また明日、祐二先輩に会わなきゃ」
彼は受験生だというのに、自分を律することができない人だ。
放っていたら勉強そっちのけでゲームでもしているだろう。あたしがやる気スイッチを入れてあげなきゃ集中できない人なのだ。
そう、たとえばご褒美に大人のキスをしてあげるとか……。
「んふぅ……。まったく、しょうがないんだからなぁ……」
「何がしょうがないのかしら?」
「うっきゃあっ!?」
意識の外からかけられた声に驚く。そのせいでベッドから転げ落ちてしまう。
「ちょっと大丈夫なの琴音っ。何をしているのよ」
「お姉ちゃんが急に声をかけるからだよ! ていうか部屋に入る前にちゃんとノックしてよね!」
「ノックしたわよ。返事がないから心配したんじゃない。琴音が上の空で私に気づかなかっただけよ」
「そ、そうなの?」
も、もしかしてスマホを眺めながらベッドでごろごろしてるとこまで見てた?
恥ずかしさを誤魔化すように咳払いをする。よし、大丈夫だよね。
「で、こんな夜遅くにお姉ちゃんはあたしに何か用?」
「こんな夜遅くに奇声が聞こえたから、何があったのか心配になって琴音の部屋に来たの」
「……大声上げてごめんなさい」
けっこう声に出してたみたい……。あ、あたし変なこと口にしてないよね?
「やっぱり、初めて彼氏ができると浮ついてしまうものなのね」
わかった風に言うお姉ちゃん。当たっているから反論に困る。
「お、お姉ちゃんも彼氏ができるとわかるよ」
目を逸らしながらそんなことを言ってしまう。
お姉ちゃんが彼氏を作らない原因はわかっているつもりだったのに。悪気はなかったけれど、あたしが口にしてはいけないことだった。恐る恐るお姉ちゃんの方を見る。
姉妹でもうっとりしてしまうほどの美しい容姿。黒髪清楚系を極めるとこんな感じになるんだろうなって思う。
美しい顔は不快感で歪むこともなく、お姉ちゃんの目はどういうことなのか光っていた。
「つまり、琴音は私の知らないことをたくさん知っているのね?」
「え、えぇ?」
「もうキスしたの?」
まさかの質問だった。あの生真面目なお姉ちゃんがこんなことをあたしに聞くだなんて考えもしてなかった。
お姉ちゃんはやや前のめりになってあたしへと迫る。好奇心が隠しきれていないっていうか、隠すつもりもなさそう。
その迫力に負けて、あたしは頷いていた。
「そ、そっか……そうなのね……。思ったよりも早いものなのね……」
自分から聞いたくせに、お姉ちゃんは赤面していた。恥ずかしくなるなら聞かなければいいのに。
でも、そんなお姉ちゃんを見ていたら悪戯心が芽生えてきた。
「ねえねえ、あたしと祐二先輩がどんなキスしたのか聞きたい?」
「べ、別にそこまではいいわよ……」
「お、大人のキスとか……聞きたくない?」
「お、大人のキス……!?」
目を逸らそうとしながらも、お姉ちゃんはあたしをチラチラと見てくる。やっぱり興味があるみたい。
お姉ちゃんって真面目そうに見えるけど、ちょっとエッチなことに興味あるよねぇ。内心でしたり顔をしてみたり。
「大人のキスどころか、もっと先のことをしちゃうかもね」
「そ、その先って……」
ごくりと、お姉ちゃんの喉が鳴ったのがわかった。
あたしのお姉ちゃんであり、みんなが憧れる藤咲彩音。こんなところを誰かが見たら、どう思うんだろう。
「えへへ、これ以上は秘密だよ」
「え、えぇ?」
あたしが舌を出すと、お姉ちゃんは目を白黒させた。
期待してくれていたみたいだけど、ごめんね。あたしだってまだキス以上のことはしていないの。
それに、いくらお姉ちゃんでもここから先は秘密にしたい。あたしと祐二先輩だけの秘密にしたいのだ。
「はいはーい。あたしもう寝るからお姉ちゃんは部屋に戻ってよ。早起きできなかったらお姉ちゃんのせいなんだからね」
「ちょっ、琴音──」
お姉ちゃんの背中を押して部屋から追い出す。
「……うふふ」
夏休みは長い。それも恋人になりたての男女の夏。何も起こらない方がおかしいよね。
もう一度スマホの画面を見る。彼への脅迫材料であり、あたしなりの愛の証が映っている。
「今日も会ったのに……。またすぐに会いたくなっちゃうよ……祐二先輩」
いつも置いて行かれてばかりだったけれど、今度ばかりはお姉ちゃんよりも早く、様々なことを経験できるかもしれない。
お姉ちゃんに対する優越感。祐二先輩に対する期待。いろんなことが胸の中で混ざり合って、あたしを嬉しくさせてくれた。
ベッドに潜り込む。明日も祐二先輩に会える。早く眠りに就いて、早く彼と会いたかった。
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