【完結】淫獄の人狼ゲームへようこそ

荒巻一青/もふモフ子

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一日目

屋敷に集いし人々②

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「では、私から。」

 喧嘩を止めた男性から、自己紹介は始まった。

御堂総一朗みどうそういちろうと申します。探偵業を営んでいます。」
「探偵!?探偵だって!?」

 喧嘩の様子を静観していた別の男性が、楽しげな声を上げた。

「洋館に集められた人々と探偵ときたら、何かとんでもないことでも起こるんじゃないか!?ははは!」
「残念ながら探偵といっても、物語のようにスリルたっぷりの謎解きなどはありませんよ。地味な仕事ばかりです。」

 御堂さんは苦笑いをした。

「今回は依頼人の身辺調査のために、〈初瀬山邸〉に来ました。ですので、実は遺品整理に参加する気はありません。そもそも骨董とか、美術品とか、その手の知識はからっきしでしてね。」
「ほぉ。じゃあ、次は俺だな。」

 先程、大きな笑い声を立てていた男性が身を乗り出した。

高橋真司たかはししんじ。絵画の収集家だ。普段は芸術大学の教授をやっているが、まぁ、あまり知られていないところだな。だから、先生だの、教授だのつけるのはやめてくれよ。」

 高橋さんは嫌味のない、気さくな笑顔を浮かべた。

「お次は、長根さんかな?」

 そう高橋さんにふられ、先程怒鳴り声を上げていた中年男性は「けっ!」と顔を歪めた。

長根利三ながねとしぞうだ。古物商をやってる。こっちは部下の江頭だ。」
「え、江頭文吉えがしらふみよしです。よ、よろしく、お願いいたします。」

 横柄な態度の長根と違って、江頭はペコペコと何度も頭を下げている。
 二人の関係性を如実に表れていた。

「それなら、次は私ね。」

 先程、久遠を嗜めていた女性が口を開いた。

藤山明子ふじやまあきこよ。色々幅広くやっているけれど、今回は建築家としてこの遺産整理に参加させてもらっているわ。」
「建築家がなぜ遺産整理に?」

 思わず俺が尋ねてしまっても、藤山さんは特に気を悪くした様子はなく、説明してくれた。

「ふふ。そうよね。あまりイメージがないかもしれないけれど、実は建物自体も、そして建物の図面にも、著作権があるのよ。〈初瀬山邸〉は世界的にも芸術性の高い建築物として有名でね。建物自体にもかなりの価値があるわ。まぁ、私が見てみたいのはむしろ図面の方だけれどね。」
「そうなんですか。建築家の方とはなかなかお会いできないので、興味深いです。」
「あら、ありがとう。」

 藤山さんは真っ赤なルージュの引かれた唇をキュッと上げ、完璧な微笑みを見せた。

 最後は俺たちのグループだ。
 まずは柳生教授が口を開いた。

「柳生誠二です。大学で古文書の研究と、民間伝承の研究を主にしております。多くの古書が眠る初瀬勇次郎様の遺品を引き取らせていただける貴重な機会を下さったこと、まことに感謝しております。最後まで、責任をもって遺品整理をさせていただきます。」

 柳生教授の挨拶が終わり、一拍置いて、拓兄と宮沢先輩が立ち上がった。

「渡辺拓人です。僕たちは柳生教授の研究室に所属しており、この度遺品整理のお手伝いとして同行させていただきました。何かとご迷惑をおかけするかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。」
拓兄が頭を下げると、宮沢先輩もそれに続く。
「清水日香里です。よろしくお願いします!」

 さて、次は俺たちだ。
 学斗はあまりこういう人前に出る場が好きではない。
 代わりに俺が喋ろうと席を立ったら、同じタイミングで学斗も立った。

「俺は八城学斗と言います……。えっと、そこの、渡辺拓人、の従兄弟にあたります。今日はその、忘れ物を届けに、たまたまここにやってきただけなんで、明日には帰るつもりです……。よ、よろしく、お願いします。」

 最後の方はほとんど声が掠れていた。相当緊張してるみたいだ。
 人前で話すことに慣れてないから無理もないんだけど、まさか、こうやって自ら話し出すとは思ってもみなかった。

「おい、アキラ……、お前の番だぞ……。」

 小声で学斗に促され、俺は慌てて口を開いた。

「学斗の弟の、八城アキラです。学斗とは年子です。人生で滅多に来れないような豪邸でお泊りできるなんて、二度とない経験だなって、正直ワクワクしてます!皆さんに迷惑かけないよう努めますので、よろしくお願いします!」

 明るく挨拶すると、何人かがクスッと笑った。

「凸凹な兄弟だな。」
「よく言われまぁす。」

 長根の嫌味を受け流し、俺たちは着席する。
 ちょうどそこへ、最上さんがワゴンにたくさんの料理を載せて、広間へ入ってきた。

「皆様、お待たせいたしました。お食事の用意が整いましたので、どうぞ、ごゆっくりお楽しみください。」

 最上さんがてきぱきとテーブルの上に料理を並べていく。

「おお、さすがだ!」

 高橋さんが大げさに歓声を上げた。

 テレビや映画でしか見たことのないフルコースに、俺は思わず喉を鳴らす。
 美味しそうだけれど、テーブルマナーが分からない俺たちを思ってか、「気にせず、たくさん召し上がってくださいませ。」と小声で最上さんに促された。
 学斗と顔を見合わせ、それならばと俺たちは一目散に目の前の料理に飛び付いた。

 うわっ、さいっこーう!
 正直、料理名も、使われている素材も全然分からないけれど、全てが絶品だというのは貧乏舌の俺でも感じられた。

 美味しい食事に、遺産整理の参加者たちも緊張感がほぐれたのか、先程よりも和やかな雰囲気で会話に花を咲かせていた。
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