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一日目
屋敷に集いし人々③
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「なぁ。」
「ん?」
「もう一人、来るのかな?」
学斗が、ぽつりと呟いた。
その視線の先には、空席であるにも関わらず、一人分並べられた食事があった。
噂をすればなんとやら。
広間の扉がキィと開き、一人の男性が中へ入ってきた。
あんなにワイワイと楽しげに食事をしていたのに、一気に広間は静まり返る。
「すまない。邪魔をするつもりはなかったのだが、ちょっと聞きたいことがあってな。」
男は胸元から何かを取り出し、俺たちに見せた。
――警察手帳だ。
「警察だ。ここ周辺で聞き込みをしている最中に、ここへ立ち寄った。屋敷の主人に話を伺いたい。」
警察、と聞くと、参加者は皆一様にざわついた。
彼らはただ遺産整理の依頼を受け、遺品整理のためやってきただけだ。
悪いことなんてやっていないけれど、警察を前にすると緊張してしまうのが人間の性だ。
だが、異常に汗を流している長根と江頭は、何か悪いことをこれまでにやっているのかもしれない。
「警察の方ですね。夜遅くまでご苦労さまです。本来の屋敷の主は数年前に亡くなってしまったため、代わりに今は私が屋敷の管理をさせていただいております。最上と申します。」
「新田だ。とある事件の参考人が今、失踪していてな。現在、その行方を追っている。」
新田と名乗った警察官は、胸元から一枚の写真を出した。
「三島智之。プログラマーだそうだ。見覚えはないか?」
「プログラマー?……申し訳ございませんが、私は存じ上げません。」
「そうか……。」
新田は写真を片付け、じっと最上さんを見つめた。だが、ふっと短くため息をつき、「邪魔したな。」と踵を返した。
「お待ち下さい。外は豪雨ですし、この暗さで山道を走るのは大変危険です。」
「豪雨?俺が来た時は、雨なんて降っていなかったが……。」
心配して呼び止めた最上さんに対し、新田さんは怪訝そうな表情を見せた。
「先程から、ずっとこの雨です。」
最上さんの言葉で、俺たち参加者は広間の窓に目を向けた。
窓から見える外の景色はかなりの土砂降りだ。
新田さんはギョッと目を見開き、「嘘だろ……!」と言って、駆け出して行ってしまった。
しかし、しばらくして肩を濡らして帰ってきた彼に対し、最上さんは「ちょうど一人分食事が余っていたので、いかがですか?」と勧めた。
新田さんは少しの間悩んでいたが、結局「……いただこう。」と空いていた席に腰を下ろした。
「この雨の中、外に出るのは危険です。明日の朝、出発なさってはどうでしょう?幸い、客室は余っておりますし。」
最上さんは、新田さんのために温かい料理を彼の前に置く。
「……お言葉に甘えさせていただきます。」
新田さんは、遠慮しながらも料理を口に運んだ。
こうして、想定していなかった形で一人分の席は埋まった。
それからしばらくは皆で和やかに食事を楽しんでいた。
何を喋っていたかは、良く覚えていない。
ただ、大人たちはワイングラス片手に頬を少し赤く染めながら談笑していて、学斗は「もう部屋に戻らないか?」と小声で言ってきて、拓兄が俺たちに「実は、日香里と俺……。」と言ってきたところで――。
あれ?
それで、どうしたんだっけ?
「ん?」
「もう一人、来るのかな?」
学斗が、ぽつりと呟いた。
その視線の先には、空席であるにも関わらず、一人分並べられた食事があった。
噂をすればなんとやら。
広間の扉がキィと開き、一人の男性が中へ入ってきた。
あんなにワイワイと楽しげに食事をしていたのに、一気に広間は静まり返る。
「すまない。邪魔をするつもりはなかったのだが、ちょっと聞きたいことがあってな。」
男は胸元から何かを取り出し、俺たちに見せた。
――警察手帳だ。
「警察だ。ここ周辺で聞き込みをしている最中に、ここへ立ち寄った。屋敷の主人に話を伺いたい。」
警察、と聞くと、参加者は皆一様にざわついた。
彼らはただ遺産整理の依頼を受け、遺品整理のためやってきただけだ。
悪いことなんてやっていないけれど、警察を前にすると緊張してしまうのが人間の性だ。
だが、異常に汗を流している長根と江頭は、何か悪いことをこれまでにやっているのかもしれない。
「警察の方ですね。夜遅くまでご苦労さまです。本来の屋敷の主は数年前に亡くなってしまったため、代わりに今は私が屋敷の管理をさせていただいております。最上と申します。」
「新田だ。とある事件の参考人が今、失踪していてな。現在、その行方を追っている。」
新田と名乗った警察官は、胸元から一枚の写真を出した。
「三島智之。プログラマーだそうだ。見覚えはないか?」
「プログラマー?……申し訳ございませんが、私は存じ上げません。」
「そうか……。」
新田は写真を片付け、じっと最上さんを見つめた。だが、ふっと短くため息をつき、「邪魔したな。」と踵を返した。
「お待ち下さい。外は豪雨ですし、この暗さで山道を走るのは大変危険です。」
「豪雨?俺が来た時は、雨なんて降っていなかったが……。」
心配して呼び止めた最上さんに対し、新田さんは怪訝そうな表情を見せた。
「先程から、ずっとこの雨です。」
最上さんの言葉で、俺たち参加者は広間の窓に目を向けた。
窓から見える外の景色はかなりの土砂降りだ。
新田さんはギョッと目を見開き、「嘘だろ……!」と言って、駆け出して行ってしまった。
しかし、しばらくして肩を濡らして帰ってきた彼に対し、最上さんは「ちょうど一人分食事が余っていたので、いかがですか?」と勧めた。
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「この雨の中、外に出るのは危険です。明日の朝、出発なさってはどうでしょう?幸い、客室は余っておりますし。」
最上さんは、新田さんのために温かい料理を彼の前に置く。
「……お言葉に甘えさせていただきます。」
新田さんは、遠慮しながらも料理を口に運んだ。
こうして、想定していなかった形で一人分の席は埋まった。
それからしばらくは皆で和やかに食事を楽しんでいた。
何を喋っていたかは、良く覚えていない。
ただ、大人たちはワイングラス片手に頬を少し赤く染めながら談笑していて、学斗は「もう部屋に戻らないか?」と小声で言ってきて、拓兄が俺たちに「実は、日香里と俺……。」と言ってきたところで――。
あれ?
それで、どうしたんだっけ?
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