【完結】淫獄の人狼ゲームへようこそ

荒巻一青/もふモフ子

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四日目

尚子の手紙

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 さて、今日も今日とて、屋敷の探索だ。
 残念ながら全裸フィーバータイムは終わってしまって、男性たちは皆、服を着てしまった。
 でも、これからまた面白い『特殊カード』が手に入るかもしれないんだ。
 期待に胸を躍らせながら、俺は扉を開ける。
 
「えーと、ここは……。」
「書斎、ですね。」

 一緒に部屋を探ることになった御堂が答えた。
 壁一面に本棚が並び、向かいにはデスクがある。そして、右の窓からは美しい庭園が見渡せた。
 
「他の部屋よりも少し狭いですね。この雑然とした感じ、もしかしたら初瀬山勇次郎の書斎かもしれません。」
「初瀬山、勇次郎の……。」

 まぁ、こうやって散らかしても何も文句言われないのは、この屋敷の持ち主くらいだろう。
 本棚を眺めると、これまで見つけてきたいわゆる歴史的価値のある書籍とは異なるラインナップだ。
 
『催眠術のかけ方』
『人間を洗脳する言葉と技術』
『西洋黒魔術』
『深層心理と法則』
『呪いの偶像』
 
「うっわ、オカルト本か?ヤバそうなのばっかりだな。」

 同じく俺についてきた学斗が、顔をしかめる。
 
「手分けしましょうか。私はデスクの本棚から調べますので、アキラくんは棚の中を、学斗くんは本棚をお願いします。」
「「はーい。」」

 棚の中、ね。
 本棚とデスクの間にある五段もある棚を、上から順番に確認していく。
 
「うーん、書類ばっかりだな……。」

 古びた分厚い書類の束ばかりが出てくる。この中身まで見るとなると、かなりの時間がかかるぞ。
 
「土地の……権利書?こんな無造作に置いといていいのかよ。」

 すると、書類と書類の間から封筒が出てきた。
 差出人の名前はない。
 封筒の中身を取り出すと、手紙が出てきた。
 
『勇次郎さん、返してくださいまし。私の大切な夫を返してくださいまし。』

 女性らしい細くて上品な筆跡が、ひたすら勇次郎に訴えている。
 夫を返してくれと。
 
『子どもたちはまだ小さく、玄一郎さんを必要としているのです。分かっておりました。貴方が玄一郎さんに向けていた視線の意味を、本当は分かっておりました。分かっていながらあの人を貴方から奪った私を、どうぞ罰してください。私なんてどうなろうと構いませんので、どうか子どもたちに玄一郎さんをお返しくださいまし。後生にございます。』

 手紙の最後に書かれている差出人の名前が、黒で塗りつぶされている。

 おそらく、初瀬山勇次郎の幼馴染で、玄一郎と結婚した“尚子”だ。
 
「ふーん……。」

 俺は手紙と封筒を仕舞う。
 後で、御堂に渡してみるか。
 
「あー!」

 学斗の声がして、そちらへ目を向けた。
 
「出たー!ビデオテープ!」
「おぉ!」

 学斗が手にしビデオテープを頭上へ掲げる。
 
「出ましたよ!御堂さんお得意のビデオテープが!」
「その物言い、やめません?」
「なんと今回もタイトルはありません!」
「はいはい。見てみないと分からないってことですね。」
「良くやった学斗!またあの視聴覚室に行けるぞ!今度はお菓子とジュースも持っていこうな!」

 書類ばっかり見ていて、ちょうど飽き飽きしていたんだ。
 
「俺、最上さんにジュースとお菓子お願いしてくるから、二人は視聴覚室の準備をお願いしますね!」
「あ、こら!アキラくん!?」

 御堂の制止する声を背に、俺は駆け出した。

 最上さんは広間に隣接している厨房にいた。
 白いエプロンを付け、昼食の準備に取り掛かっている。
 
「最上さん、すみません。今いいですか?」
「いかがしましたか、アキラ様。」
「視聴覚室をまた使いたいのと、あと飲み物とお菓子を用意してもらえないかと思って。」

 三人分、と指で示す。

「かしこまりました。少々お待ちください。」

 にこりとも微笑まず、最上さんは小さなワゴンへ豊富な種類のお菓子やジュースをてきぱきとのせていく。
 
「視聴覚室までお持ちいたしましょうか。」
「いや、俺が持っていきます。」
「かしこまりました。視聴覚室は開放しておりますので、ご自由にお使いください。」

 そう言って、最上さんは深々と礼をし、昼食の準備に戻ろうとした。
 
「あっ、そうだ!」

 最上さんは足を止め、俺に向き直る。
 
「もう一つ、お願いしたいことがあるんです――。」
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