【完結】淫獄の人狼ゲームへようこそ

荒巻一青/もふモフ子

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五日目

パンドラの箱①

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【side:御堂総一朗】
 堕落とは、まさにこのことだろう。
 
「はぁ……だめだ……。朝っぱらから、私は何を……。」
「何って、ナニ?」

 うわぁ、今の返し、オジサン臭い。
 そういう前に、「はい、あ~ん。」と口の中にご飯を突っ込まれた。
 
「もごもご言ってないで、さっさと食え。今日も捜査、するんだろ?」
「むぐ……。」

 口の中の米を咀嚼し、飲み込んでから答える。
 
「その……新田さんは……。」
「あん?」
「腰、大丈夫なんですか……?」
「大丈夫なわけあるか。人のこと、玩具みてぇにゆさゆさ振り回しやがって。」

 新田さんは不機嫌そうに、頰を膨らませる。
 
「身体中いてぇよ……。」

 そう言って、腰をさすった。
 すみませんと口にしようとして、はたと思った。
 いやらしく誘ってきたのは、むしろ新田さんでは?
 
「……。」
「んだよ?」
「いえ、なんでも。」

 まあ、かくいう自分もノリノリだったため、やはり何も言えない。
 朝食というより、時間的にもう昼食を部屋でとった俺たちは、今後の動きについて話し合った。
 
「柳生教授たちはどうやら三階を今日は調べるそうですね。私たちも行ってみますか?」
「あぁ。だがその前に、これを見てほしい。」
「それは?」

 新田さんから渡されたのは、革製の古びたノートだった。
 
「この屋敷で行われていた、【人狼ゲーム】の記録だ。」
「何ですって!?」
「ごはんを取りに行った時に学斗くんに会ってな。昨日、学斗くんが見つけたんだと。特に自分たちには必要なさそうだからって、渡された。それと、最上尚子から初瀬山勇次郎に宛てた手紙も挟まれている。それはアキラくんのほうが見つけたってよ。」
「あの兄弟、いつの間に……。」

 ははっと乾いた笑いが漏れた。
 早速手紙に目を通し、さらにノートも1ページ1ページ確認していく。
 
「これは……。」

 言葉が出なかった。
 赤裸々に綴られている、この屋敷にやって来た人々に行っていた初瀬山勇次郎の行為。淡々とした文体であるものの、あまりにも生々しく、かつ凄惨な内容に、背筋が凍った。
 壁尻、親子による性行、性奴隷化――被害者は相当数に及ぶはずなのに、なぜ今まで明るみに出なかったのか。
 マインドコントロールといえども、一人の人間を支配するのにかなりの時間をかける必要がある。
 そんな一、二分であらゆる人間を支配するなんて、それこそ魔法か、超能力の世界だ。個人の洗脳で、ここまでのことができるとは到底思えない。
 しかし、自分たちが巻き込まれているこの【人狼ゲーム】だって、人智を超えた何かがあるように感じられる。
 認めなければならない。初瀬山勇次郎はその高過ぎる洗脳能力を用いて、この屋敷に招いた人々を、思うがままに支配していたということを。
 
 〈初瀬山邸〉は来てはならない、触れてはならないパンドラの箱だったのかもしれない――。
 
「毎回、初瀬山勇次郎は【人狼】として名を連ねていますね。」
「あとは、最上玄一郎と雅史か。まさか親子で初瀬山勇次郎の執事をやっていたとはなぁ。ゾッとするぜ。」
「えぇ……毎回、ね……。」
 
 なるほど。後ろの方になると、ゲームはより現在知られている人狼ゲームに沿った内容にブラッシュアップされていっている。
 それに、開催回数は増える一方で、人々に対する描写は随分と簡素化されている。
 
「簡素化ではなく、それだけ初瀬山勇次郎が人を人として見なくなっていったということか……。」

 依頼人でもある初瀬山貴美子さんの婚約者だった男性の名前は最後に開催された【人狼ゲーム】の名簿に記載されていた。『肉便器化』としか書かれていない。
 それなら、まだこの屋敷のどこかにいるのか?
 しかし、初瀬山勇次郎が亡くなった今、誰か肉便器となった男たちを必要とする?
 
「……行ってみましょうか、三階へ。もしまだ初瀬山勇次郎に囚われている人達がいるのなら、解放しなければなりません。」
「あぁ。俺もまだ、当初の目的である二人を見つけていないからな。」
「大変仕事熱心な刑事さんですねぇ。ところで腰の痛みは?」
「うっせ。行くぞ。」

 新田さんに頭を叩かれ、俺は笑いながら立ち上がった。
 三階では既に柳生教授らが調査しており、二つの部屋の扉が開けっ放しになっていた。
 
 扉をノックして、「どなたかいらっしゃいますか?」と声をかけてみるが、反応はない。
 新田さんと顔を合わせる。
 
「入るぞ。」
「えぇ。」

 覚悟を決めて、部屋の中に入る。そこにはベッドがいくつも並んでいた。

「渡辺さんっ!?清水さんっ!?」

 そのうちの2つのベッドに、二人は寝かされていた。
 慌てて駆け寄り、二人の状態を確認する。
 どちらも、眠っているだけのようだった。ペチペチと頬を叩きながら呼びかけてみるが、一向に目を覚ます気配はない。
 
「薬で眠らされている?新田さん。柳生教授たちを探し――。」

 新田さんの方を振り向く前に、口に布を押し付けらた。
 
「ん……っ!んぅ、んっ!?」
「暴れんなよ、御堂。」

 後ろから回される腕。抵抗しようと身体を捩るも、身体はがっちり固定されて動けない。
 
「ほら、深く息を吸え。」
「ん、ぐぅ……っ!」

 徐々に目が回り始める。
 身体から力が抜けていき、意識が朦朧とする。
 
「お休み、御堂。」

 新田さん……何で……。
 俺はそのまま、意識を失った。

 
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