Blue Flame Little Girl 〜現代ダンジョンで地獄を見た幼女は、幸せに成り上がる〜

ももるる。

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久しぶりの学校。

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 肉球タクシーのナイトは、私達を乗せたまま信じられない速度で道路を進み、しかしビックリするくらい揺れないのだ。

 すれ違う人が驚いて四度見くらいしてくるが、別に悪いことはしてないので無視する。

 一応、動物に乗って道路を走るのは法律で認められている。

 扱いとしては軽車両の分類になり、要するに自転車と同じ法律が適用される。

 ただ犬の幽霊にこの法律が適用されるのかは分からないので、その辺は不安だけど、逆に言えば犬の幽霊について言及する法律も存在しないはずだから、やっぱり何も悪くない。

 ナイトは昔から良くお母さんが運転する車に乗って、一緒に学校まで来ていた。だから私が指示する必要も無く、家から学校までの道を覚えてる。

「ナイトはやーい! すごーい!」

「いや本当に早いよね。さすがナーくん」

「わぅん!」

 お母さんの運転する車で四十分はかかる通学も、ナイトが程々の速度で走るだけで十分も短縮出来た。もう学校が見えている。

 軽車両扱いが適応される場合、速度制限とかどうだったっけと不安になりながら到着した懐かしの学校は、大変にムカつく事に校門に四組程のマスゴミが待機していた。

 超大型の燃える犬に乗って校門前に登場した私と真緒はめちゃくちゃ目立っているので、目当てのガキが現れたとはしゃぐマスゴミが、一斉に私たちに近寄ってきた。

「おねーちゃっ」

 だから、蒼炎。

「うわぁぁぁあっ!?」

「なんっ、なんだぁっ!?」

「カメラがっ、カメラが燃えるぅッッ……!」

 私のすぐ側から、可愛い妹が怯える声が聞こえた瞬間、私の引き金はとびっきり軽くなった。

 半径五メートル程を一気に燃やして、マスゴミが持ってるカメラやマイクなんかの精密機器を全力で燃やす。ついでに携帯端末も燃えてしまえ。

「アヅゥィィイイッ!?」

「嫌だっ、嫌だぁぁあっ」

「助けてぐれぇぇぇええッッ!?」

「うわぁぁぁああああ燃えるぅぅぅあああッッ……!?」

 たっぷり五秒、燃やしたい物を完全に燃やし尽くした私は蒼炎を収めた。そしてナイトの上からモンスターを見付けた時と同じ目で見下ろしながら、伝えたい事だけを伝える。

「…………次は殺す」

 私はグレイパーを解除して、降りやすいようにしゃがんでくれたナイトの上から真緒を抱えて地面に降りた。

「…………おねーちゃん、いいの?」

「うん。良いの。私はもう、テレビで伝えるべき事は全部伝えたもん。あとは相手次第だよ」

 蒼炎が消えて、持っていた道具が消し炭になって呆然とするマスゴミ共を完全に無視して歩き出す。

 後でカメラを弁償しろと言うなら札束でぶっ叩いてやるし、治療費を寄越せと言うなら札束のバスタブに沈めてやる。その代わり次は宣言通りに殺す。

 ちょっとイライラしてる私の後ろで、ナイトは一吠えしてからその身に集めた蒼炎を四散させ、幽霊に戻った。

 その瞬間が、ナイトが見えなくなる瞬間が、毎回凄く寂しい。

 けど、何があってもずっとそばにいてくれるナイトの心強さは些かも陰らない。

「行こ。真緒、ナイト」

「うんっ」

 手を繋いで校門を潜る。現場を見ていた他の生徒がめちゃくちゃ怯える中進むのはなかなか居た堪れないが、どっちにしろ普通の扱いなんてもう望めないのは分かってるから今更だと開き直る。

 子供らしい感性は捨てちゃったし、有名になりすぎたし、力を得すぎた。私はもう、普通の子供扱いされるのは絶対に無理だ。

「真緒も一年生だもんねぇ」

「うんっ! まおね、おねーちゃんといっしょにがっこう来たかったの!」

 可愛い。可愛いっ。

 こんなに愛らしい妹のお願いを長い間、昏睡して寝こけたまま無視していたなんて、私はなんて馬鹿なんだろう。て言うか寝過ぎじゃない? レベルアップしたお陰で長期間寝てたのにすぐ動けたけどさ、寝過ぎだよね。まったく、ダメなおねーちゃんだ。

「あ、まおはこっちだから、おねーちゃんじゃぁね!」

「はーい。また放課後ね」

「うんっ!」

 私たちが通う学校の校舎はシンメトリーな建造で、中央の玄関ホールを挟んで左右に学年が別れる三階建て。

 一階は右に一年生、左に二年生。二階の右が三年生、左が四年生。三階の右が五年生、左が六年生の教室が集まっている。

 そして中央にある幾つかの部屋が職員室や移動教室に使われている。

 真緒は一年生なので校舎に向かって右へ向かって、可愛い制服をパタパタと揺らしながら小走りに去っていく。

 廊下を走っちゃダメだぞって怒りたいけど、その姿が可愛すぎて私は何も言えないのだ。

「…………さって、一年ぶりの友達はどんなもんかな」

 真緒が去ったので一気に通常テンションまで落ちた私は廊下を歩いて自分のクラスを探す。

 知らぬ間に進級していたので、二年生になった自分が所属するクラスの教室に入るのは今日が初めてになる。

 たしかお母さんから言われたクラスは二年三組だっけ。

「…………ここか」

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