Blue Flame Little Girl 〜現代ダンジョンで地獄を見た幼女は、幸せに成り上がる〜

ももるる。

文字の大きさ
48 / 153

勇気と覚悟。

しおりを挟む


 私の説得が出来ないと悟ったお母さんが泣き崩れた。

 ああ、またお母さんを泣かせてる。私はやっぱりバカヤロウだ。とんでもないクソガキだ。

 私の決意を見たお父さんは、男泣きを隠すように私を抱き締めた。

 ぶっきらぼうだけど優しいお父さんが、私は大好きなんだ。

 真緒は俯いて、ただ私の服を掴んで、震えてる。

 大丈夫だよ真緒。もうお姉ちゃんは諦めないから。真緒の自慢のお姉ちゃんで居続けるから。

「笹木さん、お話しを続けましょう」

「…………よろしいので?」

「はい。私は、大好きな家族が住んでる東京を、家族を、東京ごと守ってみせます」

 大丈夫。前とは違うから。アイズギアもあるし、しっかりと準備出来る時間もあって、そのためのお金もある。それに危なくなったらDMシステムで帰還出来る。

「…………貴女の覚悟と勇気に、最大限の感謝を」

「えへへっ、自分の都合で戦うだけですよ。銀級ダンジョンが東京の外にあったなら、家族に危険が少ないなら、断ったかも知れません」

 大丈夫。うん、大丈夫だ。

 前より楽なはずなんだ。それに国の偉い人も手伝ってくれるんでしょ? むしろイージーモードだよ。

「支援は惜しみません。マスゴ--、いえマスコミの件もすぐに黙らせましょう。今後も、浅田優子さんが起こす殺傷事件は同様に処理します。…………貴女のような人が起こす事件なら、きっと相手に非があるでしょうからね」

 支援の約束も頂いて、マスゴミの件も片付くうえに、国のお墨付きを貰ったから次からは殺しても大丈夫になった。

 まぁそれだけ、二ヶ月後の東京壊滅を防げる人材を優遇するのは当たり前だよね。マスゴミに優しくしても銀級ダンジョンのヒートゲージは減らないんだから。

「あっ、私って年齢的にダンジョンアタッカーの登録出来ないんですけど、非公認でも武器を用意して貰えるんですか?」

「もちろん。……と言うか特例でライセンス発行しますよ。当たり前でしょう。この特例に文句を言う人物が居たら、銀級のヒートゲージを何とかしてから物を言えって話しなのです。武器も望むものを望むだけ。必要なら企業を集めてコンペでも開きますよ」

「…………やった! これで斧ちゃんが買える!」

 斧ちゃん、斧ちゃんが帰って来る!

 私は笹木さんに、この銀級ダンジョン攻略……、いや、ダン・・ジョ・・ン討伐・・・で私が求める物を、要望を伝えて行く。

 まずはとにかく食料である。

 今回はアイズギアを持ち込むから、最悪は帰還を使って日参も可能だ。

 だけど、ヒートゲージの減少率は倒したモンスターの強さに比例する。つまりダンジョンの奥に進めば進むほどヒートゲージを減らしやすくなる。

 だからなるべく帰らず、泊まり掛けで先に進む。帰還を使うと毎回最初からになるからね。ダンジョンの中はめちゃくちゃ広いので、日参してたら先に進める気がしない。

 そして、もう二度とダンジョンの中で飢えたくない。

 あれは本当に地獄なんだ。ゴキブリとかミミズとかクモとか、食べないで済むなら食べたくないに決まってる。心を閉ざしてなかったら絶対餓死してた。

 だから食料は持っていく。それはもう大量に持っていく。出来れば美味しい物を、凄まじく大量に。

 幸い、私は覚醒者なのでインベントリが自由に使える。インベントリはどうやら、本人の魔力量によって収納量が変わるらしい。そして私はレベル8。相当な量を持ち込めるはず。

 次に武器。出来れば斧。大戦斧。斧ちゃんの後継が欲しい。

 それも私は特例でライセンスを貰えるらしいので、コレについては問題無い。大金を注ぎ込んで特注しよう。

 まぁ、特注なんてしなくても、あの・・蒼乃フラムが大戦斧を欲していると知らせれば、各企業が喜び勇んで自慢の大戦斧を持ち寄って来ると笹木さんが言う。

 その中から気に入ったものを選べば良いと言われるけど、企業が絡むと面倒が増えそうだなぁ。

 そりゃぁね? 私はコレでも一応は世界唯一のダンジョン攻略者らしいし、そんな蒼乃フラムわたしの『御用達!』って看板が欲しいのなら、武器製造企業は集まって来るでしょうよ。

 本気の本気で仕上げた自慢の斧を持ってさ。

 そんな訳で、大量の食料と水の用意も、武器購入に掛かる制限の解除も国がやってくれる。と言うか武器の費用も国が負担してくれるらしいので、遠慮なく甘える事にした。

 一番大事なその二つが問題無く通り、あとは可能ならば欲しいってレベルの要望も伝えていく。

 食べ物と武器を除けば、私がダンジョンで一番欲しいのは丈夫な服だ。

 だって、私ってダンジョンの中であんなに薄地のワンピース着てたから、序盤の時点で既にボロボロ。最後の方なんてほぼ裸だったんだ。

 それをまぁ謎技術によるリアルタイム修正が入ったとは言え、ライブ配信されてたんだよ?

 率直に言って死にたい。

 だから、『何があっても破けない!』って、そのくらいの気合いで作られた服が欲しい。予備と着替えも含めて三桁くらい欲しい。私はもうライブ配信ですっぽんぽんになりたくない。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

処理中です...