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お母さんも行きます!
しおりを挟む食料に、武器。それと丈夫な服。
それらが揃ったなら、あと望むのは睡眠かな?
ダンジョンではろくに睡眠が取れない。どこに居たってモンスターが寄ってくる。匂いとか音とか、何かしらの情報を元にモンスターはすぐ人間を見つける。下手したら寝息を立てるだけでもモンスターが寄ってくる。
そんなところで熟睡したら死ぬ。絶対に死ぬ。
私だって銅級ダンジョンで過ごした日々で、自分でモンスターの接近に気が付いて起きたと思っていたのに、動画を見たらナイトが不思議な力で私を起こしてただけだった。
ナイトが居なかったら、何回死んでたか分からない。数回とか数十回の話しじゃない。少なくとも三桁は余裕で助けられてる。
…………やっぱり私って、ダンジョン攻略者でも何でも無いよね。ナイトの補助で生き残っただけの、普通の子供だ。
まぁでも、今回はそのナイトも最初から蒼炎の力を使って参戦してくれる。心強いなんてもんじゃない。
ナイトが居れば、私は無敵だ!
「……ふむ。睡眠ですか」
「はい。とても大事なことですよ。ダンジョン中は本当に寝てる暇が無いので……」
「でしたら、一番手っ取り早いのは徒党を組む事ですが……」
「……銀級ダンジョンについてこれる人間が居るなら、最初から私にこんな話し回って来ないですよね」
「大人が不甲斐なく、申し訳ない…………」
そう。パーティを組めるなら、交代で睡眠を取れば時間を作り出せるんだ。
起きてるメンバーがモンスターを追い払い、討伐し続けて時間を捻出して、そうやって交代していけばダンジョンの中でも睡眠時間が確保出来る。
だけど、誰も銀級ダンジョンで活動出来ないから私に話しが来るわけで、私の睡眠時間を確保してくれる人材が居たらソイツらにダンジョン攻略させろよって話しなんだよね。
だから私が銀級ダンジョンを進むためには、何かしらのアイテムで睡眠時間を確保する必要があり、そんな便利な物はありませんかと笹木さんに聞くのだけど、まぁ無いよね。
私のインベントリにも無い。魔物避けみたいな効果があるアイテムは銅級ダンジョンではドロップしなかったみたいだ。そしてそんなアイテムが無いなら、人間も無いものを素材にして道具なんて作れない。
虫除けや獣避けの技術を使って臭いや超音波を使うと、むしろモンスターは寄ってくるので逆効果なのだ。
「…………んー、そうですね。コチラでも何か考えておきましょう」
「よろしくお願いします。私も何か思い付かないか、色々考えておきますね」
最悪は、ナイトと交代で睡眠時間を捻出するしかない。
ナイトが見張りをしてる時に私が寝て、回復出来たら交代する。…………あれ、そう言えばナイトが寝てるのって見た事ないけど、幽霊になったナイトって睡眠必要なのかな?
いや、寝なくていいとしても、休ませない理由にはならない。ナイトは私の騎士様なんだ。奴隷じゃない。
「それでは、一ヶ月の準備後、銀級ダンジョンのアタックを開始する。その予定でよろしいですか?」
「はい、よろしくおねが--」
「やっぱりダメですッッ…………! お母さん認めませんッ!」
仔細を詰め、話しが纏まる直前に、お母さんがもう一度噴火した。
「ダメですダメですっ! 優ちゃんはお家に居るんですッ!」
話しが纏まりそうだったのに、とか、今更煩わしいとか、そんなことは一切思わない。
私を想ってくれるお母さんの優しさなんだから、煩いなんて少しも思わない。
だから、私は何度でもお母さんを説得するよ。納得してくれるまで、信じてくれるまで、何回でも言うよ。
「お母さん。あのね--……」
愛してるよ、お母さん。
「どうしてもと言うなら、お母さんも行きますッッッ!」
愛してる、けども。
「……--待って、なんて?」
待って欲しい。ちょっと待ってお母さん。
「お母さんもッ! 行きますッッ!」
なんか、凄いややこしい話になっちゃったぞ。
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