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14話
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「フェイウェル殿」
掛けられた声に僕が振り向くと、そこにいたのは
「勇者様」
そう、つい先日までギルドの酒場で死んだ目をして酒を飲んでいた勇者様がそこにいた。未だ自信を取り戻すには至っていないようだけれど目に光が戻り前を向いているのは感じられる。
「どうされたのですか、あなたと僕は、このように気軽に声を掛けあうような関係ではないと思いますけど」
僕の言葉に、苦しそうな表情になる勇者様。
「わかっておるのだ。わかってはおるのだがフェイウェル殿にしか頼めぬことがあるのだ」
「パーティーメンバーの件なら一顧だにする価値もありませんよ。正直言っていつ背中から刺されるかわからないメンバーにしか思えない」
「わかっておる。フェイウェル殿に我らが全く信頼してもらえておらんことはわかっておる。そしてそれだけの事をしでかしてしまったことも今更ではあるが理解しておる。だからフェイウェル殿をパーティーメンバーに迎えることは諦めた」
「なら、もう用はないでしょう」
「いや、むしろここからが本題なのだ」
「本題ですか」
「我に稽古をつけて欲しい」
「正気ですか」
「正気も正気。我に稽古をつけられるのはフェイウェル殿以外には考えられぬ」
「お断りします」
「なぜ。私怨はコロシアムで……」
「コロシアムではあとくされ無いことを求められます。けれどその後に友誼を結ぶことを強制はされておりません」
「そこを……」
「くどいですよ。勇者様。そもそも僕たちがここにいる理由をご存じですか」
「わかっておる。婚姻の祝福を受けにまいられたのであろう」
「それが分かっていて、なぜ顔を見せに来られるのですか」
「く、しかし、フェイウェル殿が聖都に来るなど、そうあることではなかろう。となれば……」
やはり勇者様は分かっていないのだろう。
「勇者様は、もう少し人の心の機微を勉強するべきですね。これは戦闘技術云々以前の人としての常識です」
「しかし機会を逃すわけには」
「その行動言動が今だけでなく将来の機会を失わせているのです。アーセルの時と同様にね。では失礼します。行こうミーア」
僕はミーアの手を取り武器屋の前を離れた。そして離れ際に一言
「勇者様。ひとことだけ助言をしてあげましょう。そこの武器屋ですべてを任せて武器防具をあつらえてもらうのをお勧めします」
そして僕とミーアは宿に戻った。
”夜の羊亭”での夕飯までの時間。僕とミーアは今日買った弓と剣を改めてじっくりと確認している。まずは狩弓。漆黒の中に血の赤のラインの入った弓は傷一つなくランプの明かりを反射して鈍く光っている。弭を丁寧に確認し小さなバリさえない事を確認する。本当にいい仕上げをしてある。次に近接用の予備武器として購入したハンド・アンド・ハーフ・ソードを確認する。最上級の剣ではないけれど、僕たち狩人が予備武器として持つには十分以上な剣だ。重心が良いので軽く感じる。室内なのであまり振り回せないけれど、これなら命を預けるのには申し分ないだろう。最後に漆黒の長弓。どこにもおかしな歪みが無く、明かりを全て吸収するかのような黒色で圧倒的な存在感があった。
一通り確認を済ませ、魔法の鞄に丁寧にしまう。すべてをしまい終えたところでミーアが口を開いた。
「ねぇフェイ」
「ん、なんだい」
「その、フェイは今でもアーセルのこと好き」
「また、唐突な質問だね。もうアーセルは、ただの幼馴染だよ」
「なら、どうして勇者様にアーセルとのことを言ったの」
「勇者様を信頼できなくなった根本原因がアーセルとのことだからだよ。今の気持ちがどうとかとは関係ないよ。人と人の関係を自分の都合であっさり壊して平気でいる人を僕は信頼できない。そういう意味」
ミーアは少し安心した顔で僕にもたれかかりながら
「もうひとつ、聞いていい」
「ん、良いよ」
「あたしの事は好きになってきてるかしら」
「そうだね、好きだよ。一生を共にしたいと思える程には愛してる」
僕はミーアを優しく抱き寄せて口づけを落とした。
掛けられた声に僕が振り向くと、そこにいたのは
「勇者様」
そう、つい先日までギルドの酒場で死んだ目をして酒を飲んでいた勇者様がそこにいた。未だ自信を取り戻すには至っていないようだけれど目に光が戻り前を向いているのは感じられる。
「どうされたのですか、あなたと僕は、このように気軽に声を掛けあうような関係ではないと思いますけど」
僕の言葉に、苦しそうな表情になる勇者様。
「わかっておるのだ。わかってはおるのだがフェイウェル殿にしか頼めぬことがあるのだ」
「パーティーメンバーの件なら一顧だにする価値もありませんよ。正直言っていつ背中から刺されるかわからないメンバーにしか思えない」
「わかっておる。フェイウェル殿に我らが全く信頼してもらえておらんことはわかっておる。そしてそれだけの事をしでかしてしまったことも今更ではあるが理解しておる。だからフェイウェル殿をパーティーメンバーに迎えることは諦めた」
「なら、もう用はないでしょう」
「いや、むしろここからが本題なのだ」
「本題ですか」
「我に稽古をつけて欲しい」
「正気ですか」
「正気も正気。我に稽古をつけられるのはフェイウェル殿以外には考えられぬ」
「お断りします」
「なぜ。私怨はコロシアムで……」
「コロシアムではあとくされ無いことを求められます。けれどその後に友誼を結ぶことを強制はされておりません」
「そこを……」
「くどいですよ。勇者様。そもそも僕たちがここにいる理由をご存じですか」
「わかっておる。婚姻の祝福を受けにまいられたのであろう」
「それが分かっていて、なぜ顔を見せに来られるのですか」
「く、しかし、フェイウェル殿が聖都に来るなど、そうあることではなかろう。となれば……」
やはり勇者様は分かっていないのだろう。
「勇者様は、もう少し人の心の機微を勉強するべきですね。これは戦闘技術云々以前の人としての常識です」
「しかし機会を逃すわけには」
「その行動言動が今だけでなく将来の機会を失わせているのです。アーセルの時と同様にね。では失礼します。行こうミーア」
僕はミーアの手を取り武器屋の前を離れた。そして離れ際に一言
「勇者様。ひとことだけ助言をしてあげましょう。そこの武器屋ですべてを任せて武器防具をあつらえてもらうのをお勧めします」
そして僕とミーアは宿に戻った。
”夜の羊亭”での夕飯までの時間。僕とミーアは今日買った弓と剣を改めてじっくりと確認している。まずは狩弓。漆黒の中に血の赤のラインの入った弓は傷一つなくランプの明かりを反射して鈍く光っている。弭を丁寧に確認し小さなバリさえない事を確認する。本当にいい仕上げをしてある。次に近接用の予備武器として購入したハンド・アンド・ハーフ・ソードを確認する。最上級の剣ではないけれど、僕たち狩人が予備武器として持つには十分以上な剣だ。重心が良いので軽く感じる。室内なのであまり振り回せないけれど、これなら命を預けるのには申し分ないだろう。最後に漆黒の長弓。どこにもおかしな歪みが無く、明かりを全て吸収するかのような黒色で圧倒的な存在感があった。
一通り確認を済ませ、魔法の鞄に丁寧にしまう。すべてをしまい終えたところでミーアが口を開いた。
「ねぇフェイ」
「ん、なんだい」
「その、フェイは今でもアーセルのこと好き」
「また、唐突な質問だね。もうアーセルは、ただの幼馴染だよ」
「なら、どうして勇者様にアーセルとのことを言ったの」
「勇者様を信頼できなくなった根本原因がアーセルとのことだからだよ。今の気持ちがどうとかとは関係ないよ。人と人の関係を自分の都合であっさり壊して平気でいる人を僕は信頼できない。そういう意味」
ミーアは少し安心した顔で僕にもたれかかりながら
「もうひとつ、聞いていい」
「ん、良いよ」
「あたしの事は好きになってきてるかしら」
「そうだね、好きだよ。一生を共にしたいと思える程には愛してる」
僕はミーアを優しく抱き寄せて口づけを落とした。
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