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26話
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目が覚めたのは柔らかいベッドの中だった。どうやら僕は生き延びたらしい。そして一番最初に気になったのは当然ミーアの事。僕がベッドから起きだそうとしていると
「だ、ダメです。まだ寝ていてください」
そばにいた女性にベッドに押し戻されてしまった。
「あなたは」
聞くと
「聖都教会所属、癒しの手の一人マリアと申します」
「では、マリアさん。ミーアは、ミーアというのは僕の妻で、スタンピードで一緒に戦っていたのですが。ミーアがどこにいるかご存知でしょうか」
「ミーアさんというのが、あなたと一緒に担ぎ込まれた女性の事であれば、この治療院で治療中ですわ」
「会えませんでしょうか」
そういう僕を見てアリアさんはクスリと笑い右手で部屋の入り口を示した。
そちらを見ると、そこには僕の愛しい妻の姿があった。
「ミーア」
バッと起き上がろうとすると、マリアさんが僕を押し止め。
「あなたは、まだ寝ていないとだめです」
そして、ミーアを手招きし
「どうぞ、今しがた目を覚まされたところですよ。起きたと思ったらあなたを探しに行こうとしたようですね。私は、少し他で用事を済ませてきますので、ここをお願い致します。きちんと寝かしつけておいてくださいね」
そう言うと、マリアさんは部屋を出て行き、パタンとドアの閉まる音がした。
おずおずと近寄ってきたミーアは、手を口に当てて目に涙を浮かべ
「フェイ」
僕を呼んでくれた。僕も応えて呼ぶ。
「ミーア」
僕の胸に飛び込んできたミーアをギュッと抱きしめる。
「ミーア、無事でよかった」
「フェイ、フェイ。あたしのフェイ。心配したんだから。何日も意識が戻らなくて。ケガだって教会の癒し手の治癒魔法でもなかなか治らないし」
「ミーア、心配させてごめん。ミーアに話し忘れていたことがあるんだ。実は僕には癒し手の治癒魔法は効きにくいんだ。いや、正確に言うと、ほとんどあらゆる魔法を受け付けないんだよ。その代わりケガにも強いし、大抵のケガは普通の何倍もの早さで治るんだ」
僕の言葉に、その意味に気付いたのだろう。ミーアが続ける。
「だから、なのね。フェイがここにいるってどこかで聞いたアーセルが慌ててやってきたのは」
「そうか、アーセルが来たのか」
僕は目をつぶって身体の力を抜きベッドに身を任せた。
そう、僕は生まれつきほとんどの魔法に耐性がある。それは治癒魔法に対してもそうで、どんな高位の治癒魔法を施されても十分な効果は発揮されない。それはある職業・称号持ちに共通する特性で普通は狩人の祝福もちの人間に現れるような特性ではない。そしてその耐性の例外が聖女の祝福による治癒。この特性をもつ人間を治療できる魔法の持ち主は聖女だけ。そして、僕の魔法耐性についてはアーセルは知っている。昔、アーセルと結婚するつもりだった頃に特性についてだけは話してあったから。原因までは話してなかったけれど。
そんな僕を見つめるミーアが
「アーセルは知っていたのね」
「そう、アーセルは知ってるよ。以前はアーセルと結婚するつもりだったからね。でも、誤解しないで欲しい。ミーアにも話すつもりだったんだ。ただタイミングが掴めなかっただけでね」
「うん、それはわかるの。わかるし、フェイのことは信じてる。でも……」
ミーアの気持ちはわかる。これは理屈じゃない。とすれば、僕がするべきはミーアを安心させることだろう。
「ミーア、今から話すことは母さん以外は誰も知らない。他の人に話さないで欲しい。約束してもらえるかな」
ミーアが何か不思議そうな表情をしながらも
「う、うん。約束する」
そこから今まで誰にも話したことのない僕の秘密をミーアに打ち明けた。
「そっか、フェイはそうだったのね。これは確かに他人には言えないね。ありがとう。本当は、これは言いたくなかったでしょ。」
そう言ってミーアは僕を優しく抱きしめてくれた。
「ミーアになら良いかなって」
僕はミーアを抱きしめ返した。
”コンコンコン”ドアをノックする音が聞こえる。
「どうぞ」
僕はミーアを抱き寄せたまま返事をした。
「失礼する」
そして入ってきたのは騎士服に身を包んだ美丈夫。多分僕は会ったことは無い。ミーアを見ても疑問と警戒心が表情に出ている。この人は誰なんだろう。
「だ、ダメです。まだ寝ていてください」
そばにいた女性にベッドに押し戻されてしまった。
「あなたは」
聞くと
「聖都教会所属、癒しの手の一人マリアと申します」
「では、マリアさん。ミーアは、ミーアというのは僕の妻で、スタンピードで一緒に戦っていたのですが。ミーアがどこにいるかご存知でしょうか」
「ミーアさんというのが、あなたと一緒に担ぎ込まれた女性の事であれば、この治療院で治療中ですわ」
「会えませんでしょうか」
そういう僕を見てアリアさんはクスリと笑い右手で部屋の入り口を示した。
そちらを見ると、そこには僕の愛しい妻の姿があった。
「ミーア」
バッと起き上がろうとすると、マリアさんが僕を押し止め。
「あなたは、まだ寝ていないとだめです」
そして、ミーアを手招きし
「どうぞ、今しがた目を覚まされたところですよ。起きたと思ったらあなたを探しに行こうとしたようですね。私は、少し他で用事を済ませてきますので、ここをお願い致します。きちんと寝かしつけておいてくださいね」
そう言うと、マリアさんは部屋を出て行き、パタンとドアの閉まる音がした。
おずおずと近寄ってきたミーアは、手を口に当てて目に涙を浮かべ
「フェイ」
僕を呼んでくれた。僕も応えて呼ぶ。
「ミーア」
僕の胸に飛び込んできたミーアをギュッと抱きしめる。
「ミーア、無事でよかった」
「フェイ、フェイ。あたしのフェイ。心配したんだから。何日も意識が戻らなくて。ケガだって教会の癒し手の治癒魔法でもなかなか治らないし」
「ミーア、心配させてごめん。ミーアに話し忘れていたことがあるんだ。実は僕には癒し手の治癒魔法は効きにくいんだ。いや、正確に言うと、ほとんどあらゆる魔法を受け付けないんだよ。その代わりケガにも強いし、大抵のケガは普通の何倍もの早さで治るんだ」
僕の言葉に、その意味に気付いたのだろう。ミーアが続ける。
「だから、なのね。フェイがここにいるってどこかで聞いたアーセルが慌ててやってきたのは」
「そうか、アーセルが来たのか」
僕は目をつぶって身体の力を抜きベッドに身を任せた。
そう、僕は生まれつきほとんどの魔法に耐性がある。それは治癒魔法に対してもそうで、どんな高位の治癒魔法を施されても十分な効果は発揮されない。それはある職業・称号持ちに共通する特性で普通は狩人の祝福もちの人間に現れるような特性ではない。そしてその耐性の例外が聖女の祝福による治癒。この特性をもつ人間を治療できる魔法の持ち主は聖女だけ。そして、僕の魔法耐性についてはアーセルは知っている。昔、アーセルと結婚するつもりだった頃に特性についてだけは話してあったから。原因までは話してなかったけれど。
そんな僕を見つめるミーアが
「アーセルは知っていたのね」
「そう、アーセルは知ってるよ。以前はアーセルと結婚するつもりだったからね。でも、誤解しないで欲しい。ミーアにも話すつもりだったんだ。ただタイミングが掴めなかっただけでね」
「うん、それはわかるの。わかるし、フェイのことは信じてる。でも……」
ミーアの気持ちはわかる。これは理屈じゃない。とすれば、僕がするべきはミーアを安心させることだろう。
「ミーア、今から話すことは母さん以外は誰も知らない。他の人に話さないで欲しい。約束してもらえるかな」
ミーアが何か不思議そうな表情をしながらも
「う、うん。約束する」
そこから今まで誰にも話したことのない僕の秘密をミーアに打ち明けた。
「そっか、フェイはそうだったのね。これは確かに他人には言えないね。ありがとう。本当は、これは言いたくなかったでしょ。」
そう言ってミーアは僕を優しく抱きしめてくれた。
「ミーアになら良いかなって」
僕はミーアを抱きしめ返した。
”コンコンコン”ドアをノックする音が聞こえる。
「どうぞ」
僕はミーアを抱き寄せたまま返事をした。
「失礼する」
そして入ってきたのは騎士服に身を包んだ美丈夫。多分僕は会ったことは無い。ミーアを見ても疑問と警戒心が表情に出ている。この人は誰なんだろう。
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