幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第205話 夏休みとミケル・レガスからの誘い

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愛翔たち3人組は駅の改札前でのんびりと話をしている。
「今年の夏はイベント盛りだくさんだなあ」
「ふふ、そうね。桜はインターハイ、私も軽音部で全国コン、愛翔も上に上がる期待値高いしね」
「進路の方もイベント盛りだくさんだけどね」
「で、今日のイベントはどうだったんだ?」
「私は、まあまあね。今すぐ入試でも自信あるわよ。愛翔は?桜もどうだった?」
「まあ、俺もそれなりにかな」
「あたしも自信あるよお」
普通の友人関係なら”ちょっとヤバメかも”等とフェイクを入れるところでも、そのままに話すのはやはり、この3人ならではなところだ。
「しかし、T大模試なんてのがあるとはね。文理別で、しっかりとT大向けだったな。文系の方はどうだった?」
「うん、ちゃんとT大って感じの問題だったわよ」
そんなところに
「やっほー、久しぶり。お出迎えありがとうね」
改札を出て来たのは東京から帰省してきた丘。
「おかえり、姉さん」
愛翔は挨拶をしつつスッと手を出し丘の荷物をひきうける。
「ん、ありがと」
そんな姉弟の挨拶の終わるのを待っていたように桜と楓が丘に飛びついた。
「「丘先輩、おかえりなさい」」
「3人とも元気そうね」
丘は穏やかに微笑み3人を目を細めて見やる。
「それに、随分と穏やかになったわね」
丘の言葉に3人が首を傾げた。
「ふふふ、以前のあなた達って凄く固い絆は感じたけど、なんというか焦りのようなものを感じたのよね。でも今は凄く自然に一緒に居る感じがするわ」
そういって丘は嬉しそうに笑った。

とりあえず立ち話ではなんだからと4人は近くのカフェに移動し椅子に腰をおちつける。
「それであなた達、さっきも言ったけど雰囲気変わったけれど最近はどうなのかしら?」
さっそく丘が聞きに入った。
「どうって、まあ普通かな?なあ」
愛翔が答えつつも桜と楓に同意を求める。
「そうですね。あと少しって感じでしょうか」
楓が意味深に笑うと
「そ、あと少し。その最後の壁を今壊してるところね」
桜も楓に同意し、愛翔とは少しばかり意見が違ったようだ。それを聞いた丘は少しの呆れを含みながらも暖かい笑みを浮かべた。
「で、桜ちゃんがバスケットボール部でインターハイ3回戦まで進んだっていうのは聞いたんだけど、楓ちゃんも全国コンテスト?にでるんだって?」
「はい、県予選を通過出来たので。今は全国用のオリジナル曲を練習中です」
「その様子だと自信ありそうね」
「初の全国コンテストなのでどのレベルなのかは分からないですけど、それなりに自信あります」
そう言うと楓は愛翔をチラリと見てフフフと笑顔を見せる。
「ふーん」
その様子に何かを察した丘はニヨニヨと頬を緩めていた。そして
「それで3人の進路はどんな感じなのかしら?」
「俺はまあ相変わらずだね。サッカーで上に呼ばれたらそっちに行く。でも身体の事があるからフロントとしてはちょっと躊躇してる感じがあるんで、このままだと進学かなって。ただ、1回だけ3月にイタリアに行ってみたいって気持ちもあるかな」
それを聞いた桜と楓の表情が変わった。
「なにそれ、あいと聞いてないんだけど」
「そうよ、そういう大切なことは教えて欲しいわよ」
「ごめんごめん、まだ確定してないから言ってなかったんだ。ほら日米交流戦のときのコーチでミケル・レガスって人がいただろ。あの人と話す機会があってさ。向こうでやるかどうかは別にして一度見に来ないかって言われてるんだ」
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