幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

景空

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第244話 ディフェンス

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「ビッグプレイだ住吉」
「よく、思い切れたな」
「あそこを抜けるとか、住吉、頭のねじが2,3本抜けてないか?」
チームの面々から祝福とからかいの言葉を掛けられ、愛翔はやや照れくさそうにしている。
「いやあ、どう見ても俺の事なめてかかってきてたんで、むしろああいったやり方の方が成功するかなって。でも次からは同じようにはいかないでしょうね」
愛翔の返しに呆れたような顔を見せるステラスターFCのメンバー達。
「で、なめられたニュービーは次はどうするつもりだ?」
アグラ・悠の言葉に
「とりあえず相手ボールでの再開ですからディフェンスでも舐められないようにします」
愛翔の言葉にステラスターFCのメンバー達は、一瞬呆けたあと、大きく笑った。
「くくく、そ、そうだったな。住吉はU18ではリベロをつとめるオールラウンダーだったな。すべての状況で存在感を示すってことか」
皆が大笑いし、愛翔の背中をバンバンと叩く。そして
「いいぞ、そのくらいの勢いでやってやれ」

東京バンデットFCのキックオフでゲーム再開。
愛翔は、キックオフ直後にボランチとしてバイタルエリアに堂々と陣取りポジショニングをしている。それを見た東京バンデットFCのフォワード陣が頬を引きつらせた。
「U18ではディフェンダーの役割もしたそうだが、Jでまで同じことができると思うってのは思い上がりだぞ。おい、はねっかえりのニュービーに身の程を教えてやるぞ」
そう示し合わせディフェンスの穴と考え愛翔を抜く方向でボールを進め始める。
当然その動きはステラスターFCにも理解されている。
「ふ、住吉がそこいらのニュービーと同じだと思って突っ込んでくるか……」
司令塔を任されているアグラ・悠がニヤリと人の悪い笑顔を見せ、フォーメーションとして、あえて愛翔のカバーは厚くしない。それは東京バンデットFCから見ればまるで愛翔が穴であることを気づかず放置しているように見えた。しかし、練習を共にしているステラスタートップチームのメンバー達からすればそれは穴ではなく罠だった。
さっそく東京バンデットフォワードが中央に切り込んでくる。当然、愛翔が前をふさぐ。普通であれば後ろにフォローのいるディフェンスサイドに対しいきなり無理に抜きに掛かる事は考えにくい。しかし、愛翔をニュービーと侮ると同時に洗礼をかますつもりの東京バンデットセンターフォワード佐野浩之(さの ひろゆき)が愛翔を抜きに掛かってきた。対する愛翔は無理に距離を潰すことなく絶妙な間合いで立ちふさがった。切り替えしてもついていける、フェイントで振ろうとしても逆に攻め込める絶妙な距離感。そこから愛翔が更にプレッシャーを掛ける。鍛え抜いた体幹とボディバランスで逆にフェイントを仕掛け追い詰める。絶妙な位置取りでパスコースを潰す。そしてついに佐野を後ろを向いてボールを守るだけの体勢に追い込んだ。そこでパスで逃げようとキックのため足を動かすと途端に愛翔の足がボールを奪いに動く、どこにも逃げ場のないまさに蟻地獄。ステラスターFCのフォワードのようなJトップクラスでこそないけれど、それでもトップチームのフォワードを愛翔が1人で封じ込めコントロールする。
愛翔に追い詰められ捨て鉢となった佐野がファール覚悟で愛翔にチャージをかけた。それを愛翔はぬるりといなし、時に躱し、そして、タイミングを見切り一瞬の見切りで躱し直後に押し返した。大きく体勢を崩す佐野の足元からボールは愛翔の支配下にうつる。即座に前方敵陣に向け走るステラスターFCフォワードに大きくフィードする。東京バンデットFCの硬いディフェンスに得点こそならなかったものの、あと一歩で追加点となるシーンが演出されたのだった。
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