〈暗舟騎士団〉ー闇と暗が光と耀の聖戦期ー

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第一章【異変と不変と異変】

第2話革命派の動乱

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――――アウトナイツ....奴らは一体何者?なぜ私達を助けた?なぜ革命家たちを抹殺して行った?なぜ?―――

 脳内には悲惨な現場での精神喪失と追いついてこない理解と疑問で頭が混乱していた。
 それは王子や生き残った兵士も同じだった。 施設に戻り少し腰を落としていると 

「大丈夫ですか?」 

と声が掛かった 見上げるとそこには黒髪で耳を生やした獣人の女性がいた 

「貴女は?」 

「申し遅れました。私は帝国騎士団所属第13偵察部隊3等兵のアネモネと申します!」 

「ここに女性は珍しいわね....自己紹介はしたけど改めてリラよ。よろしく」

 「よろしくお願いします!」 

リラは震える手を抑えながら  

「まだ無数の人が命を落とし...また失っているのは....あの時と変わらないのね」

 リラは空を見上げた。  
「あの時?.....何な悲惨な経験が?」 

アネモネはリラを見て質問した。  
 
「.....14年前の戦争よ」 

リラは答えた。 

「14年前....あの世界大戦ですね...AIと人類が全世界で争ったと言われる悲惨な戦争....私は避難指定区域でずっと過ごしてたのであまり痛感はないですが....いつまでも続いていた戦争は....とても長く苦しかったですね...」 

アネモネはリラを見ながら言った。 リラはアネモネの方を向いて 

「私はその戦争で親を失ったの....」 

「これは失礼しました!」 

アネモネが咄嗟に謝罪するが 

「大丈夫よ....だから私はこの騎士団に入ったのよ」


 リラは覚悟を決めたかのような真剣な顔で言った。 気が付けばもう日没だった。 夜も厳戒態勢が続く それもそのはず貴族が殺され襲撃があった日など安心も出来ない。 自部屋が用意されていたが眠れないリラは施設敷地内を歩いていた。 

―――ここは広いわね――― 

敷地内を見渡しながら歩いていると 

「おい....お前」 

後ろから声が聞こえた。 後ろを振り返るとそこにはアザミが居た。 

「こんな夜に一人で歩いて...危ないと思わないのか?」 

アザミが問い詰めるがリラは 

「ごめんなさい....眠れないのよ」 

と悲しげに答えた アザミは溜息をつくと

 「送ってやるから部屋に戻れ...今は厳戒態勢だからバレたら面倒だぞ」 

「ありがとう」 

リラは少し安堵したかのような声で言った。 歩いている時にリラはふと疑問が生まれた 

―――あの時にアザミとヴィオレ?が居なかったような....でも問題児と言っていたしもしかしたら部隊に配属はされていても出動しない非番ってやつかしら―――


 彼女は疑問にこそ思ったがそれを質問している余裕は心に無かった 部屋に戻りベットに横たわった 翌朝 起床ラッパと共に目が覚めた 既に兵士と王子は外でトレーニングをしていた リラは身支度を整え外に向かい遅れてトレーニングに参加した。 
トレーニング後に 

「俺はこの後別件があるからここらで失礼させてもらうよ....」 

王子はリラにそう告げるとその場を後にした リラは軽く頭を下げ休憩するために場所を変えた 平和な朝だった...だがその朝も長くは続かない。 警報音がまた鳴り出した。 出撃準備を整える兵士にリラも参加した。


 「スクランブル!」 

騎士団長が同じ指示を出す.... 今度は港だった。 すぐ側に山岳があり、複雑な地形の珍しい港で絶景が見れるということもあり人が頻繁に訪れる場所でもあった。 今回の任務は海軍と協力し不審な荷物を乗せていると疑惑されている貨物船を捜索するという海軍との協力任務だった。 
だが楽なものでは無い 何故なら港は市民が出入りする場所であり民間輸送船だけでなく豪華客船まで止まっている大規模な港だった。 
陸軍の任務は既に入港した商船や客船、輸送船の中や荷物の確認だった。 
1つ1つの貨物を探すのは骨が折れる作業だったが1つでも逃せば大惨事となるため兵士はピリついていた すると 1つ1つ確認していく....
すると奥から爆発音がした。 
突然鳴り響いた轟音に市民は混乱状態だ。 
港から海を見ると大型貨物船が業火に包まれていた。


 「また自爆か!?....今度はデカイぞ」 

1人の兵士が呟いた 

「我々陸軍は地上で市民の避難と安全を確保する!」


 騎士団長が指示を出した。 
兵士は迅速に避難誘導を急いでいたが ある1人の兵士が違和感を感じた。 
貨物船から銃声がしなかった...確かに爆発はしたが、あの貨物船には海軍が捜査していた...その自爆で革命家全員が爆発したにしては不自然だと考えたのだ... その事を報告しようとしたが気づいたら騎士団長が居なかった。リラも異変に気づいていたが、騎士団長の姿が見えず何も出来なかった 

ッドン!!!

 また轟音がなったが今度は一段と大きな音だった。
 振り返るとそこには墜落していく軍用ヘリがあった。 

 ―――これが狙いだったのか!――― 

そう思ったのも既に遅く 輸送船から次々と銃弾が飛んできた 


「貨物を遮蔽にしてαとβは応戦!θは避難誘導を急いで!そのまま港を封鎖!」 


指示をしたのはリラだった。
 リラの指示に兵士は従うしかなく 港を完全封鎖し応戦した 敵は港を制圧しようと射撃を続けカウンターするような形でリラ達が応戦している....弾丸と魔法が飛び交っており 頭1つ無闇に出せば死ねるような状態だった。 このまま撃ち合えば確実にあちらの物資が枯渇しこちらが優勢になると思った だが輸送船は微速ながらもこちらに近づいて来ていたのだ。 

「エンジンはまだ稼働している! このままでは!」 

リラは危機を感じていた。 
何故なら地上にある地対船舶用火器では大型貨物船相手には歯が立たなかったのである。 
戦車は貨物と民間人が居る港で立ち往生しており、航空機は今回の任務に参加予定はなく海軍に任せていた。
 また、場の指揮を出す騎士団長が居らず 現場は混乱状態だった。 
だが革命家兵はその混乱に乗じて港に接近している 港まで後3マイルといったところだろうか....すぐそこまで来ている。 
その時だった。 
海軍が巡航ミサイルを発射したとの通信が入った。
どうやら、戦艦を沈める方法と同じ方法で革命家兵を沈めるとの事 陸軍にとっては速やかな撤退命令だった。

 「なんで巡航ミサイルを使うんだ!」 

そんな叫びが聞こえた それもそのはず、この大型輸送船は航行距離と航行時間の問題から原子炉圧力エンジンを採用していた。 
これは海軍が空母や遠征用軍艦、戦艦などに使用するものと同等で、 これが爆発すればたちまち大爆発どころの話ではなく最悪の場合核爆発まで有り得た。 皆が逃げ回る中 

「誰だ!こんなデタラメな指示を出したヤツは!」

 「どうせ彼奴だ!」 

「核爆発に耐えれる物なんてここには無いぞ!」 


「まだ市街地には民間人が居るはずだ!」 

現場の混乱はより一層高まった。 
どこに逃げようにもここは港であり、核の炎に耐えれる避難場所など設置しているはずもなかった。 

「こっちだ!」 

何処からか呼ぶ声が聞こえた。
 そこにはアネモネが手を振っていた 

――そこは!―― 

そう、そこは世界大戦戦時中に建てられ使われる事が無くなった避難シェルターだった。
 使われて居なかったが山の麓に作られたこのシェルターは当時の核を防ぐように設計されていたために十分な強度だった。 

「皆!あそこに避難して!」 

リラが指示を出した その指示に兵士は掛け走った。

 「あれは!?」 

皆が走って行く中、リラはある物陰に泣いている子供を発見した。 

―――何故ここに!?―――

 疑問と共に身体が行動を起こしていた。
 その子の元に駆け寄り子供を抱き抱え走った...だが巡航ミサイルは待ってはくれない。 通信で微かに 

「着弾まで...後1分」 

と聞こえた。 

―――間に合わない!――― 

目を瞑った....その時ある言葉を思い出した。 


「お前は優しすぎる...その優しさは時に自分に牙を剥くことになるだろう。だが.....その優しさを忘れてはならぬ.....その優しさがお前の良さでありこの先の未来に確かに役に立つだろう...」


 .......ごめんなさい....優しさは私に牙を剥いてしまったようです...... 


「世話が焼ける小娘のようだな」 




突如として聞こえた声は聞き覚えのない女性の声だった。 
その女性に引っ張られるように掴まれた。 

「貴女は!?」 

リラが驚いたように聞いた。 
声は聞き覚えのない声だったが服装はあの黒い服装だった。 

―――アウトナイツ――― 

何故奴らがここに? 
何故私を助ける? 
何故今核爆発しそうなこの瞬間に来た? 
多くの疑問が過ぎるがその疑問を投げる前にリラはシェルターの中に投げ入れられた。 
自衛用衝撃吸収魔法が咄嗟に作動し体は無事だった。

 「大丈夫!?」 

「うん...」 

子供の安否も無事だった。 
シェルターが閉まっていく中その外には アウトナイツの一人?が居た.... 

「貴女も早く中へ!」 

リラの声に軽く鼻で笑い 

「貴女....優しいのね....あの人の言う通りかしらね」

 そう呟くと業火に包まれた輸送船の方に飛んだ。    

追いかけようとしたがシェルターが閉じてしまいそのあとを知ることは出来なかった。 

しばらく経っただろうか......シェルターが開き出した。
あたりはもう夕暮れ時だった。
その夕日に照らされるように、その先には騎士団長と増援部隊が待っていた。 
すぐさまに兵士が報告を入れる中リラが聞いた 

「日々の勤務でお忙しいのでしょうが何故現場に居なかったのでしょう」

 皮肉混じりに聞いたその質問には確かな怒りを露わにしていた。 

「別任務に向かっていたのだ」 

返ってきた返答はそれだけだった。
 だが明らかにおかしい....がそれを聞く事も気力が薄れた。 

「おい!あれ!」 

1人の兵士が叫んだ。叫んだ方向には 大きな貨物を運ぶ軍用の輸送ヘリがあった 

「ヘリを飛ばす報告など受けておらんぞ!」

 騎士団長がそう言った。 
その時貨物に人影が見えた。 
よく目を凝らして確認すると見覚えのある服....

そうアウトナイツだ。 

アウトナイツは何かを運んでいた。 

「止まれ!何者だ!?その貨物をどこへ運ぶ気だ!」 

拡声器を使い呼び止める ヘリが滑空を始めた....
そしてその輸送ヘリに続き数台の見慣れない攻撃ヘリや偵察ヘリが浮上してきた。 

―――いつからこんなヘリが!?――― 

すると...輸送ヘリ付近の建物の上から数人の人影が現れた。 その人影は夕日に照らされ逆光で顔を確認することは出来ない 

「我々はアウトナイツ.....世界の何処までも荷物を届ける運び屋だ....顧客はこれを望んでいる」 

と言い残しヘリから垂れ下がっているハシゴに捕まり夕日の方へ飛んで行った。 

―――アウトナイツ....一体何者?――― 

その疑問が脳裏を駆け巡った。
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