男子体操部#10 快楽のワークショップ

コンノ

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第2章 快楽のパーソナル・レッスン

第3節 バスタブ・トレーニング(2)

​ 湯の中での蹂躙はさらにその深度を増していく。
​「ひ……っ、あ……」
 藤政は、白濁した薬湯に肩まで浸かり、必死で表情を押し殺していた。野中の2本の指が、藤政のアナルをこれ以上ないほど強引に拡げ、最奥の粘膜を容赦なく掻き回している。
 普段の個室での情事とは違う。ここは、いつ誰が目の前を通りかかってもおかしくない公共の場だ。すぐ正面では、同年代と思われる男たちが、週末の予定について笑いながら話している。そのすぐ数メートル先で、現役の大学体操部員である自分が、男の指にアナルを弄ばれ、あられもない快楽に震えている。
 その事実が、藤政の自尊心をズタズタに引き裂くと同時に、経験したことのないような熱い電流を全身に走らせた。
​「野中、さん……やめ……っ、見え、ちゃう……っ」
 藤政は蚊の鳴くような声で懇願したが、野中は止めるどころか、親指を藤政の会陰からさらに前、大きく反り返った13センチの根元へと滑り込ませた。
「大丈夫だよ。誰も見てない。……ほら、こんなに硬くなってる」
 野中の太い指が、藤政の亀頭から溢れ出る先走りを湯の中に撒き散らすようにしごき上げる。
「あ、はぁっ……! ん、んんっ!!」

 藤政はたまらず背中を丸め、湯の中に顔半分を沈めた。ボコボコと泡が立ち、鼻腔に薬湯の独特の香りがツンと入り込む。しかし、脳を支配しているのは、水面下で蠢く野中の指の感触だけだった。
​「お、おい……。あそこの兄ちゃん、本当にヤバいんじゃないか?」
 正面の2人組が、いよいよ不審げに声を潜めた。
「肩まで真っ赤だぞ。……おい、君、大丈夫?」
 一人が藤政に声をかけてきた。藤政の心臓が、喉元から飛び出しそうなほど激しく跳ねた。
「……っ、は、はい! 大丈夫……です、少し、のぼせただけ、なので……っ!」
 藤政は必死で裏返りそうな声を整え、顔を上げた。前髪から滴る湯が視界を遮るが、それが逆に、羞恥に歪んだ自分の目元を隠してくれているようで、わずかに安堵する。
 だが、その瞬間も、野中の指は藤政のアナルの最も敏感な一点を「ズチュッ」と重々しい音を立てるようにして突き上げた。
「っ、くぅ……ッ!!」
 藤政はベンチのような浴槽の段差を掴む指先に、白くなるほど力を込めた。喉からせり上がる快楽の悲鳴を、歯を食いしばって飲み込む。
​「悪いね。心配させちゃって。彼は熱心なトレーナーでね、少し無理をさせすぎたかな」
 野中が、事もなげに2人組に微笑みかけた。その落ち着いた大人の対応に、2人組は「ああ、そうっすか。……お大事にな」と納得し、再び自分たちの会話に戻っていった。
『……信じられない。この人、こんな状況で……』
 野中の大胆さと、冷徹なまでの余裕。それが藤政には恐ろしく、そして同時に、どうしようもなく魅力的に映った。野中の指は、藤政が完全に屈服したことを確信したかのように、アナルの中をさらに激しく、深く掻き混ぜ続けた。
​「……藤政くん。そろそろ、洗い場に行こうか」
 野中がようやく指を抜くと、その穴を埋めていた熱がふっと消え、代わりに生温い湯が藤政の体内に流れ込んでくるような錯覚に陥った。
「え……でも、俺……」
「立てるだろ? ……それとも、俺が抱きかかえて連れて行ってやろうか?」
 野中の冗談めかした言葉に、藤政は慌てて首を振った。
 しかし、いざ立ち上がろうとしても、なかなかそうはいかない。湯の下で執拗に弄ばれた13センチは、まるで鋼鉄の棒のように硬く、天を突くように反り上がっていたのだ。
​「そんな……このまま出られない……っ」
 藤政は情けなさに涙目になりながら、両手で股間を覆った。だが、鍛え抜かれた腹筋の上で猛り狂うそれは、手のひら程度で隠しきれるボリュームではない。
「ほら、さっさと行くぞ」
 野中は平然とした顔で立ち上がった。野中自身の17センチもまた、重厚な陰嚢とともに揺れ、その存在感を誇示していたが、彼はそれを隠そうともせず、大きく揺らしながら悠々と洗い場の方へ歩き出した。

​ 藤政は、周囲の客の視線に怯えながら、腰を深く折るようにして、少しでも勃起が目立たないよう、摺り足で浴槽から這い出した。右手は我慢汁を垂れ流す亀頭を握りしめ、少しでも隠しているつもりだ。タイルに足をつくたび、アナルから薬湯がとろりと垂れ落ちる感覚があり、背筋に冷たい戦慄が走る。
 すぐ脇を通った20代後半の男性が、藤政の不自然な姿勢に一瞬目を向けた。藤政は顔を伏せ、心の中で『見ないでくれ、お願いだ』と呪文のように繰り返した。

​ 湯気の向こう、一番奥にある、三方を壁に囲まれた洗い場ブース。
 野中がそこで立ち止まり、堂々と勃起した陰茎を揺らしながら手招きをしている。そこは、周囲の視線からわずかに遮断された、大浴場の中の「死角」だった。
 藤政は、逃げ込むようにして野中の元へ辿り着いた。背後の壁に背中を預け、荒い呼吸を整えようとするが、目の前に立つ野中の、今や凶器のように怒張した巨根が視界に入り、逃げ場のない快楽の予感に藤政の身体は再び激しく震え始めた。
​「……お待たせ、藤政くん。……ここなら、誰にも邪魔されないよ」
 野中の言葉が、本能を揺さぶる重低音となって響く。
 藤政は、これから始まる「洗い場での暴走」を前に、もはや羞恥心すら快楽のスパイスに変えてしまうほど、深く、深く堕ちていく自覚に囚われていた。
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