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第5章 最後の門と水の記憶
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氷の図書館を後にしたアレンとセラは、リュカの言葉に導かれ、最後の水の門へ向かっていた。水晶は、南東の方角を淡く照らしていた。そこには「水の記憶殿」と呼ばれる場所があるという。世界の水が集まり、すべての記憶が交差する場所——それが、旅の終着点だった。
道中、アレンは何度も夢を見た。水の中で誰かを抱きしめる夢。涙を流すセラ、背を向けるリュカ、そして崩れ落ちる都市。夢は断片的で、感情だけが鮮明だった。
「記憶が戻るほど、心が揺れるね」とセラが言った。
「僕は……誰かを守ろうとしていた。でも、それが誰だったのか、まだ全部は思い出せない」とアレンは答えた。
数日後、ふたりは水の記憶殿にたどり着いた。そこは巨大な湖の中央に浮かぶ神殿で、周囲の水は静かに回転していた。空は曇り、風は止み、時間さえも凍ったような空気が漂っていた。
神殿の入口には、四つの水晶が並んでいた。それぞれが、これまでに訪れた水の門の記憶を宿していた。アレンが手にした水晶を中央に置くと、すべての水晶が共鳴し、扉がゆっくりと開いた。
中は広大な空間だった。水面が床となり、天井には水が逆さに流れていた。中央には、巨大な水柱が立ち上がり、その中に何かが浮かんでいた。
「これが……僕の記憶の核?」
アレンが近づこうとした瞬間、水柱が揺れ、空間が歪んだ。水の中から、リュカが現れた。だがその姿は、以前よりも苦しげで、瞳には迷いが宿っていた。
「アレン……最後の記憶は、君自身が封じたものだ。君は、世界の真実を知りすぎた。だから、自ら記憶を閉ざしたんだ」
「僕が……自分で?」
「そう。水の民は、世界の記憶を守る存在だった。でも、君はその記憶が、世界を壊す可能性を持つことに気づいた。だから、すべてを忘れ、守ることを選んだ」
アレンは水柱に手を伸ばした。触れた瞬間、すべての記憶が流れ込んできた。
——水の民は、世界の歴史を水に刻み、記憶として蓄えていた。だが、その記憶には、戦争、裏切り、滅びの予言が含まれていた。アレンはそれを知り、世界を守るために、自らの記憶を封じた。そして、セラの涙を受け止め、リュカに託した。
「僕は……守りたかったんだ。君も、セラも、世界も」
リュカは静かに頷いた。
「ならば、記憶を取り戻し、もう一度選んでほしい。守るか、伝えるか」
セラがアレンの手を握った。
「私は、あなたがどんな選択をしても、そばにいる。記憶があってもなくても、あなたは……あなただから」
アレンは水柱に両手を添え、深く息を吸った。
「僕は、記憶を取り戻す。そして、世界に伝える。過去を知ることで、未来を変えられると信じたい」
水柱が砕け、光が空間を満たした。水晶は砕け、すべての水が静かに流れ始めた。
アレンの瞳には、すべての記憶が宿っていた。セラはその瞳を見つめ、微笑んだ。
「おかえり、アレン」
道中、アレンは何度も夢を見た。水の中で誰かを抱きしめる夢。涙を流すセラ、背を向けるリュカ、そして崩れ落ちる都市。夢は断片的で、感情だけが鮮明だった。
「記憶が戻るほど、心が揺れるね」とセラが言った。
「僕は……誰かを守ろうとしていた。でも、それが誰だったのか、まだ全部は思い出せない」とアレンは答えた。
数日後、ふたりは水の記憶殿にたどり着いた。そこは巨大な湖の中央に浮かぶ神殿で、周囲の水は静かに回転していた。空は曇り、風は止み、時間さえも凍ったような空気が漂っていた。
神殿の入口には、四つの水晶が並んでいた。それぞれが、これまでに訪れた水の門の記憶を宿していた。アレンが手にした水晶を中央に置くと、すべての水晶が共鳴し、扉がゆっくりと開いた。
中は広大な空間だった。水面が床となり、天井には水が逆さに流れていた。中央には、巨大な水柱が立ち上がり、その中に何かが浮かんでいた。
「これが……僕の記憶の核?」
アレンが近づこうとした瞬間、水柱が揺れ、空間が歪んだ。水の中から、リュカが現れた。だがその姿は、以前よりも苦しげで、瞳には迷いが宿っていた。
「アレン……最後の記憶は、君自身が封じたものだ。君は、世界の真実を知りすぎた。だから、自ら記憶を閉ざしたんだ」
「僕が……自分で?」
「そう。水の民は、世界の記憶を守る存在だった。でも、君はその記憶が、世界を壊す可能性を持つことに気づいた。だから、すべてを忘れ、守ることを選んだ」
アレンは水柱に手を伸ばした。触れた瞬間、すべての記憶が流れ込んできた。
——水の民は、世界の歴史を水に刻み、記憶として蓄えていた。だが、その記憶には、戦争、裏切り、滅びの予言が含まれていた。アレンはそれを知り、世界を守るために、自らの記憶を封じた。そして、セラの涙を受け止め、リュカに託した。
「僕は……守りたかったんだ。君も、セラも、世界も」
リュカは静かに頷いた。
「ならば、記憶を取り戻し、もう一度選んでほしい。守るか、伝えるか」
セラがアレンの手を握った。
「私は、あなたがどんな選択をしても、そばにいる。記憶があってもなくても、あなたは……あなただから」
アレンは水柱に両手を添え、深く息を吸った。
「僕は、記憶を取り戻す。そして、世界に伝える。過去を知ることで、未来を変えられると信じたい」
水柱が砕け、光が空間を満たした。水晶は砕け、すべての水が静かに流れ始めた。
アレンの瞳には、すべての記憶が宿っていた。セラはその瞳を見つめ、微笑んだ。
「おかえり、アレン」
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