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第1章 転校生と時計塔
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雨は、朝からずっと降り続いていた。
天野悠は、助手席に座ったまま、窓の外を見つめていた。ワイパーが規則的に動く音が、車内に静かに響いている。
「もうすぐ着くわよ」
母の声に、悠は小さく頷いた。
広島市から車で二時間ほどの山間部にある町、時雨町。地図で見たときは、ただの点にしか見えなかったその場所が、今では彼の新しい生活の舞台になる。
父の転勤に伴い、悠はこの町に引っ越してきた。都会の喧騒から離れた静かな場所。けれど、悠の心は晴れなかった。
「……なんか、時間が止まってるみたい」
思わず漏れた言葉に、母は少し驚いたように笑った。
「詩人みたいなこと言うのね」
悠は黙っていた。
町の入り口には、古びた看板が立っていた。「ようこそ、時雨町へ」と手書きの文字が並んでいる。
その先に、灰色の塔が見えた。
「ほら、あれが時計塔よ。町のシンボルなんだって」
母が指差した先に、石造りの塔が立っていた。屋根の上には大きな時計があり、針は午後三時を指していた。
けれど
時雨町の家は、古い木造の平屋だった。畳の匂いが鼻をくすぐり、雨音が屋根を叩くたびに、悠は都会との違いを実感した。引っ越しの荷ほどきは母がほとんど済ませてくれたが、悠は自分の本棚だけは自分で整えた。並べたのは、江戸川乱歩、アガサ・クリスティ、そして最近読み始めた東野圭吾。推理小説ばかりだった。
「悠、明日から学校よ。制服、サイズ合ってる?」
母の声に、悠は「うん」とだけ答えた。新しい学校、新しい友達。期待よりも不安の方が大きかった。
翌朝、制服に袖を通した悠は、鏡の前でネクタイを結ぶのに苦戦した。結局、母に手伝ってもらいながら、なんとか身支度を整えた。時雨小学校は家から歩いて十五分ほど。道の途中には、昨日見た時計塔があった。
塔の前を通ると、悠は思わず足を止めた。針は、やはり三時を指したままだった。近づいてみると、塔の周囲には低い柵があり、「立入禁止」の札がぶら下がっていた。けれど、札は色褪せていて、誰かが気にしている様子はない。
「……なんで止まってるんだろ」
悠は呟いた。時計塔は、町の中心にあるにもかかわらず、まるで誰にも見られていないような存在だった。
学校に着くと、校舎は木造で、廊下には昔ながらの黒板消しクリーナーが置かれていた。教室に入ると、ざわざわとした空気が一瞬止まり、すぐに再び動き出した。
「転校生が来ました。天野悠くんです」
担任の先生が紹介すると、教室の後ろから「また都会からか」という小さな声が聞こえた。悠は気にせず、静かに「よろしくお願いします」と言った。
席は窓際だった。隣には、髪を三つ編みにした少女が座っていた。
「咲良って言うの。よろしくね」
彼女はにこりと笑った。悠は少しだけ安心した。
昼休み、咲良が話しかけてきた。
「ねえ、時計塔見た?」
「うん。昨日、車から」
「気になるでしょ? あれ、動いてないんだよ。ほんとは」
「え? でも母さんは動いてるって」
「ううん、あれ、止まってる。ずっと三時のまま。誰も近づかないし、鐘も鳴らない」
悠は眉をひそめた。
「なんで?」
咲良は少し声をひそめて言った。
「昔ね、あの塔で人が消えたの。私のお兄ちゃんも」
その言葉に、悠の心臓が一瞬跳ねた。
「……消えた?」
「うん。五年前。ある日、学校から帰ってこなくて。最後に目撃されたのが、時計塔の前だったの」
悠は言葉を失った。咲良の目は真剣だった。冗談ではない。
「それから、町の人は誰も近づかなくなった。塔の中には“時間を盗む子供”がいるって噂もある」
“時間を盗む子供”。その言葉は、悠の胸に奇妙な感覚を残した。
放課後、悠は一人で時計塔の前まで行ってみた。柵の隙間から中を覗くと、塔の扉は閉ざされていた。鍵穴は錆びついていて、誰も開けた形跡はない。
そのとき、背後から声がした。
「見に来たの?」
振り返ると、咲良が立っていた。
「気になるでしょ。みんな怖がってるけど、私は……知りたいの。お兄ちゃんが、どうして消えたのか」
悠は頷いた。
「僕も、知りたい」
その瞬間、塔の時計が、カチリと音を立てた。
針が、ほんの少しだけ動いたように見えた。
その夜、悠は眠れなかった。時計塔の針が動いたように見えたこと、咲良の兄が消えたという話、そして“時間を盗む子供”という言葉が、頭の中でぐるぐると回っていた。
ベッドの中で目を閉じても、あの塔の姿が瞼の裏に浮かぶ。灰色の石、錆びた扉、そして止まったままの時計。何かが、そこにある。悠はそう確信していた。
翌日、学校では咲良がいつも通り隣に座っていた。彼女はノートに何かを書き込んでいたが、ふと顔を上げて言った。
「昨日、針が動いたって言ってたよね」
「うん。ほんの少しだけ」
「それ、誰にも言わない方がいいよ。町の人は、あの塔のことになると……変わるから」
「変わる?」
咲良は頷いた。
「うちのおばあちゃんなんて、塔の話をしただけで怒るの。“あそこは封印された場所だ”って」
「封印?」
「うん。昔、塔の中で事故があったって。詳しくは誰も教えてくれないけど、町の古い記録には“時雨事件”って書かれてるらしい」
悠は興味をそそられた。事件。それは、推理小説の始まりにふさわしい言葉だった。
放課後、悠と咲良は図書室に向かった。時雨町の歴史が記された郷土資料の棚を探すと、埃をかぶった一冊の分厚い本が見つかった。
『時雨町史 第二巻』
ページをめくると、昭和初期の写真が並んでいた。町の祭り、開通したばかりの鉄道、そして――時計塔の完成式典。
「ここだ」
悠が指差したページには、塔の前に並ぶ町の人々の姿が写っていた。笑顔の中に、どこか緊張した空気が漂っている。
その数ページ後に、短い記述があった。
「……これだけ?」
咲良が呟いた。
「事故って何があったのか、全然書いてない」
「隠してるんだよ。町の人が」
悠は確信を持って言った。何かが、意図的に伏せられている。咲良の兄の失踪も、その“事故”と関係があるのかもしれない。
その夜、悠は日記を開いた。彼は毎日、感じたことや考えたことを記録していた。ページの端には、今日の発見が書かれていた。
悠はペンを止めた。比喩ではない。何かが、あの塔にいる。そう思えてならなかった。
数日後、咲良が言った。
「塔の中、見てみたい?」
「……入れるの?」
「鍵はないけど、裏に小さな窓があるの。昔、兄が“あそこから中が見える”って言ってた」
「行こう」
悠は即答した。怖さよりも、知りたいという気持ちが勝っていた。
その日の夕方、二人は学校帰りに時計塔へ向かった。雨は降っていなかったが、空は曇っていた。塔の裏手に回ると、確かに小さな窓があった。地面から少し高い位置にあり、覗くには踏み台が必要だった。
咲良が持ってきた折りたたみの踏み台に乗り、悠が窓を覗いた。
「……暗い。けど、何かある」
目を凝らすと、塔の内部には古い机と椅子が見えた。壁には時計の歯車がむき出しになっていて、床には何かが散らばっている。
「紙……かな。日記?」
「兄が書いてた日記、塔に持って行ったって言ってた」
「中に入れれば……」
そのとき、風が吹いた。塔の上の鐘が、カン、と鳴った。
悠と咲良は顔を見合わせた。
「……鳴った?」
「うん。誰もいないのに」
塔の針は、三時を指したままだった。
その夜、悠は夢を見た。塔の中で、誰かが彼を呼んでいた。
目が覚めたとき、悠の腕時計は三時を指していた。壊れていたわけではない。昨日までは、ちゃんと動いていた。
天野悠は、助手席に座ったまま、窓の外を見つめていた。ワイパーが規則的に動く音が、車内に静かに響いている。
「もうすぐ着くわよ」
母の声に、悠は小さく頷いた。
広島市から車で二時間ほどの山間部にある町、時雨町。地図で見たときは、ただの点にしか見えなかったその場所が、今では彼の新しい生活の舞台になる。
父の転勤に伴い、悠はこの町に引っ越してきた。都会の喧騒から離れた静かな場所。けれど、悠の心は晴れなかった。
「……なんか、時間が止まってるみたい」
思わず漏れた言葉に、母は少し驚いたように笑った。
「詩人みたいなこと言うのね」
悠は黙っていた。
町の入り口には、古びた看板が立っていた。「ようこそ、時雨町へ」と手書きの文字が並んでいる。
その先に、灰色の塔が見えた。
「ほら、あれが時計塔よ。町のシンボルなんだって」
母が指差した先に、石造りの塔が立っていた。屋根の上には大きな時計があり、針は午後三時を指していた。
けれど
時雨町の家は、古い木造の平屋だった。畳の匂いが鼻をくすぐり、雨音が屋根を叩くたびに、悠は都会との違いを実感した。引っ越しの荷ほどきは母がほとんど済ませてくれたが、悠は自分の本棚だけは自分で整えた。並べたのは、江戸川乱歩、アガサ・クリスティ、そして最近読み始めた東野圭吾。推理小説ばかりだった。
「悠、明日から学校よ。制服、サイズ合ってる?」
母の声に、悠は「うん」とだけ答えた。新しい学校、新しい友達。期待よりも不安の方が大きかった。
翌朝、制服に袖を通した悠は、鏡の前でネクタイを結ぶのに苦戦した。結局、母に手伝ってもらいながら、なんとか身支度を整えた。時雨小学校は家から歩いて十五分ほど。道の途中には、昨日見た時計塔があった。
塔の前を通ると、悠は思わず足を止めた。針は、やはり三時を指したままだった。近づいてみると、塔の周囲には低い柵があり、「立入禁止」の札がぶら下がっていた。けれど、札は色褪せていて、誰かが気にしている様子はない。
「……なんで止まってるんだろ」
悠は呟いた。時計塔は、町の中心にあるにもかかわらず、まるで誰にも見られていないような存在だった。
学校に着くと、校舎は木造で、廊下には昔ながらの黒板消しクリーナーが置かれていた。教室に入ると、ざわざわとした空気が一瞬止まり、すぐに再び動き出した。
「転校生が来ました。天野悠くんです」
担任の先生が紹介すると、教室の後ろから「また都会からか」という小さな声が聞こえた。悠は気にせず、静かに「よろしくお願いします」と言った。
席は窓際だった。隣には、髪を三つ編みにした少女が座っていた。
「咲良って言うの。よろしくね」
彼女はにこりと笑った。悠は少しだけ安心した。
昼休み、咲良が話しかけてきた。
「ねえ、時計塔見た?」
「うん。昨日、車から」
「気になるでしょ? あれ、動いてないんだよ。ほんとは」
「え? でも母さんは動いてるって」
「ううん、あれ、止まってる。ずっと三時のまま。誰も近づかないし、鐘も鳴らない」
悠は眉をひそめた。
「なんで?」
咲良は少し声をひそめて言った。
「昔ね、あの塔で人が消えたの。私のお兄ちゃんも」
その言葉に、悠の心臓が一瞬跳ねた。
「……消えた?」
「うん。五年前。ある日、学校から帰ってこなくて。最後に目撃されたのが、時計塔の前だったの」
悠は言葉を失った。咲良の目は真剣だった。冗談ではない。
「それから、町の人は誰も近づかなくなった。塔の中には“時間を盗む子供”がいるって噂もある」
“時間を盗む子供”。その言葉は、悠の胸に奇妙な感覚を残した。
放課後、悠は一人で時計塔の前まで行ってみた。柵の隙間から中を覗くと、塔の扉は閉ざされていた。鍵穴は錆びついていて、誰も開けた形跡はない。
そのとき、背後から声がした。
「見に来たの?」
振り返ると、咲良が立っていた。
「気になるでしょ。みんな怖がってるけど、私は……知りたいの。お兄ちゃんが、どうして消えたのか」
悠は頷いた。
「僕も、知りたい」
その瞬間、塔の時計が、カチリと音を立てた。
針が、ほんの少しだけ動いたように見えた。
その夜、悠は眠れなかった。時計塔の針が動いたように見えたこと、咲良の兄が消えたという話、そして“時間を盗む子供”という言葉が、頭の中でぐるぐると回っていた。
ベッドの中で目を閉じても、あの塔の姿が瞼の裏に浮かぶ。灰色の石、錆びた扉、そして止まったままの時計。何かが、そこにある。悠はそう確信していた。
翌日、学校では咲良がいつも通り隣に座っていた。彼女はノートに何かを書き込んでいたが、ふと顔を上げて言った。
「昨日、針が動いたって言ってたよね」
「うん。ほんの少しだけ」
「それ、誰にも言わない方がいいよ。町の人は、あの塔のことになると……変わるから」
「変わる?」
咲良は頷いた。
「うちのおばあちゃんなんて、塔の話をしただけで怒るの。“あそこは封印された場所だ”って」
「封印?」
「うん。昔、塔の中で事故があったって。詳しくは誰も教えてくれないけど、町の古い記録には“時雨事件”って書かれてるらしい」
悠は興味をそそられた。事件。それは、推理小説の始まりにふさわしい言葉だった。
放課後、悠と咲良は図書室に向かった。時雨町の歴史が記された郷土資料の棚を探すと、埃をかぶった一冊の分厚い本が見つかった。
『時雨町史 第二巻』
ページをめくると、昭和初期の写真が並んでいた。町の祭り、開通したばかりの鉄道、そして――時計塔の完成式典。
「ここだ」
悠が指差したページには、塔の前に並ぶ町の人々の姿が写っていた。笑顔の中に、どこか緊張した空気が漂っている。
その数ページ後に、短い記述があった。
「……これだけ?」
咲良が呟いた。
「事故って何があったのか、全然書いてない」
「隠してるんだよ。町の人が」
悠は確信を持って言った。何かが、意図的に伏せられている。咲良の兄の失踪も、その“事故”と関係があるのかもしれない。
その夜、悠は日記を開いた。彼は毎日、感じたことや考えたことを記録していた。ページの端には、今日の発見が書かれていた。
悠はペンを止めた。比喩ではない。何かが、あの塔にいる。そう思えてならなかった。
数日後、咲良が言った。
「塔の中、見てみたい?」
「……入れるの?」
「鍵はないけど、裏に小さな窓があるの。昔、兄が“あそこから中が見える”って言ってた」
「行こう」
悠は即答した。怖さよりも、知りたいという気持ちが勝っていた。
その日の夕方、二人は学校帰りに時計塔へ向かった。雨は降っていなかったが、空は曇っていた。塔の裏手に回ると、確かに小さな窓があった。地面から少し高い位置にあり、覗くには踏み台が必要だった。
咲良が持ってきた折りたたみの踏み台に乗り、悠が窓を覗いた。
「……暗い。けど、何かある」
目を凝らすと、塔の内部には古い机と椅子が見えた。壁には時計の歯車がむき出しになっていて、床には何かが散らばっている。
「紙……かな。日記?」
「兄が書いてた日記、塔に持って行ったって言ってた」
「中に入れれば……」
そのとき、風が吹いた。塔の上の鐘が、カン、と鳴った。
悠と咲良は顔を見合わせた。
「……鳴った?」
「うん。誰もいないのに」
塔の針は、三時を指したままだった。
その夜、悠は夢を見た。塔の中で、誰かが彼を呼んでいた。
目が覚めたとき、悠の腕時計は三時を指していた。壊れていたわけではない。昨日までは、ちゃんと動いていた。
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