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第2章 荒れ果てた故郷
第17話 配給隊(後編)
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部隊出立から20日ほど経った、私は日課の書類仕事を進めていた。
早速、財務部門から報告が上がっていた。アレクサンドラ商会の商会員も仕事を覚え使えるようにはなったという。目玉だったポーションは然るべき所に権利を返したので武器になりそうな商品は今の所無い。
しかし商品になりそうなのには心当たりはあるため冬までに用意出来れば私個人のお財布も潤うだろ_____
「おじょ__リーティア様!正門の見張りから配給隊が帰還したとの報告が!!!」
ジャックが慌てて入ってきた。やっとか!これほど遅いと何か予想外のアクシデントが起こったと感じる。
「っ!!様子はどう?」
「死者はおりませんが怪我人が多数と報告が」
アレクサンドラ領の森にも魔物はそれなりにいる。が、どれも弱い。だからそこまでの魔物対策は必要なく、そのせいか魔物退治の専門家である冒険者たちもあまり寄らない。寄ってくるとしたら旅の途中でポーションを調達する程度だろう。
だが魔物はたまにずる賢いヤツがいる、そういう手合いが現れたと気を揉んだがどうも違うようだ。
「盗賊【黒い牙】に襲撃されたようです」
「【黒い牙】?ここらで有名な盗賊か?」
しまった、調べるの後回しにしてた。てか、誰か進言するなり忠言するなりしてくれや。
「【黒い牙】は..........アレクサンドラ領に潜伏している私掠盗賊です」
私掠盗賊ね、つまり国家とかと契約して敵国とかから金品奪うって訳か..........王国辺りの刺客か?
「何処と契約を結んでる」
まぁ、十中八九王国なんだろうけど........
「前領主でございました」
何やってるんだ、そしておかしいだろ!!なんで私掠盗賊がこっち襲ったよ?!配給隊の帆にはアレクサンドラ家の紋章が掲げられている、それを襲うとか馬鹿なのか???そして帝国で私掠契約は犯罪の筈だろ!!
ジャックの話によると【黒い牙】は2つ名持ちの高額賞金首からなる50名以上の盗賊団らしい。
棟梁がずる賢く、強いため方々で手を焼かされていたらしい。それを聞いた前領主が勝手に私掠盗賊の契約を結んだという。
後で前領主の犯罪歴全部目を通そう。不安の目は取り除かなければ。
ジャックが私の心を(多分)無視して話を続ける。
「その件で冒険者ギルドのマスターたちが会議を開きたいと」
対策会議か、私もしたかった所だ。
「分かった、ギルドマスターたちを会議室へ案内しろ」
「畏まりました」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「恐らく切羽詰まっての犯行でしょう」
冒険者ギルドのマスター曰く、【黒い牙】は帝国の手が入ってからは姿を現さなかったようだ。被害報告も無いらしい。
マジで王国の息が掛かってるかも。
「問題は今後どうするか、ですね」
「【黒い牙】には棟梁の他にも高額の賞金首が大勢いますし、半端な連中送り込んでは返り討ちでしょうな」
冒険者は盗賊を討伐する仕事も確かにあるが、基本的には護衛仕事中の流れである。賞金首討伐は相手の実力にもよるがBランク以上の冒険者パーティーが行う。
難しいのだが、各ギルドマスター達はすっごい討伐したがってる気がする。まぁ、相当煮え湯飲まされたんだろうなぁ。私としても連中をほっとく訳にはいかない。
「合同で討伐隊を結成するというのは?」
各自は難しいだろうし、こんな案しかないのだが。
「領主様、私兵にも限度がありますよ?」
「えぇ、だからそれぞれが出来ることをしましょう。
冒険者ギルドには極秘で連中の本拠地の偵察を、商業ギルドは資材調達を、職人ギルドは武具の製造と修繕を、残りは食料の調達なり資金提供なりを頼みます」
これは敵が勘づくまでが勝負だ、討伐がバレればバラバラに逃げる可能性がある。そうなったら余計な手間が増える。そんな手間を掛けるなら他に頭を下げて協力を仰ぐ。
「領主様たちは?」
「私が治安維持部隊と騎士団、集めた戦力を引き連れて討伐隊を指揮しましょう」
「領主様!勝手なことを!!」
家臣たちが騒ぎ始める。まぁ、何あったらマズいけどな。
「いいえ、ここは私も出るのが必定でしょう。それにその高額賞金首の件が少し気になりますし」
私も元はとはいえ冒険者の端くれ。盗賊団討伐は沢山やってきた。それに最近体が鈍った気がする。
「まぁ、【炎滅騎士】ならいけなくもないか.......大丈夫ですか?相手も炎使いですが」
へぇ、ソイツも炎属性の魔術使うのかぁ。聞いたら鉄鞭に炎を纏わせたりするらしい。リハビリには良いかもしれない。
「上 等 で す 。あと治安維持部隊長!」
「は、はい!」
「貴方の部隊と騎士団に連絡を、私自ら指導し訓練を行います。地獄でしょうが乗りきるように」
「えっ」
すまんな、治安維持部隊と騎士団の皆。
早速、財務部門から報告が上がっていた。アレクサンドラ商会の商会員も仕事を覚え使えるようにはなったという。目玉だったポーションは然るべき所に権利を返したので武器になりそうな商品は今の所無い。
しかし商品になりそうなのには心当たりはあるため冬までに用意出来れば私個人のお財布も潤うだろ_____
「おじょ__リーティア様!正門の見張りから配給隊が帰還したとの報告が!!!」
ジャックが慌てて入ってきた。やっとか!これほど遅いと何か予想外のアクシデントが起こったと感じる。
「っ!!様子はどう?」
「死者はおりませんが怪我人が多数と報告が」
アレクサンドラ領の森にも魔物はそれなりにいる。が、どれも弱い。だからそこまでの魔物対策は必要なく、そのせいか魔物退治の専門家である冒険者たちもあまり寄らない。寄ってくるとしたら旅の途中でポーションを調達する程度だろう。
だが魔物はたまにずる賢いヤツがいる、そういう手合いが現れたと気を揉んだがどうも違うようだ。
「盗賊【黒い牙】に襲撃されたようです」
「【黒い牙】?ここらで有名な盗賊か?」
しまった、調べるの後回しにしてた。てか、誰か進言するなり忠言するなりしてくれや。
「【黒い牙】は..........アレクサンドラ領に潜伏している私掠盗賊です」
私掠盗賊ね、つまり国家とかと契約して敵国とかから金品奪うって訳か..........王国辺りの刺客か?
「何処と契約を結んでる」
まぁ、十中八九王国なんだろうけど........
「前領主でございました」
何やってるんだ、そしておかしいだろ!!なんで私掠盗賊がこっち襲ったよ?!配給隊の帆にはアレクサンドラ家の紋章が掲げられている、それを襲うとか馬鹿なのか???そして帝国で私掠契約は犯罪の筈だろ!!
ジャックの話によると【黒い牙】は2つ名持ちの高額賞金首からなる50名以上の盗賊団らしい。
棟梁がずる賢く、強いため方々で手を焼かされていたらしい。それを聞いた前領主が勝手に私掠盗賊の契約を結んだという。
後で前領主の犯罪歴全部目を通そう。不安の目は取り除かなければ。
ジャックが私の心を(多分)無視して話を続ける。
「その件で冒険者ギルドのマスターたちが会議を開きたいと」
対策会議か、私もしたかった所だ。
「分かった、ギルドマスターたちを会議室へ案内しろ」
「畏まりました」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「恐らく切羽詰まっての犯行でしょう」
冒険者ギルドのマスター曰く、【黒い牙】は帝国の手が入ってからは姿を現さなかったようだ。被害報告も無いらしい。
マジで王国の息が掛かってるかも。
「問題は今後どうするか、ですね」
「【黒い牙】には棟梁の他にも高額の賞金首が大勢いますし、半端な連中送り込んでは返り討ちでしょうな」
冒険者は盗賊を討伐する仕事も確かにあるが、基本的には護衛仕事中の流れである。賞金首討伐は相手の実力にもよるがBランク以上の冒険者パーティーが行う。
難しいのだが、各ギルドマスター達はすっごい討伐したがってる気がする。まぁ、相当煮え湯飲まされたんだろうなぁ。私としても連中をほっとく訳にはいかない。
「合同で討伐隊を結成するというのは?」
各自は難しいだろうし、こんな案しかないのだが。
「領主様、私兵にも限度がありますよ?」
「えぇ、だからそれぞれが出来ることをしましょう。
冒険者ギルドには極秘で連中の本拠地の偵察を、商業ギルドは資材調達を、職人ギルドは武具の製造と修繕を、残りは食料の調達なり資金提供なりを頼みます」
これは敵が勘づくまでが勝負だ、討伐がバレればバラバラに逃げる可能性がある。そうなったら余計な手間が増える。そんな手間を掛けるなら他に頭を下げて協力を仰ぐ。
「領主様たちは?」
「私が治安維持部隊と騎士団、集めた戦力を引き連れて討伐隊を指揮しましょう」
「領主様!勝手なことを!!」
家臣たちが騒ぎ始める。まぁ、何あったらマズいけどな。
「いいえ、ここは私も出るのが必定でしょう。それにその高額賞金首の件が少し気になりますし」
私も元はとはいえ冒険者の端くれ。盗賊団討伐は沢山やってきた。それに最近体が鈍った気がする。
「まぁ、【炎滅騎士】ならいけなくもないか.......大丈夫ですか?相手も炎使いですが」
へぇ、ソイツも炎属性の魔術使うのかぁ。聞いたら鉄鞭に炎を纏わせたりするらしい。リハビリには良いかもしれない。
「上 等 で す 。あと治安維持部隊長!」
「は、はい!」
「貴方の部隊と騎士団に連絡を、私自ら指導し訓練を行います。地獄でしょうが乗りきるように」
「えっ」
すまんな、治安維持部隊と騎士団の皆。
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