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1章 異世界転移編
20話 よろしく異世界
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ショウトは集中していた。
大木の前に立ち、右手を幹に触れ「不安はいらない、大丈夫、俺は出来る」そう呟きながら意識を高める。
――俺は知りたい。ここであった出来事を。だから頼む。俺の声が聞こえるなら、俺に力を貸してくれ!
ショウトが強く願い、右手に力を込めたその時、ショウトの気持ちに反応するように大木が淡く光だした。その光景に、
「すごい……」
「こんな事があるなんて……」
モミジの仲間たちも驚きを隠せないようだ。
そして、
「――誰じゃ? わしを呼ぶのは?」
突然、おっとりとした眠たそうな声が辺りに響いた。その声に、自然と視線が大木に集まる。
淡い光が消えると、大木には、まるで老人を埋め込んだかのような顔が浮かび上がった。
「この様子じゃと……、わしを呼んだのは……、小僧、お主じゃな?」
そう話すなり、大木はショウトを見て何かを思い出すように顔をしかめた。
「小僧、お主どこかで……。いや、気のせいじゃな。しかし、お主、ワシの古い友人によう似ておる」
大木は懐かしいのか笑みをショウトに向けた。大木の姿に呆気に取られていると、モミジが後方から叫んだ。
「大木のおじいちゃん! お願いがあるんだ! この前、ここで何があったお教えてくれないか!」
すると大木は驚いたようにモミジを見て、
「これはまた、元気な娘っこじゃのぉ。お主のその耳……、いや人はそれぞれ何かを抱えておるものじゃ」
そう言うと、再び笑顔を作ったが、直ぐ様それを隠し、真剣に話し出した。
「この前の晩の事じゃな。知っておるぞ。わしがここで何があったか教えてやろう」
その言葉にショウトは唾を飲んだ。
「この前、わしのそばで、そこの小僧が気絶した後の事じゃ……、わしの裏手は赤く染まり、火の手がこちらに迫ってきておった。逃げ回る動物、魔物を横目に、わしら植物は誰もが皆死を覚悟した……。その時じゃ、逃げ回る動物たちと一緒に一人の男が現れたのじゃ」
「マーカスだ!」
ショウトはマーカスが無事に逃げたことを知り、声を上げた。しかし、
「だが……、その男は不気味じゃった。迫り来る炎を気にも止めず、逃げるどころかゆっくりと歩いておったのじゃ……。さらに恐ろしいのはその顔じゃ! そんな状況にも関わらず、笑っておったのじゃ! その様子はまさに狂気! そして、そのまま小僧に近づいて行った!」
荒げる大木の声にショウトの背中に寒気が走る。
「小僧のそばに着くなり、その男狂ったように、面白い! あの方と同じ力だ! そう叫んで両手を広げ天を仰ぎながら笑っておった。流石にわしも恐ろしゅうてな……、じゃがその時じゃ! 全てを打ち消すように、天から恵みの雨が降ってきたのじゃ! その雨は見事に炎を消し、男の不気味な笑いも消し去ってくれたわい。それには、わしも安堵したもんじゃ。そしたらなんと、天から一人のホウキに乗った女が舞い降りたのじゃ。その美しさにわしは天女かと思うたわい」
その話を聞いたモミジは呟く。
「やはりイベリスが……」
「その女は本当にセクシーじゃった……」
大木は思い出したのか頬を赤らめ、鼻の下を伸ばしている。その姿にモミジは口調を強め、
「それで! おじいちゃんその後は!?」
「おお、すまん、すまん。 そうじゃな……。なにやら二人は会話を始めたようじゃったな……。じゃが……、その会話は雨音のせいで聞き取れんかったわい。微かに聞こえた感じじゃと、小僧の事について話している……、そんな感じじゃったな」
その言葉にモミジは歯がゆいのかじたばたしながら、
「あぁ~ん! もう! 一番大事なとこなのに! 何で聞いてないのよ!」
「いやはや、言葉もないわい」
「それで!?」
「うむ。それで会話が終わると、男は逃げるように姿を消してな、女はというと小僧のそばに行って右手を触りながらボソッと何か呟いておった」
「何かって何よ!」
モミジはいつにも増して食い付きが半端ない。するとモミジの仲間も口を開く。
「おいおい、モミジ落ち着けって。さすがのじいさんもそんな全部聞き取れる訳ないだろ! すまねぇな、じいさん」
「ほっほっほっ、元気なのは良いことじゃ。気にしとりゃせんよ」
大木の神対応に場が一気に和む。そして、
「何かを呟いた後、女は立ち上がり、わしの身体にこの魔方陣を刻んだんじゃ。すると辺りが、まるで何もなかったかのように元どおりになったんじゃ。流石にこれにはわしも驚いたわい。そして、小僧とそこのウサギを連れてこの場から立ち去ったという訳じゃ」
真相を聞いたショウトは、恐らく、自分はイベリスという女のお陰で助かったのだということは理解した。だが、マーカスに着いてはよく分からなかった。この話が本当なら、サイクルが怪しんでいた理由も分からなくはないが……。しかし、この前の戦いで助けてもらったのも事実だ。素直に受け入れることが出来なかった。
そんな感情を抱くショウトの様子を見てか、モミジが口を開いた。
「ありがとう、おじいちゃん。とりあえず、真相は分かったわ! ショウト、アンタはどう思う?」
「ああ、良く分かんねぇけど、イベリスって奴が助けてくれたの……かな?」
「えぇ、納得出来ないけど今の話だとそう思うのが当然だわね。でもアタシは納得出来ない! アタシはイベリスがここに来る前に戦ってるんだから!」
その言葉にショウトを含め全員の視線がモミジに集まる。最初に口を開いたのは大木だった。
「ほぉ、娘さん。あの女と戦ったとな」
「うん。あの女……、イベリスはショウトを狙ってた。なぜかは分からないけど……。だからアタシは止めたんだ!」
「小僧、お主人気者じゃのう」
大木はショウトを見るとニヤリと微笑んだ。その言葉にショウトは、
「待て、待て! 何でオレが狙われるんだよ! 俺はそんな女会ったこともねぇよ!」
ショウトは自分が狙われている意味が分からなかった。こちらの世界に来てからまだ日も浅い。だが、さっきの話が本当だと恐らくマーカスも自分を狙っていた事になる。そうなると、反論せずにはいられなかった。
「第一、俺がこっちに来てから会ったのはモミジと村の連中くらいだぞ! どうして俺が狙われるんだよ」
すると、モミジが口を開いた。
「恐らく……、アンタのその力。少なくともこの世界でアタシは聞いた事がない。それに、アンタ魔力、かなり異質なのよ」
その言葉に全員が驚いたうなずく。モミジの仲間たちも同意見のようだ。その光景にショウトはたじろぐ。するとモミジの言葉に続けるように仲間の男も口を開く。
「俺たち獣人は魔力探知が苦手だけどな、ショウト、お前の部屋に行った時……、いやあの村に居た時から、今まで感じた事もない嫌な魔力がしていたのは事実だ」
「嫌な魔力だって……? なんだよ! みんな俺の事そんな風に見てたのかよ!」
みんなの視線が痛い。まるで異物でも見ているように冷たく感じる。怖い。一度は信じた。仲間だと思った。でも実際は違ったのか? サイクルに言われるがまま、それを鵜呑みにしてしまった俺が悪いのか?
再びショウトは負の連鎖に引き込まれる。気持ちと連動して呼吸が荒く、早くなる。すると、
「ショウト! 違うの! そんなんじゃないよ!」
モミジの声と一緒に小さな身体がショウトを包んだ。ショウトが顔をあげると必死に、辛そうに抱きつくモミジの姿がそこにはあった。
「ショウト、少なくともアタシは……、いや、アイツらもアンタの味方だよ。変かもしれないけど、アンタの手に初めて触れた時から、アンタを助けなきゃ、守らなきゃって、そう思ったの……、だから……、改めて言うわ。アタシはアンタを、ショウトを守るから! だから安心して」
モミジの目は真剣だ。一転の曇りもなくショウトを見つめている。その様子にショウトもだんだん落ち着きを取り戻す。
「……こんな、弱い俺でもか?」
「ええ」
「こんな、格好悪い俺でもか?」
「もちろん!」
「こんな……」
ショウトは自信満々の笑顔を見せるモミジに言葉が出てこない。出るのは不甲斐ない自分を象徴するかのような涙だけだ。
すると、抱き締められる身体にさらに力が加わる。
「ごんな……、ごんな、なぎむじなおれでもか?」
「当たり前でしょ! アタシはアンタを見捨てたりしないよ!」
すると、周りからも賑やかな声が響く。
「ショウト! 俺もだそ!」
「そうだ、そうだ! 俺も着いてるぞ!」
「わしも着いておるぞ」
「いや、お前は違うだろ!」
そして、
「ショウト。僕の事も忘れないでよね。一番古い付き合いなんだから」
サイクルの優しい声もショウトの耳に届いた。
そんな明るい雰囲気にショウトの気持ちも引っ張られるように立ち直っていく。
ショウトはモミジを身体から離すと、左腕で涙を拭き、顔を上げた。
「みんな、ごめん! 俺は本当に弱い人間だ! だからこれからも迷惑かけると思う! だけど、少しずつ……、少しずつ強くなるから! だから、手を貸してください」
そう言って上げた頭を豪快に下げる。その声にいち早くモミジが答えた。
「ショウト、顔を上げて」
その言葉にショウトはゆっくりと顔を上げる。
「アンタは私たちの仲間! だから一緒に強くなりましょ!」
ショウトの目に映るモミジの後方では、モミジの仲間たちが、ガッツポーズや跳び跳ねる姿があった。そして、モミジは再び口を開く。
「ショウト、私たちの世界……、いいえ、ようこそ! 異世界へ!」
ショウトはやっとスタートラインに立った気がした。
ここから先、どんな困難が待ち受けるか分からない、だけど、コイツとなら、いや、コイツらとなら、強く、成長出来る気がする。だから俺は逃げない。逃げずに前を向いて生きてやる。そして、成長して必ず元の世界に帰ってやる! そう心に誓い口を開く。
「ああ、よろしく異世界――」
大木の前に立ち、右手を幹に触れ「不安はいらない、大丈夫、俺は出来る」そう呟きながら意識を高める。
――俺は知りたい。ここであった出来事を。だから頼む。俺の声が聞こえるなら、俺に力を貸してくれ!
ショウトが強く願い、右手に力を込めたその時、ショウトの気持ちに反応するように大木が淡く光だした。その光景に、
「すごい……」
「こんな事があるなんて……」
モミジの仲間たちも驚きを隠せないようだ。
そして、
「――誰じゃ? わしを呼ぶのは?」
突然、おっとりとした眠たそうな声が辺りに響いた。その声に、自然と視線が大木に集まる。
淡い光が消えると、大木には、まるで老人を埋め込んだかのような顔が浮かび上がった。
「この様子じゃと……、わしを呼んだのは……、小僧、お主じゃな?」
そう話すなり、大木はショウトを見て何かを思い出すように顔をしかめた。
「小僧、お主どこかで……。いや、気のせいじゃな。しかし、お主、ワシの古い友人によう似ておる」
大木は懐かしいのか笑みをショウトに向けた。大木の姿に呆気に取られていると、モミジが後方から叫んだ。
「大木のおじいちゃん! お願いがあるんだ! この前、ここで何があったお教えてくれないか!」
すると大木は驚いたようにモミジを見て、
「これはまた、元気な娘っこじゃのぉ。お主のその耳……、いや人はそれぞれ何かを抱えておるものじゃ」
そう言うと、再び笑顔を作ったが、直ぐ様それを隠し、真剣に話し出した。
「この前の晩の事じゃな。知っておるぞ。わしがここで何があったか教えてやろう」
その言葉にショウトは唾を飲んだ。
「この前、わしのそばで、そこの小僧が気絶した後の事じゃ……、わしの裏手は赤く染まり、火の手がこちらに迫ってきておった。逃げ回る動物、魔物を横目に、わしら植物は誰もが皆死を覚悟した……。その時じゃ、逃げ回る動物たちと一緒に一人の男が現れたのじゃ」
「マーカスだ!」
ショウトはマーカスが無事に逃げたことを知り、声を上げた。しかし、
「だが……、その男は不気味じゃった。迫り来る炎を気にも止めず、逃げるどころかゆっくりと歩いておったのじゃ……。さらに恐ろしいのはその顔じゃ! そんな状況にも関わらず、笑っておったのじゃ! その様子はまさに狂気! そして、そのまま小僧に近づいて行った!」
荒げる大木の声にショウトの背中に寒気が走る。
「小僧のそばに着くなり、その男狂ったように、面白い! あの方と同じ力だ! そう叫んで両手を広げ天を仰ぎながら笑っておった。流石にわしも恐ろしゅうてな……、じゃがその時じゃ! 全てを打ち消すように、天から恵みの雨が降ってきたのじゃ! その雨は見事に炎を消し、男の不気味な笑いも消し去ってくれたわい。それには、わしも安堵したもんじゃ。そしたらなんと、天から一人のホウキに乗った女が舞い降りたのじゃ。その美しさにわしは天女かと思うたわい」
その話を聞いたモミジは呟く。
「やはりイベリスが……」
「その女は本当にセクシーじゃった……」
大木は思い出したのか頬を赤らめ、鼻の下を伸ばしている。その姿にモミジは口調を強め、
「それで! おじいちゃんその後は!?」
「おお、すまん、すまん。 そうじゃな……。なにやら二人は会話を始めたようじゃったな……。じゃが……、その会話は雨音のせいで聞き取れんかったわい。微かに聞こえた感じじゃと、小僧の事について話している……、そんな感じじゃったな」
その言葉にモミジは歯がゆいのかじたばたしながら、
「あぁ~ん! もう! 一番大事なとこなのに! 何で聞いてないのよ!」
「いやはや、言葉もないわい」
「それで!?」
「うむ。それで会話が終わると、男は逃げるように姿を消してな、女はというと小僧のそばに行って右手を触りながらボソッと何か呟いておった」
「何かって何よ!」
モミジはいつにも増して食い付きが半端ない。するとモミジの仲間も口を開く。
「おいおい、モミジ落ち着けって。さすがのじいさんもそんな全部聞き取れる訳ないだろ! すまねぇな、じいさん」
「ほっほっほっ、元気なのは良いことじゃ。気にしとりゃせんよ」
大木の神対応に場が一気に和む。そして、
「何かを呟いた後、女は立ち上がり、わしの身体にこの魔方陣を刻んだんじゃ。すると辺りが、まるで何もなかったかのように元どおりになったんじゃ。流石にこれにはわしも驚いたわい。そして、小僧とそこのウサギを連れてこの場から立ち去ったという訳じゃ」
真相を聞いたショウトは、恐らく、自分はイベリスという女のお陰で助かったのだということは理解した。だが、マーカスに着いてはよく分からなかった。この話が本当なら、サイクルが怪しんでいた理由も分からなくはないが……。しかし、この前の戦いで助けてもらったのも事実だ。素直に受け入れることが出来なかった。
そんな感情を抱くショウトの様子を見てか、モミジが口を開いた。
「ありがとう、おじいちゃん。とりあえず、真相は分かったわ! ショウト、アンタはどう思う?」
「ああ、良く分かんねぇけど、イベリスって奴が助けてくれたの……かな?」
「えぇ、納得出来ないけど今の話だとそう思うのが当然だわね。でもアタシは納得出来ない! アタシはイベリスがここに来る前に戦ってるんだから!」
その言葉にショウトを含め全員の視線がモミジに集まる。最初に口を開いたのは大木だった。
「ほぉ、娘さん。あの女と戦ったとな」
「うん。あの女……、イベリスはショウトを狙ってた。なぜかは分からないけど……。だからアタシは止めたんだ!」
「小僧、お主人気者じゃのう」
大木はショウトを見るとニヤリと微笑んだ。その言葉にショウトは、
「待て、待て! 何でオレが狙われるんだよ! 俺はそんな女会ったこともねぇよ!」
ショウトは自分が狙われている意味が分からなかった。こちらの世界に来てからまだ日も浅い。だが、さっきの話が本当だと恐らくマーカスも自分を狙っていた事になる。そうなると、反論せずにはいられなかった。
「第一、俺がこっちに来てから会ったのはモミジと村の連中くらいだぞ! どうして俺が狙われるんだよ」
すると、モミジが口を開いた。
「恐らく……、アンタのその力。少なくともこの世界でアタシは聞いた事がない。それに、アンタ魔力、かなり異質なのよ」
その言葉に全員が驚いたうなずく。モミジの仲間たちも同意見のようだ。その光景にショウトはたじろぐ。するとモミジの言葉に続けるように仲間の男も口を開く。
「俺たち獣人は魔力探知が苦手だけどな、ショウト、お前の部屋に行った時……、いやあの村に居た時から、今まで感じた事もない嫌な魔力がしていたのは事実だ」
「嫌な魔力だって……? なんだよ! みんな俺の事そんな風に見てたのかよ!」
みんなの視線が痛い。まるで異物でも見ているように冷たく感じる。怖い。一度は信じた。仲間だと思った。でも実際は違ったのか? サイクルに言われるがまま、それを鵜呑みにしてしまった俺が悪いのか?
再びショウトは負の連鎖に引き込まれる。気持ちと連動して呼吸が荒く、早くなる。すると、
「ショウト! 違うの! そんなんじゃないよ!」
モミジの声と一緒に小さな身体がショウトを包んだ。ショウトが顔をあげると必死に、辛そうに抱きつくモミジの姿がそこにはあった。
「ショウト、少なくともアタシは……、いや、アイツらもアンタの味方だよ。変かもしれないけど、アンタの手に初めて触れた時から、アンタを助けなきゃ、守らなきゃって、そう思ったの……、だから……、改めて言うわ。アタシはアンタを、ショウトを守るから! だから安心して」
モミジの目は真剣だ。一転の曇りもなくショウトを見つめている。その様子にショウトもだんだん落ち着きを取り戻す。
「……こんな、弱い俺でもか?」
「ええ」
「こんな、格好悪い俺でもか?」
「もちろん!」
「こんな……」
ショウトは自信満々の笑顔を見せるモミジに言葉が出てこない。出るのは不甲斐ない自分を象徴するかのような涙だけだ。
すると、抱き締められる身体にさらに力が加わる。
「ごんな……、ごんな、なぎむじなおれでもか?」
「当たり前でしょ! アタシはアンタを見捨てたりしないよ!」
すると、周りからも賑やかな声が響く。
「ショウト! 俺もだそ!」
「そうだ、そうだ! 俺も着いてるぞ!」
「わしも着いておるぞ」
「いや、お前は違うだろ!」
そして、
「ショウト。僕の事も忘れないでよね。一番古い付き合いなんだから」
サイクルの優しい声もショウトの耳に届いた。
そんな明るい雰囲気にショウトの気持ちも引っ張られるように立ち直っていく。
ショウトはモミジを身体から離すと、左腕で涙を拭き、顔を上げた。
「みんな、ごめん! 俺は本当に弱い人間だ! だからこれからも迷惑かけると思う! だけど、少しずつ……、少しずつ強くなるから! だから、手を貸してください」
そう言って上げた頭を豪快に下げる。その声にいち早くモミジが答えた。
「ショウト、顔を上げて」
その言葉にショウトはゆっくりと顔を上げる。
「アンタは私たちの仲間! だから一緒に強くなりましょ!」
ショウトの目に映るモミジの後方では、モミジの仲間たちが、ガッツポーズや跳び跳ねる姿があった。そして、モミジは再び口を開く。
「ショウト、私たちの世界……、いいえ、ようこそ! 異世界へ!」
ショウトはやっとスタートラインに立った気がした。
ここから先、どんな困難が待ち受けるか分からない、だけど、コイツとなら、いや、コイツらとなら、強く、成長出来る気がする。だから俺は逃げない。逃げずに前を向いて生きてやる。そして、成長して必ず元の世界に帰ってやる! そう心に誓い口を開く。
「ああ、よろしく異世界――」
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