3 / 64
第1章 緋竜山編
3 テオドール、鍛錬を積む
しおりを挟む
父竜は、いくつかの条件付きで、テオドールの実母探しを許した。
条件の1つ目は、盗賊や魔物などに襲われても、切り抜けられるように、身体を鍛えること。
温室育ちのテオドールが、下界に降りれば盗賊や魔物に襲われて、命を落としかねないと考えたからだ。
毎日テオドールに、切り立った岩壁を昇り降りさせて、基礎体力をつけさせた。
2つ目は、人間界について学ぶことである。
人間と会話ができなければ、生みの親を探すことはできない。
母竜は息子に、人間の言葉や文化などについて教えた。
3つ目は、魔力操作ができるようになることだ。
テオドールは父竜から、魔力や操作の仕方について教わった。
この世界では魔力のないものは生きられない。
それでもテオドールが死なずにいられるのは、母竜から栄養と魔力を摂取しているからである。
テオドールが赤子のころは、人間の姿に変化した母竜が、母乳で与えていた。
彼が2歳になると、コップから栄養と魔力を飲むようになった。
なのでテオドールには、人間の姿になった母竜の記憶はない。
魔力操作をすると、竜の鱗の色や形などを、自在に変えることができる。
テオドールの服やコップも、鱗から作られたものだ。
鱗は変化させるときだけ魔力を使えば、その状態を維持し続ける。
テオドールが魔力操作の鍛錬を積んで、鱗を自在に変化させれるようになると、それを翼にして飛行訓練が行われた。
父竜曰く、地上の敵に襲われたとき、上空へ逃げるために必要だという。
練習を重ねるも、なかなか理想とする飛行には、至らなかった。
鱗の翼を動かすのに、魔力を使い続けなければならない。
自身で魔力を作り出せないテオドールは、効率よく飛ぶ必要があるのだ。
ある日、いつものようにテオドールとフレアが、狩りで飛び立つ成竜を見送っていると、ブルートがやってきて、
「どけ、邪魔だ! 飛べない出来損ないが」
と、テオドールを追い払うように翼を羽ばたかせて飛び上がった。
まだ成竜ではないから狩りをしないブルートは、わざとテオドールの前で飛んで、嫌がらせをしたのである。
「いい加減、テオに意地悪するのは止めなさいよ。ブルート」
「フレアこそ、なんでそんな奴の肩を持つんだよ。テオは翼もない醜い出来損ないだ。テオと一緒にいたら、お前も醜くなるぞ」
フレアのことが好きなブルートは、彼女がテオドールと仲良くするのが気に入らなかった。
「まったくバカバカしくて、話にならないわ」
「嘘じゃない。だって昔のフレアはとても可愛かったのに、どんどん不細工になっているもんな」
年頃の女の子であるフレアは、大好きなテオドールの前で不細工と揶揄され、何も言い返せなくなってしまう。
テオドールは、フレアが世界一可愛いと思っているので、気にも留めなかった。
だけど羞恥と悲しみが入り混じったような表情のフレアを見て、黙っていられなくなり、
「飛べれば、いいんだろ」
と言い放って、服の背中から翼を生やすと、ブルートに空を飛んで見せた。
面食らいながらもブルートは、
「そ、そんなの、浮いてるだけだ。オレみたいに、自在に飛べなければ、飛んだとは認めないからな!」
そう言って飛び回るブルートの直後を、ピッタリと追いかけるテオドール。
やがてブルートを追い越して、立ち塞がったテオドールは、
「これで文句はないだろ。もう二度と僕たちに関わらないで」
「うっせえ! 出来損ないのくせに、生意気だぞ!!」
ブルートは、テオドールに飛び掛かるも、簡単に躱されてしまう。
執拗にテオドールを追い掛け回すが、その差は開く一方である。
力の差を見せつけられたブルートは、諦めて何処かへ逃げ去った。
テオドールがもとの場所に降り立つと、フレアは興奮した様子で、
「テオ。凄いわ。いつの間に飛べるようになったの。それに飛ぶのが、とても上手だったわ。プルートより、ずっと速かったし――」
彼女に笑顔が戻り、安堵するテオドール。
この日以来ブルートは、テオドールにちょっかいを出さなくなった。
条件の1つ目は、盗賊や魔物などに襲われても、切り抜けられるように、身体を鍛えること。
温室育ちのテオドールが、下界に降りれば盗賊や魔物に襲われて、命を落としかねないと考えたからだ。
毎日テオドールに、切り立った岩壁を昇り降りさせて、基礎体力をつけさせた。
2つ目は、人間界について学ぶことである。
人間と会話ができなければ、生みの親を探すことはできない。
母竜は息子に、人間の言葉や文化などについて教えた。
3つ目は、魔力操作ができるようになることだ。
テオドールは父竜から、魔力や操作の仕方について教わった。
この世界では魔力のないものは生きられない。
それでもテオドールが死なずにいられるのは、母竜から栄養と魔力を摂取しているからである。
テオドールが赤子のころは、人間の姿に変化した母竜が、母乳で与えていた。
彼が2歳になると、コップから栄養と魔力を飲むようになった。
なのでテオドールには、人間の姿になった母竜の記憶はない。
魔力操作をすると、竜の鱗の色や形などを、自在に変えることができる。
テオドールの服やコップも、鱗から作られたものだ。
鱗は変化させるときだけ魔力を使えば、その状態を維持し続ける。
テオドールが魔力操作の鍛錬を積んで、鱗を自在に変化させれるようになると、それを翼にして飛行訓練が行われた。
父竜曰く、地上の敵に襲われたとき、上空へ逃げるために必要だという。
練習を重ねるも、なかなか理想とする飛行には、至らなかった。
鱗の翼を動かすのに、魔力を使い続けなければならない。
自身で魔力を作り出せないテオドールは、効率よく飛ぶ必要があるのだ。
ある日、いつものようにテオドールとフレアが、狩りで飛び立つ成竜を見送っていると、ブルートがやってきて、
「どけ、邪魔だ! 飛べない出来損ないが」
と、テオドールを追い払うように翼を羽ばたかせて飛び上がった。
まだ成竜ではないから狩りをしないブルートは、わざとテオドールの前で飛んで、嫌がらせをしたのである。
「いい加減、テオに意地悪するのは止めなさいよ。ブルート」
「フレアこそ、なんでそんな奴の肩を持つんだよ。テオは翼もない醜い出来損ないだ。テオと一緒にいたら、お前も醜くなるぞ」
フレアのことが好きなブルートは、彼女がテオドールと仲良くするのが気に入らなかった。
「まったくバカバカしくて、話にならないわ」
「嘘じゃない。だって昔のフレアはとても可愛かったのに、どんどん不細工になっているもんな」
年頃の女の子であるフレアは、大好きなテオドールの前で不細工と揶揄され、何も言い返せなくなってしまう。
テオドールは、フレアが世界一可愛いと思っているので、気にも留めなかった。
だけど羞恥と悲しみが入り混じったような表情のフレアを見て、黙っていられなくなり、
「飛べれば、いいんだろ」
と言い放って、服の背中から翼を生やすと、ブルートに空を飛んで見せた。
面食らいながらもブルートは、
「そ、そんなの、浮いてるだけだ。オレみたいに、自在に飛べなければ、飛んだとは認めないからな!」
そう言って飛び回るブルートの直後を、ピッタリと追いかけるテオドール。
やがてブルートを追い越して、立ち塞がったテオドールは、
「これで文句はないだろ。もう二度と僕たちに関わらないで」
「うっせえ! 出来損ないのくせに、生意気だぞ!!」
ブルートは、テオドールに飛び掛かるも、簡単に躱されてしまう。
執拗にテオドールを追い掛け回すが、その差は開く一方である。
力の差を見せつけられたブルートは、諦めて何処かへ逃げ去った。
テオドールがもとの場所に降り立つと、フレアは興奮した様子で、
「テオ。凄いわ。いつの間に飛べるようになったの。それに飛ぶのが、とても上手だったわ。プルートより、ずっと速かったし――」
彼女に笑顔が戻り、安堵するテオドール。
この日以来ブルートは、テオドールにちょっかいを出さなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
※2026年半ば過ぎ完結予定→七月に完結(決定)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる